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INTERVIEW

Japanese

ねごと

2017年09月号掲載

ねごと

Member:蒼山 幸子(Vo/Key)

Interviewer:沖 さやこ

-『アシンメトリ e.p.』(2016年リリース)からさらに幸子さんは自分の内面を歌詞になさっているので、ここで尊敬するアーティストの書いた曲をカバーするというのも、いいタイミングだったのかなと思いました。

その人の真似はできないけれど、完成されたものやほかの人の世界に触れることは、自分の表現と向き合う機会になりますよね。「空も飛べるはず」をカバーすることでソングライティングや演奏などの技術とかでは語れないスピッツの凄みを感じて。何があってもぶれないもの、確固たるものがあるんだろうな、それが世界観を作っているんだろうな......と思う。そこは自分たちも見習いたい部分です。『アシンメトリ e.p.』~『ETERNALBEAT』(2017年2月リリースの4thフル・アルバム)~『DANCER IN THE HANABIRA』(2017年6月リリースのシングル)の流れのダンス・ミュージックをやっている自分たちもリアルだけど、今回の2曲の青さのあるバンド・サウンドも自分たちらしさだなと思うので、かっこよく表現できたらいいなと思っていました。

-今回のシングルの制作やレコーディングはいつごろだったのでしょう?

実は結構前で。『ETERNALBEAT』のレコーディングの終盤と同時進行くらいのタイム感で、制作やレコーディングは2016年の年末でした。『ETERNALBEAT』でやっていることとは別のことを要求されていたので、そことどう切り離すか、それでもどういまのねごとのエッセンスも入れるか......というのは考えて。だから去年の末はバタバタだったんです。

-今年に入ってからのねごとのライヴがタフで堂々としているのは、そういう状況を乗り越えている経験も影響しているのかもしれませんね。

そうかもしれない。やっぱり自分の手と足を使って山を登る......じゃないけど、体力はつきますよね。乗り越えてみると"大変だと思ってたけど意外と大丈夫だな"と思えたりもするし。


"どうしようもないこともあるけど、なんだかんだ言ってもここまで来れたじゃん" ということを書きたかった


-"トリガール!"の挿入歌である「ALL RIGHT」は、これまでのねごとのテイストのいいところがぎゅっと詰まっていて、私は初めて「カロン」(2011年リリースのシングル表題曲)を聴いたときに覚えたときめきに近いものを感じました。

「ALL RIGHT」は具体的なお題をいただいたうえで作ったものなんですけど、自分たちでも新しいけど懐かしい感覚がありますね(笑)。監督さんから"挿入歌はシーン的に「sharp ♯」(2012年リリースのシングル表題曲)みたいな曲がすごく合うと思うから、ああいう疾走感があって、コーラスも多いものだと嬉しい"というオーダーをいただいて。それまでぐうたらした人生を送ってきた主人公のゆきなちゃんが、人力飛行機を飛ばす選手に抜擢されて、本腰を入れて練習するぞ! とトレーニングに打ち込むシーンで流れるということも聞いていて、その映像もいただいていたので、イメージも湧きやすかったです。

-強気な言葉と切なさが同居する歌詞は"ゆきなちゃん像"も反映されていると思うのですが、何よりそれ以上に幸子さんの胸の中にある熱くて太い意志が堂々と歌詞になっていると感じました。

わ、本当ですか? 嬉しい。歌詞に関してはどんどん自分の中でシンプルになっていってるので、伝わりやすさみたいなことも考えるようになって。もちろん「ALL RIGHT」は映画のことも考えてはいるんですけど、やっぱりちゃんと自分が思っていることを書きたいし、そういうものを書かないと意味がないと思っているので。そういうものが肩肘張らずに書けた気がしています。私の書いた歌詞とメロディに瑞紀がトラックをつけて、そのうえで瑞紀が"構成上もう1メロディ欲しい"と思ったらしく、(ドラムの澤村)小夜子が前に作った曲のデモから引っ張ってきて、そこにはめてくれて。それが"恥ずかしい傷さえ/気にせずに跳べそう"の部分です。