Japanese
Half time Old
2017年12月号掲載
Member:鬼頭 大晴(Vo/Gt) 小鹿 雄一朗(Gt) 阪西 暢(Dr)
Interviewer:秦 理絵
-たぶん鬼頭さんの作るメロディにメンバーは絶対的な信頼があるんでしょうね。
阪西:そういうことです。
-そのメロディをどう生かすかっていうところで、阪西さん、小鹿さんはレコーディングで心掛けたことはありますか?
阪西:メロディを生かすことは当たり前のことなんですけど、さらに良くするためにっていうことですよね。無難に叩く以上のことは心掛けましたし、僕、今回"ロックなアルバム"って言ってもらえたのは嬉しいですよ。そういう意識で叩いてたので。
小鹿:僕は曲ごとにテーマを決めてやりましたね。「『0』」は激しいロックをイメージしてやったんですけど、「メイサイ」とか「愛してるよ」ではシンプルに歌を聴けるようにアレンジしたりとか、曲ごとに自分のなかでコンセプトを決めたりして、アルバムを通して聴いたときに、飽きないようなフレーズを考えて作りました。
-歌詞に関して、世の中を斜めに見てるようなニュアンスが多いのは鬼頭さんらしいけど、今回はより怒りとか疑問が生々しく表現されている気がします。
鬼頭:気に入ってる歌詞は多いですけど。そんなに深く考えたわけではないんです。
-そうなんですか? 「忠犬ヒト公」は"こんな事歌詞にするべきか"に始まって、自分の中の葛藤を突き放すような感じで書いてますよね?
阪西:アクが強いですよね。
鬼頭:もともとこの曲はこの出だしではなかったんですよ。でも書いてるうちに、これだとただ文句を言ってるだけのバンドになっちゃうと思って、前置きを入れたんですよね。ずっと毒を吐きたいわけじゃないんですけど......この曲は結構毒を吐いてますね(笑)。
-リード曲の「『0』」では、例えば実際にものを見なくてもインターネットの世界だけで解決する世の中に疑問を抱いてるわけですよね。
鬼頭:世の中というか、自分に対してなのかもしれないですね。例えば、ディズニーランドに行きたいと思ってても、YouTubeでディズニーランドの動画を観たら、実際に行かなくても満足してる自分がいて。"このままでいいのかな?"と思ったんですよ。でも最終的に言いたいのは最後のフレーズなんです。
-"自分の目で見るものを大切にしていきたい"と。
鬼頭:そう。そういうポジティヴなことを言うために、曲の最初からポジティヴなままだと説得力がないと思って。本当に言いたいことの前にAメロとかBメロで、それとは対極にいる自分を出すことで気持ちよく歌詞が書けるんですよね、最近は。
-それは鬼頭さん自身の中にあるネガティヴな気分をあまり隠さなくなったってことじゃないですか?
鬼頭:ライヴとか音楽のときは、なるべく前向きでいようとは思ってるんですけどね。根に前向きじゃないところが若干あったりするんですよね。
-若干ですか?
鬼頭:若干です。若干にしといてください(笑)。
阪西:たぶん歌詞には(鬼頭が)そのとき旬で考えてることが出てると思うんですよ。前回は前回の旬があったんですけど。でも、筋の通らない変わり方はしてないと思います。
小鹿:言いたいことは変わってないんだけど、今回はストレートな歌詞が増えたなというところですかね。「愛してるよ」とか「道」だとか。
鬼頭:うん。たしかに「愛してるよ」っていう曲は、サビでストレートに"愛してるよ"と言ってるんですけど、スタジオで適当にギターのコード進行を決めて、ドラムを叩いてもらうなかで、なぜか"愛してるよ"という言葉が出てきて、それをそのままサビにするっていう、初めての作り方だったんですよ。最初は恋人に対しての"愛してるよ"にしてもいいかなと思ったんですけど、途中で音楽に対することにしようと思って。しかも音楽に対して歌ってることがわかるのを最後の方にしたのも、ひねりたかったところですね。
-なるほど。もう少しアルバムの曲について聴ければと思います。「Attention please!」は、ダンサブルな始まりから歌詞にもサウンドにもストーリーがあって面白いです。
小鹿:この曲はオシャレなギターのフレーズにしたかったんですよね。サビでメジャーセブンスを鳴らしてみました。
鬼頭:この曲、めっちゃ好きなんですよ。最初のAメロは散歩中に歌詞を考えてたんですけど、そのときに最初の"逃げ腰のナンバー"から"体揺らしてたい"までが出てきて、ヴォイスメモに録音してたんです。なぜかウキウキな気持ちだったんですよね、そのときは。アルバムの中でウキウキな気持ちの曲はこの曲ぐらいかなぁ(笑)。
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