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INTERVIEW

Japanese

warbear

2017年12月号掲載

warbear

インタビュアー:金子 厚武

元Galileo Galileiのフロントマン 尾崎雄貴が、ソロ・プロジェクト"warbear"としての初作『warbear』を完成させた。"解放され、自由に作った"というアルバムは、札幌にある尾崎自身のスタジオ、通称"わんわんスタジオ"でほぼすべてを自らレコーディングしつつ、エンジニアにはPhil EkやBrian McTearといったUSインディーの最前線にいる人物を起用。1970年代のシンガー・ソングライターへの憧憬を背景にしつつ、それをモダナイズした、素晴らしい作品に仕上がっている。ソロとしての第一歩を勇ましく踏み出した尾崎に、その心境を訊いた。

-Galileo Galileiの活動終了後は、どのように過ごしていたのでしょうか?

活動終了して、しばらくはずっと家にいたり、旅行に行ったりしてました。今までは何をやるにしても"バンドで活動していかなきゃ"みたいな、仕事に追われてる感覚があったんですけど、1回そこから解放されて、ひとりの人間として過ごしてるうちに、自然と"ソロやってみようかな"って思ったんですよね。僕は曲を書かないとダメな性分だから、曲自体はずっと書いてたんですけど、すごくパーソナルな曲ができていて、"これバンドでやる曲じゃないな"って思ったのもあって、ひとりでやってみようと思って。

-曲は作りつつも、1回音楽と距離を置くような時期があったわけですか?

いや、むしろ音楽に対して改めてイチから向き合うことができたり、自分が今まで聴き漁ってきた音楽をもう一度聴いたりする時間ができました。バンド活動に追われていると、ひとりでじっくり1枚のアルバムを研究したくても、どうしてもツアーに行かないといけなかったりして、ツアーに行っちゃうと、自分の音楽で精一杯だから、新しい何かを取り入れる時間ってなかったんです。活動終了してからは、そういう時間を丸々半年以上は作れて、その間は音楽により近いところにいれる感覚があったので、間違いじゃなかったなって。

-実際のアルバム制作はどのようにスタートしたのでしょうか?

バンドを終わらせた説明として、"もうこのバンドじゃできないから"っていう言い方だったので、最初は"まったく違うものを作らなければいけない"って思ってた時期もあったんですけど、そもそもそれは無理なことだなって思って。ただ、バンドをやってたときに考えすぎてたことは、考えないようにしようと思いました。『Sea and The Darkness』(Galileo Galileiとして最後のオリジナル・アルバム)っていうアルバムは、自分にとってもすごく満足できるものだったんですけど、"あれを超えよう"とか、もしくはタイアップとか"フェス受け"とか、そういうことも考えませんでした。バンドをやってるときって、"活動していかなきゃ"ってことばかりに意識がいって、どうしても無理をしちゃって、自分のキャパ以上のことをやろうとしちゃってたんです。

-いい音楽を作るためには、活動自体をちゃんとしないと、ですもんね。

そうですね。ただ、warbearに関しては"考えるより感じろ"というか(笑)。でも、Galileo Galileiを終了して、"warbearやろうかな"って周りに話したときに、みんなが"いいんじゃない?"って言ってくれて、本当に好きにやらせてもらえる感覚がすごくあったんです。"こういう曲を書かなきゃダメだよ"とか、もともとあんまり言われたことなかったんですけど、縛るものが何もない状態になったので、今は毎日自由な空気をすごく感じていて。逆に言えば、今までは自分でもわかっていないものにすごく縛られていたというか、勝手に縛られてると思い込んでたんだなって。"アルバムに遅い曲が多いから、速い曲作らなきゃ"みたいなのって、アホなムードのときに出がちな会話なんです(笑)。僕は高校でデビューして、ずっと、いわゆる"日本のバンドマン"として生きてきたから、"そこの世界で生きていかないと"って思って、そういう会話になっちゃってたんですよね。

-そう自分で思い込んでしまっていたと。

そうなんです。本来そういう人間じゃないのに、周りの期待に過度に応えようとしたり、"僕はわかってます"っていう雰囲気を作りたくなってしまうんですけど、そういったものも今は全然なくて、"何に縛られてたんだろう?"っていう。いい意味で、今はぽっかりと風穴が開いたような気分で音楽をやれてます。

-バンドの終了後に少しずつ浄化されていったというか、デビュー前のただ音楽が好きだった自分に戻っていったような感じかもしれないですね。

そうですね。学生のころは父親にもらった8トラックのカセットMTRで曲を録ってたんですけど、そのときの気持ちを思い出しました。バンドが走ってる間は、学生時代を回想することってあんまりなかったんですけど、このアルバムを作ってる間はすごく、自分の原点にいるような気分でした。

-音楽的には、やはりバンドからソロになったのもあって、Galileo Galilei後期に表れていた70年代のシンガー・ソングライターに対する憧れが、より強く出ているように思いました。

自分が書きたいものは"歌"で、そこは自分の習性として強くあるんですけど、あの時代の人の歌って、"その人じゃなきゃいけない"っていうか、その人が喋ってるだけでも胸にグッときたりして、ホントすごいなって。結果的に、あの時代の人はよぼよぼのおじいちゃんになっても、死ぬまでずっと歌を書き続けるじゃないですか? ホントに歌で育った人たちだし、歌で自分を表現してる人たちで、生きていくことと直結してる。だからこそ、すごく重く響くし、憧れるし、自然に自分もそうなりたいと思うようになって。

-ただ、もちろん古いものをそのまま作ろうとしたわけではなく、今の時代に合わせてモダナイズされていて、それはPhil EkとBrian McTearというエンジニアの人選にも表れていますよね。

ヴィンテージな感じのものを作ろうとか、もしくは、新しいものを作ろうとかは全然考えてませんでした。さっきも言ったように、学生のころにMTRで録ってたのと同じで、特に何を作ろうとするわけでもなく、"そのときに聴いた曲っぽい曲を作りたい"とか、ホントそんな感じだったので、人選も含め、深い意味はなくて(笑)。ただ、なるべく丸投げでやりたいっていうのはあって、最初からある一定のラインを超えてくれないと、作品をより良くする方向じゃなくて、直す方向でエネルギーを使わないといけなくなるじゃないですか?今回のふたりには丸投げして、最初の段階ですごくいい音だったので、間違ってなかったなって。