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INTERVIEW

Japanese

カトキット

カトキット

Member:あっけ(Vo/Syn/Gt) ジャパニーズ田中(Ba) コバヤシヒロユキ(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-わかります。精神的な意味のロックですよね。「芸術家気取り」でも流行りに乗っかるだけの価値観に対しての怒りを曲にしているし。

あっけ:これは曲だけは最初に彼(コバヤシ)が作ってきたんです。

コバヤシ:コード進行だけ持ってきて、あとからメロディと歌詞を作ってもらってたから、この曲だけ毛色が違うんですよ。シンプルなのをやりたくて。THE CARDIGANSとかMANDO DIAOみたいなシンセ・ポップな感じというか。

-"芸術家気取り"っていうのは自分に対してのディスなのか、人に対してのディスなのか、どっちのつもりで書いたんですか?

あっけ:両方ですね。いま自分がインタビューを受けてるのもおこがましいなと思うんですけど。ヴィレッジヴァンガードとかに並んでる、それっぽい人の写真集を見ながら、"これ、ほんまにみんな良さがわかってるかな"って不思議に思うんですよ。オシャレっぽく見えたり、アーティスティックみたいなものが流行りすぎてるから。

コバヤシ:いまの若い者はって言うと、頑固親父みたいになるけど(笑)。僕らは流行りに乗っかれる人間じゃないんですね。

あっけ:流行りに乗ってキャッキャ言える人に対するひがみなんでしょうね。

-「神様のはからい」は歌うことの決意表明にもとれますね。"歌わなくちゃいけないのは/絶望の「望」と あたしは知ってる"って。

あっけ:そう、そうなんですよ。結構捻くれてるとか暗いとかメンヘラとか言われるんですけど、私の曲は死にたいだけで終わる曲は1曲もないんです。いろんなことを感じながら生きていこう、っていうことを歌いたいんですね。どちらかというと、私が"死にたい"っていう言葉を使うときは、生まれ変わりたいと思ってるんです。1回リセットしましょうよ、って。そういうふうに汲み取ってほしいですね。だって女の子が"死にたい"って歌ってるようなステージは見たくないじゃないですか。

コバヤシ:その言い方が面倒くさいですよね、"死にたい"とは言いたくない。

-イコール"生きたい"っていうことなんでしょうけどね。だから「喪失」もタイトルは一見ネガティヴに捉らえるけど、ちゃんと生きていくっていうことを歌ってて。

あっけ:そうなんですよ。「喪失」は恋を題材にしてるんですけど、恋愛における恋だけじゃなくて音楽を好きになったり、バンドにハマったりすることも素敵だと思うんです。ハマるって大人になればなるほど怖いじゃないですか。周りが見えなくなるから。でもその経験は素晴らしいものだと思うんです。それこそ同世代の人がどんどんバンドを辞めたりもするし、それは無気力というか、喪失の状態だと思うんですね。でも、そこから恐れずにまた生きていってほしいなっていうのも込めました。大事な曲ですね。

-何かを伝えるっていう部分では、たしかに遠回りをした表現も多いけど、前作よりも確実に聴き手に何か残るものを込められたんじゃないですか?

あっけ:本当にそう思います。だからもっと売れたい(笑)! いまはバンドが多いじゃないですか。フェスに出てワーワー言うだけのバンドにはなりたくないんですよ。そういう人たちのことを、私はフェス専用バンドって呼んでるんですけど。

コバヤシ:本当に口が悪いな......。

ジャパニーズ:もう少しオブラートに包もうよ(笑)。

あっけ:(笑)私たちは一生ものの音楽を届けたいし、一生ものの音楽として受け取ってもらいたい。そういうものを求めてる人に届いてほしいですね。

ジャパニーズ:まぁ、フェス専用バンドになりたくないのもわかるけど、それもあっけのただの捻くれかもしれないって思うんですよね。

-本当はそこに憧れてるから。

あっけ:そうなんです。

ジャパニーズ:そう。だから僕はこのままあっけをキャンキャンやらせといて、一歩引いたところから援護射撃をしたり、盾になって守ってあげる立場なのかなって思ってます。そうやってカトキットは進んでいけたらいいですね。