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INTERVIEW

Japanese

fhána

2018年02月号掲載

fhána

Member:佐藤 純一(Key/Cho) yuxuki waga(Gt) kevin mitsunaga(PC/Sampler) towana(Vo)

Interviewer:吉羽 さおり

-この"わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~"というタイトルについても、よりわかりやすくしようという意識はありましたか。

佐藤:タイトルは、"○○物語"みたいな漢字4文字にしようと思っていたんですけど、それが意外と難しくて。"物語"がタイトルに付く曲って結構たくさんあるじゃないですか。それとは違うものがいいなとは思っていて。"わたしのための物語"って直球だし言葉としても強くて、逆に新鮮かなと。いろいろと考えて、ここに戻ってきた感じですね。"My Uncompleted Story=未完了の物語"というサブ・タイトルを付けて、ちょっとゲームチックな感じもあって。

-これまでのシングル『青空のラプソディ』、『Hello!My World!!』(2017年8月リリースの12thシングル)にあったキーワードの地図だったり、何かを探す旅という流れにも繋がっていく感じですか。

佐藤:実はそこまで、繋がりを考えて作ってないんです。あとから、あぁ、こういうふうになっていたんだという感じで。一番新しい曲ということもあって、新しい物語の扉を開ける曲になったかなという感じですね。

-カップリング曲のお話もおうかがいしていきます。今回も"アーティスト盤"、"アニメ盤"と違う曲が収録されていますが、まずはアーティスト盤に入っている「snow scene」。これはyuxukiさんの曲ですが、ウッド・ベースが入っていて温かさがあり、生楽器の良さが生かされた美しい曲ですね。

yuxuki:ありがとうございます。これは、架空の雪景色の絵をイメージして、そこから連想される物語を曲にしよう、叙情的で抽象的な曲にしようと思い制作した曲でしたね。最初は、アンビエントな曲を作ろうという話になって、そんな感じで作っていたんですけど、雪景色の、冬の北欧の街というイメージが頭の中に湧いてからは、アレンジがどんどん展開していって。冬っぽい曲になったなと思います。

-特にヴォーカル、コーラスのハーモニーが、心地よさと不思議な感覚を生んでいると思うのですが、これはヴォーカルをどのくらい重ねているんですか。

towana:20くらい?

yuxuki:20弱ですね。

towana:気が遠くなりましたね(笑)。脳に糖分が足りなくなって、最後の方は、今自分がどの線を歌っているのかわからない感じになってきて。結構大変でしたね。でも、すごく面白い曲になりました。

yuxuki:デジタル・クワイアをやりたかったんですけど、普通に作っても面白くないので、佐藤さんにコーラスのハモりを作ってもらったんです。戻ってきたのがすごい量のトラックになっていて、"これ歌うんだ!?"って思って。

towana:びっくりしました(笑)。

佐藤:今、確認してみたら、12声ありますね。

yuxuki:なおかつヴォーカルが全部ダブルで、さらにそこに俺がいろいろと加工をしてハモりを作って足しているから、結果20弱くらいになっているんですよね。声以外でも、ギターを20本くらい録っているし。ベースもウッド・ベースだけで3本録っていて、同時に鳴っているんですよ。真ん中で普通に弾いているやつと、左右で弓で弾いているのが同時に鳴っていて。そこにフレットレス・ベースがさらに2本加わったりしていて......結構、めちゃくちゃやってるんです。

-そうなんですね。でもその重厚感や音が多いことでのうるささはまったくないですよね。周囲の空気に溶け込んでいくような音像ですし。

yuxuki:そうですね、あまり聴いたことがないものになりました。曲自体はシンプルな曲で、面白いことができた曲だなと思いますね。

kevin:いつも僕は"いろんな音担当"と言っているんですけど、この曲はyuxukiさんが作っている段階で、効果的な音とかいろんな音が最初からいっぱい入っていたんです。なのでそこに少し足したという感じです。いくつか足したなかで一番うまくいったのが、曲のはじめの方で鳴っているノイズで。yuxukiさんが鳴らしているノイズと僕が鳴らしているノイズがあるんですけど、僕の鳴らしている方は、Björkっぽいノイズが作れたなと思って気に入ってます(笑)。それを入れられたのが、自分としてはポイントでしたね。

yuxuki:うん。ブレイクビーツみたいな、歪んだドラムのノイズみたいな。

佐藤:Björkの『Homogenic』に入っている「Jòga」みたいな感じの。

kevin:いい感じに好きなものが作れました。

-そういう細かな音が積み重なったサウンドなんですね。

yuxuki:そうですね。出だしのスピーカーがぶっ壊れたみたいな音も、結構気に入ってます。

kevin:あれはyuxukiさんが作った音で。

yuxuki:普通なら鳴らしちゃいけない音だと思うんですけど。それもうまくハマりましたね。この曲は、ライヴでもいろいろやってみたいですね。実はこれ、作っているときにÁsgeirのライヴに行って、それが超良くて。それで、より曲の中でダイナミクスを作っていこうと意識してやってみた感じもあります。

-さりげなく入っている、パーカッションなどもかなり面白いですしね。

yuxuki:最初は打ち込みで入れていたんですけど、レコーディングのとき、たまたま横のスタジオでパーカッショニストのよしうらけんじさんがレコーディングをしていて。その場で演奏してもらったんです(笑)。曲を知らない状態で、1テイクで演奏してくれて。そしたら、本当に1テイクで終わったんですよね。曲の終わりも何も伝えてないし、初めて演奏するはずなのにきれいにハマっていて。すごいなって。