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INTERVIEW

Japanese

ORESAMA

2017年08月号掲載

ORESAMA

Member:ぽん(Vo) 小島 英也(Prog/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

2017年5月にシングル『ワンダードライブ』で再メジャー・デビューしたORESAMAが、わずか2ヶ月というインターバルでシングル『Trip Trip Trip』をリリースする。表題曲はTVアニメ"魔法陣グルグル"のオープニング・テーマ、カップリングには"e☆イヤホン"10周年タイアップ・ソングとTV番組"Esprit Japon"の主題歌を収録。どれも書き下ろしであり、新しい側面を見せながら、どの楽曲も"ORESAMAのポップス"としての芯を持っている。ふたりがタイアップの対象物とバランスのいいコラボレーションができている理由が垣間見られるインタビューになった。

-再メジャー・デビュー・シングル『ワンダードライブ』をリリースなさってからの反響はいかがですか?

小島:いままで来てくれた人はもちろん、TVアニメ"アリスと蔵六"を見て知ってくれた人たち、MVを見てくれた人たちもTwitterで反応してくれたり、ライヴに来てくれたりするようになって。ステージ上からも"あ、初めて来てくださった方だな"という顔がたくさん見えるんです。いろんな人に知ってもらえるきっかけになりました。

ぽん:再メジャー・デビューだ! とは思っていたんですけど、初めてアニメのDJイベントに出演させていただいたときに"じゃあ次の曲、「ワンダードライブ」"と言った瞬間にお客さんがわっと盛り上がって。いままで出会っていなかった方々にも届いていることが目に見えて嬉しかったです。

-再メジャー・デビューから約2ヶ月でリリースされる『Trip Trip Trip』は3曲ともタイアップ曲の書き下ろしで、表題曲はTVアニメ"魔法陣グルグル"のオープニング・テーマです。長く愛されている漫画の三度目のアニメ化で、放送前からアニメ・ファンや漫画ファンの間でもかなり大きな話題となりました。

ぽん:未だに夢なんじゃないかと思います。私たちがオープニング映像を見たのはアニメの初回放送のタイミングなんですけど、小さいころから見ていた作品なので嬉しいし感動するし......いろんな気持ちが湧いてきて。自分たちの曲でキタキタおやじ(※"魔法陣グルグル"の登場人物)が踊っているという事実に泣き笑いでした。"魔法陣グルグル"は家にビデオがあったので、学生のときに勉強してるふりをしながら見たりしていたんです(笑)。現実から連れ出してくれる世界観がすごく好きで。

小島:僕は「MAGIC OF LOVE」「晴れてハレルヤ」など、昔の"魔法陣グルグル"のアニメの主題歌が好きでよく聴いていて。あの2曲は本当に伝説の曲なので、同じように認めてもらえるくらい良いものを作らないと、という気持ちはありました。

ぽん:自分が"魔法陣グルグル"を楽しんでいた側だったし、ファンの方がとても多い作品なので、お話をいただいたときは"嬉しいけど、どうしよう!?"という気持ちがすごく大きくて。でもそこは割り切って、ORESAMAの"魔法陣グルグル"を作るしかない! ということだけを考えました。

小島:それでアニメの制作サイドさんと打ち合わせをしたときに、"冒険の始まる高揚感、きらきらした感じ"という話が出てきて。

ぽん:小島君と私の"魔法陣グルグル"に対する共通認識が"おもちゃ箱"だったんです。それを共有して小島君が曲を作って、そこに私が歌詞を乗せました。

-落ちサビの前の遊園地のようなトラックは、まさにおもちゃたちが動き出すようなメルヘン感ですものね。

ぽん:そうですね。"おもちゃ箱"がキーワードだったのもあって、展開が多い曲になりました。

-アーティストさんによってはアニメの主題歌として使われる89秒の部分だけアニメの世界観に寄せて、それ以外のフル尺では自分たちの好きなことをやる、という方々もいらっしゃいますが、ORESAMAの場合はフル尺でアニメの世界観を表現するということ?

小島:僕は基本的にイントロを作って、そのあとにAメロ、Bメロ......というふうに頭から順々に曲を作っていくんです。だからアニメの世界観とかはあまり考えず、テーマをもとに、自分の好きなようにフル尺で楽曲を作って、最終的にそれを89秒にまとめています。アニメの制作サイドさんにも、"アニメと合わない"とは言われなかったのでOKかなと(笑)。だからフル尺1曲を通してORESAMAの曲だと思っているし、あくまでORESAMAの楽曲として世に出したいという気持ちがあるんですよね。できるだけ自分たちの世界観を大事にしています。

-シンセや鍵盤が表立ったサウンド作りになさった理由は?

小島:"おもちゃ箱"はきれいなもの、おしゃれなものというイメージが僕にあって。だから、この曲に関してはジャカジャカしたギターを出すよりは、鍵盤やシンセできらきらとした、ヴィヴィッドでちょっと都会的なイメージを出したくて。ギターはおしゃれに聴かせることもできるけど、独特の泥臭さもあると思うんですよね。それもあってこの曲はギターを抑えめにして、鍵盤やシンセを前に出しています。シンセで裏メロを入れて華やかさや楽しい雰囲気を演出してみました。

-華やかな印象が強いけれど、ベースがえげつないくらいゴリッとしているという、小島さんらしいギャップもあり(笑)。

小島:Moogという実機のアナログ・シンセと打ち込みのベースを重ねて作った音なんですけど......ここはもうどれだけエグくできるかという趣味の領域ですね(笑)。あのベースがあるからこそ、上にどんなものが乗っていてもORESAMAっぽいと言ってもらえるかなと思っていて。

-そうですね。「Trip Trip Trip」は"魔法陣グルグル"のストーリーをなぞるというよりは、"魔法陣グルグル"の要素をきっかけにORESAMAの新しい側面が出た楽曲になったのではないかと思います。おふたりが馴染みのある作品だからかもしれませんが。

ぽん:お話をいただいて改めて原作を読んで、まずククリちゃん(※"魔法陣グルグル"のヒロイン)の輝きが眩しくて......30歳、40歳、50歳になってもこのままでいてほしいなと思ったんです。それと同時に、何かに初めて触れたときのときめきとか、きらきらした気持ちは、私たちも持ち続けて走っていきたいなと思って。ストーリーも知っているし、過去の名主題歌も知っているので、あまり考えすぎないようにしながら、"冒険を始める、その瞬間のときめき"をテーマに、"魔法"と"光"をマストのワードにして歌詞を書いていきました。その結果、より自分のものになったなら嬉しいな。