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INTERVIEW

Japanese

H△G

2017年09月号掲載

H△G

Member:Chiho(Vo) Yuta(Gt)

Interviewer:沖 さやこ

ヴォーカリスト・Chihoを中心としたコンポーザー&クリエイター集団"H△G"が、7月26日にメジャー・デビューを果たした。ネット上での活動から規模を拡大させ、今年に入りVOCALOIDカバー・アルバム『声 ~ VOCALOID Cover Album ~』のリリースや、プレミアムなリリース・ライヴなど、精力的な活動を続けている。メジャー・デビュー・シングル『夏の在りか』は、彼らがテーマにしてきた"青春"を余すことなく詰め込んだ作品であり、現在の彼らの強い想いが詰まった作品になったようだ。

-H△Gは2017年5月にメジャー・デビューを発表しました。メジャー・デビューまでの経緯と、なぜメジャー・デビューを決めたのか教えていただけますか。

Yuta:結成当初から"生活に音楽を"というスタンスを掲げて活動してきたH△Gですので、それぞれの生活ペースを崩すことなく、いままですごくマイペースに活動をしてきました。メジャー・デビューをして、例えば"東京に住まいを移そう"と言われても僕らは地元の愛知を離れることはできないし、"生活に音楽を"というスタンスを大きく変えることはできないです。それらの特殊な条件を"それでも問題ない"と熱心に言ってくれた方との出会いが、今回のデビューに繋がっています。

Chiho:そんな状況のH△Gを受け入れてくれて、"もっとたくさんの人にH△Gの音楽を聴いてもらおうよ"と声を掛けていただきました。私自身メジャーというものを見据えていたわけではない――もちろんできるものならしたいなという気持ちでいましたが、H△Gの活動の仕方などを考えると難しいだろうと思っていました。なのでそんなふうに誘っていただけてすごく嬉しかったですし、この環境だからこそ奏でられるH△Gの音楽をこれからも大切に守っていこうと思いました。

-メジャー・デビューなさってからの変化とは?

Yuta:スタッフとして関わっていただける方が増え、チームH△Gは日々大きくなっていますが、特別に大きな変化があるわけではないです。レコーディングも変わらず地元で行っています。僕らH△Gと結成当初から共に歩んでくれているディレクターの方が、メジャー・デビューしても変わらず一緒に歩んでくれていること、これが大きな変化がないと感じる一番大きな要因だと思います。

Chiho:ホントにH△Gチームみんなが私たちに寄り添ってくれていて。ありがたいことですね。でも、やっぱり"期待に応えたい!"という気持ちもしっかり持っています。私たちにできる最大限で、立ち向かっていこうという想いです。最近では制作にかける時間がさらに増えてきています。インドアな音楽集団として、最高の作品を生み出せるよう日々活動しています!

-メジャー・デビュー・シングル『夏の在りか』、リリースから約1ヶ月経ちましたが、リスナーさんのリアクションはいかがですか?

Chiho:今まで以上の反応を肌で感じています。H△Gにとって大きな節目を迎え、それを同じ気持ちで共有してくれるファンの方がたくさんいました。レコーディングは、まだ少し肌寒い5月ごろに行われました。相変わらず田んぼに囲まれた、地元のレコーディング・スタジオで、これから来る夏に胸を高鳴らせながら歌っていました。変わらないテンポで歩みを止めることなくきた私たちですが、ふと振り返ってみると、たくさんの方が私たちの音楽についてきてくれていました。いろんなことを考えだすと、今も胸が熱くなるのを感じます。

-今回のリリースに際し、自身の名前に△(三角)を持つことから"3"をコンセプトに作品が展開されています。新たに書き下ろした"3つの新曲"を内容が異なる3形態でリリースするほか、"3人の物語"が"3つの画面"で同時進行するMVも制作されました。

Yuta:名前の表記を決める際に"なんとなく△の方がイイ感じじゃない?"というような理由で△になったのですが(笑)、ただ今ではこの"△"がH△Gのトレードマークになっているし、"3"という数字も特別な数字になっています。"3"をコンセプトにしたアイディアは楽曲ありきでクリエイティヴ・チームが考えてくれました。"3つの新曲"を内容が異なる3形態でリリースするにあたり、ジャケットで「夏の在りか(昼)」、「スーベニールの花束(夕方)」、「星のパンフレット(夜)」を表現しています。夏は時間帯によって別々の趣や情緒があるので、そういった部分からも"夏"を表現できればと考えました。

Chiho:MVには私とShoko(DJ)とYutaもひっそり映り込んでいます(笑)。撮影の見学もさせていただいたんですが、3人の役者さんが「夏の在りか」の雰囲気をしっかり纏ってくれているのが伝わってきて、私たちのテンションもどんどん上がっていきました。ライヴで歌うときは、3人の主人公の姿が浮かびます。

Yuta:H△Gはステージで演奏する6人のメンバーだけなく、映像やデザインなど、裏でクリエイティヴ・ワークを行う人間もすべて"H△Gのメンバー"としています。なので、もちろん音楽だけではなく、映像やデザインなど、そこにまつわるすべての表現を"H△Gが生み出す表現"としています。

Chiho:H△Gの歌詞は、句読点がついていたり物語を読んでいるような展開だったりと、短編小説に近い雰囲気を持っているなと思います。そんな歌詞が、音楽という枠に留まらず、すべてのクリエイティヴな部分に刺激を与えているんじゃないかと私は思っています。

-「夏の在りか」は"17歳の夏の日"を切り取ったとのことですが、なぜ"17歳"と"夏"にフォーカスなさったのでしょう?

Yuta:Chihoがもともとライヴ時に制服を衣装として着ていたことがあったり、"17歳"という年齢は"青春期の葛藤や胸の痛み、そしてその蒼さを、言葉やサウンド、デザインで表現すること"をコンセプトとして掲げているH△Gにとっての"象徴"とも言える年齢です。甲子園を代表とする部活動の大会が夏にピークを迎えることもあり、夏は青春を象徴する季節だと思います。メジャー・デビュー日もあえて7月26日という真夏の時期に設定してもらいました。"17歳"、"高校野球"、"夏"という青春すぎるテーマのもとメジャー・デビュー曲を作ることは必然だったのかもしれません。

Chiho:私も吹奏楽部で夏の大会を何度か経験しましたが、コンクールのステージで演奏する約10分間を最高のものにするために、日々練習に明け暮れていました。その一瞬にかける想いとエネルギー、そしてそれが終わった瞬間に感じる喪失感。いまでも忘れずに残っていて夏が来るたびに思い出しますし、胸がきゅっと苦しくなります。活発な部活から帰宅部まで、みんなそれぞれに感じる夏があったと思います。そして蝉や田んぼの牛蛙など、毎年決まって聞こえる"夏のBGM"があると思います。そんなみんなそれぞれの"夏の在りか"を感じてほしいなと思い、今回は夏を切り取りました。