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INTERVIEW

Japanese

ぐるたみん

2017年09月号掲載

ぐるたみん

Interviewer:秦 理絵

-なるほど。では、カップリングの話も訊かせてください。「恋帯責任」は、クラウドファンディングでミュージック・ビデオを作るという企画も好評でしたが。

反応にびっくりしました。達成率791パーセントなんて見たことない数字ですよね。最初はクラウドファンディングっていうもの自体の印象はあんまり良くなかったんです。お金、お金してるじゃないですか。でも実際にやってみたら、たくさんの人たちが"協力するよ"って言ってくれて。しかも、めっちゃ楽しんでくれたんですよ。

-クラウドファンディングへの考え方も変わりましたか?

有益だと思いますよ。最近は若手のインディーズ・バンドがどんどんクラウドファンディングをやってますけど、いいことだと思いました。CDを制作するための資金源になるのがCDの購買だけじゃなくなるわけだし、プラン(リターン)を用意してCDを売ることで、よりCDが広がりやすくなるっていう可能性もあるわけですから。

-機会があれば、またやりたいですか?

やりたいですよ。ファンの人たちが楽しんでくれてたみたいなので。ただ使ったお金の経緯をちゃんと公表できるところでやりたいと思うんですよね。791パーセントの達成率のうち、半分以上はリターンが占めているんですけど、残りのお金はこういうふうに使っていますっていうのを全部出して、ファンを納得させることが必要だと思ってますね。

-そもそも「恋帯責任」は、クラウドファンディングのために書いた曲なんですか?

いや、自分の中でミュージック・ビデオにしたいと思っていた曲は違う曲だったんですよ。(初回限定盤のみに収録されている)「届け」という曲だったんですけど。「届け」と「恋帯責任」の2曲を一緒に事務所で聴かせたら、「恋帯責任」の方がいいんじゃないかっていうことになって、「恋帯責任」でミュージック・ビデオを作ったんです。

-この曲はベースのスラップがかっこいいですね。

そう、イントロをスラップから始めて、全部をスラップで作っていこうと思ったんです。だから、サビもスラップで作ってたんですけど、いつもお願いしてるバンド・メンバーの東野恵祐君が"サビは指弾きにした"って言ってきたんです。でも、そこはこだわりがあるから、ちゃんと弾いてって言いましたね。最近はライヴでもやってるんですけど、ちゃんとサビもスラップで弾いてくれてます(笑)。

-どうして、そこまでベースにこだわったんですか?

この曲の主人公は僕の友達なんですけど、ベースの人なんですよ。だから、この曲には絶対にベースが必要だったんです。

-サウンド的にはブラスのアレンジも華やかでかっこいいです。

トランペットを入れて、明るい感じにしましたね。最初はイントロもブラス系のイメージで作ってみたりしたんだけど、"ベースの曲じゃなくなっちゃうよね"っていうので省いたんですよ。結構試行錯誤して、このかたちになりました。この曲はライヴでやると、お客さんからため息が漏れるみたいな、他の曲とは反応が違うんですよ。"やりよるな"みたいな。かなりサウンドにこだわったので、それが嬉しいんですよね。

-タイトルの"恋帯責任"というのは、"連帯責任"をもじった造語ですけども、どういうふうに思いついたんですか?

だいたい、曲を作るときはワードだったりフレーズだったり、今回で言うと、ベースの曲を作りたいとか、最初にイメージがあるんです。で、その主人公のストーリーに沿って考えたときに"恋帯責任"っていう言葉が生まれたんです。恋人同士って、相手の悪いところしか見てないんじゃないかな、みたいな感じがあって......。

-たしかに最初が100点だったら、どんどん嫌なところが目につくから、減点方式みたいなところはありますよね。

まぁ......そんな感じです。ちょっと恥ずかしいな、この話(笑)。でも、タイトルとしてキャッチーな言葉をつけられたかなと思いますね。ミュージック・ビデオでは、自分が"ハッピー・デザイナー"みたいな存在を演じてるんですよ。

-ハッピー・デザイナーっていい言葉ですね。

「WAKE UP」のミュージック・ビデオも同じテーマなんです。「WAKE UP」のハッピーな毒をどんどん感染していくっていう。

-面白いミュージック・ビデオですよね。あと今作は、初回限定盤と通常盤にそれぞれ違う曲が収録されます。「届け」と「傷心者の一秒」。どちらも爽やかなポップ・ソングで、"あなた"に対して、ぐるたみんが音楽を届ける理由と意志が詰まった曲だなと思いました。

いま僕が本当に届けたいものですね。今回のシングルは「WAKE UP」と「恋帯責任」みたいなライヴでやりたい曲と、"みんなに届けたい"っていう「届け」と「傷心者の一秒」っていうふたつの主軸があるんです。それが、さっきの"「We Are HAPPY!!」に戻ってる"っていうことも含めて、次のアルバムに繋がるんですよ。『GRACE』は"G"が頭文字だったけど、次のアルバムは"L"が頭文字になると思いますね。だから「届け」で書いてるようなことも、その"L"に繋がってて......。いま、めっちゃアルバムのことを喋りたくなってきました(笑)。僕がシングルを出す理由っていうのは、アルバムに向けてなんですよ。次のアルバムにどんな曲が入るのかはもう決まってますから。

-今回のシングルを聴いた印象だと、"L"から始まるアルバムのタイトル......"LOVERS"とかが似合いそうですけど。

さぁ? どうなるかは、まだ言えませんね(笑)。