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INTERVIEW

Japanese

CIVILIAN

2017年12月号掲載

CIVILIAN

Member:コヤマヒデカズ(Vo/Gt) 純市(Ba) 有田 清幸(Dr)

Interviewer:山口 智男

-その4曲は今回、アルバムを聴いて、歌詞も曲調もわりと明るめだなって感じた曲だったんです。ということは、そのころからすでに変化が始まっていたんですね。

コヤマ:当時、今までやってきたものだけでは、これ以上多くの人たちにリーチすることはなかなか難しいっていう壁にぶち当たっていて。僕らは一時期までは、"それで構わない。自分たちの音楽は万人受けするものではない"と自覚しながらやっていたんですけど、その4曲を作っていたLyu:Lyuの最後期には、"わかる人にわかってもらえればそれでいいのか。いや、バンドとしてもっとたくさんの人に聴いてほしいし、届けたい"と考えるようになっていました。だから、この4曲を作っていたころから、何かを変えなきゃダメだよねって、曲調、歌詞の方向性を、悩みながら変えていっていたんですよ。

-ところで、今回のアルバムは見ず知らずの人を呼び止めて、いきなり"命の価値ってどれだけあるの? 5分で答えて"って、まるで言い掛かりをつけるような「一般生命論」で始まったあと、いろいろな感情や音色を歌ったり奏でたりしながら、最後の最後に「顔」、「明日もし晴れたら」という2曲で、命の価値に対して、とりあえずひとつの答えを出しているようにも受け取れるのですが、作るときにそういうストーリーは意識していたんでしょうか?

コヤマ:アルバムの曲順を決めるときって、曲調やサウンドも大きいと思うんですけど、歌詞の繋がりも(歌詞を)書いている本人としては結構意識しているところでもあって、実は僕、他のバンドのアルバムを聴くときも歌詞の流れって、すごく気にしているんですよ。作ったときは1曲1曲作っていったとしても、アルバムに入るとまた聴こえ方が違うというか、その前の曲で何を言っているかによって、次の曲の聴こえ方も変わると思うので。だから、そういうことも曲順を決めるうえでは意識していましたよ。

-みなさんにとって"聴きどころ"と言える曲は?

コヤマ:僕は「明日もし晴れたら」ですね。単純に、作っていた当時のことが印象に残っているというか、この曲の歌詞を書いているときが一番、自分がダメだったというか。今までの違う方向性の歌詞――簡単に言ったらもっと前向きな歌詞を書きたいと思いながら、ダサいものしか書けなくて、どうすりゃいいんだろって、もう本当に筆が止まっているなかで、なんとか書き上げた曲だったんです。当時、いろいろ悩んでいた中でも一番、底辺だったときのメンタルだったから特に印象に残っていますね。

有田:俺は「言わなきゃいけない事」が心のリード曲です(笑)。音源として、今回一番バランスがいいと個人的に思っていることに加え、自分が苦しかったときに重なる歌詞なんですよ。"本当はもっと僕等は 上手くやれた筈だって"ってあるんですけど、当時、そう思ってたので。活動についてこない結果とか、"いい"って言われてるのについてこない数字とか、そういうところから脱却したくていろいろやっていた時期に作っていた曲なんですよ。"(自分たちは)こんなもんじゃないのにってさ"っていう(笑)。自分たちがそれまでやってきたことを否定するわけではないんですけど、ただ、もっと上手くやれていたはずなんじゃないかって。それが時を経て、今のクオリティで納得した形で、改めて世に出せることがとても良かったし、それを今、こうして言えるっていうのが感慨深いんです。

-純市さんは?

純市:「あなたのこと」ですね。それは最近、できた曲なんですけど。

-良かった(笑)。

コヤマ:全員、過去曲じゃね(笑)。

純市:僕はこれをリードにしたかったです(笑)。単純に自分の好みなんですけど、こういうちょっと歌のリズムがヒップホップというか、そういうリズム・パターンは自分でやっていても楽しかったし、メロディも美しいし。頭の中でずっとループしているんですよ。

-なるほど。今の3曲は思い入れの部分で選んでいただきましたが、CIVILIANとして新しい試みだとか、これからのCIVILIANを見せられたという意味では?

コヤマ:Lyu:Lyu時代にやっていなかったアプローチとか表現とかという意味では、やっぱり「生者ノ行進 (Album Ver.)」とか、「赫色 -akairo-」とか。そもそも、お客さんに歌わせたり、手拍子を求めたりするようなバンドではなかったので、その殻をまず自分たちで破らなきゃならないっていうことで、CIVILIANに名前が変わって。まだLyu:Lyu時代の曲しかなかったころは既存曲で、ライヴのやり方を変えて、手拍子を求めていたんですけど、昔の曲はそういう空気を持っていなかったんですよ。だから、なかなか上手くいかなかったんです。それでやっぱり、そういうことをライヴでしたいんだったら、そういう曲を作らなきゃダメだということに気がついて、いろいろなタイミングで――「生者ノ行進 (Album Ver.)」はスポーツもののアニメの主題歌をやらせていただけることになったので、やるなら今だと思って、いわゆるシンガロングを入れたり、「赫色 -akairo-」だったら、やっぱりアニメのタイアップで、エスニックというか、アジアンな世界の作品だったので、シタールを入れてみたりとか、イントロだけに入れるんじゃ取ってつけたみたいだからダブっぽいパートを作ってみようとか、そういうことを自由にできるようになったのがCIVILIANとして、僕らが一番いい意味で変わったところではないかと思います。

有田:俺は「残り物の羊」も加えたいですね。なんでかっていうと、その曲のデモを貰ったとき、この人(コヤマ)天才だと思ったんですよ(笑)。俺が考えている楽曲に必要な要素を全部持っていたので。イントロのフレーズもそうだし、歌詞のストーリーもそうだし、メロディ・ラインもそうだし、いろいろ超えてきたと思いました。この曲のデモがきたとき、俺は"大丈夫。やっていける"と思えたんですよ。