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INTERVIEW

Japanese

岩ヰフミト

2017年07月号掲載

岩ヰフミト

Interviewer:秦 理絵

-私の感覚だと音楽が好きなら、それを作る人に興味を持つのは当たり前なんだけど、そうやって自分に興味を持ってくれる人がいることにいまごろ気づいたんだ。

部屋にこもって曲を作っているときには誰が聴いてくれるかなんて想像上のことでしたからね。でも一方で誰かのためにプレゼントとして曲を書く自分もいて。それが本当に乖離してた。そこに、初めてワンマン・ツアーをやったときに気づいたんです。

-そこにもふたりの自分がいるわけですよね。

そうなんですよね。

-さらにシングルにはカップリングとして「星が降る夜に」も入るわけですが、スタイリッシュなミディアム・ポップの曲ですね。

いまのシティ・ポップ感もありつつですよね。これは去年の夏に北海道の岩内に旅行に行ったのがきっかけでできた曲なんです。仲間たちと車で行って。1泊2日だったかな。野原に寝っ転がって星を見たときに、びっくりするぐらいきれいだったんですよ。

-同じ北海道でも恵庭(※FOLKSの出身地)と違うんですか?

違いましたね。僕の街でも見えてると思ってたんですけど。流れ星がずっと降ってるのをそのときに初めて経験したんです。で、帰りの車の中で親友と――さっきの結婚した奴とは違う親友なんですけど、夏目漱石の話をして。夏目漱石(が教えていた学校)の学生が"先生、I love youは日本語でどう言えばいいですか?"って聞いたときに――

-あぁ、"月がきれいですね"って答えたっていう。

そう。そのまっすぐには伝えられないことをロマンチックに言う感じが、曲のロマンチックなアレンジに合うなと思ったんです。もどかしい想いを、最後に"月がきれいだね"で終わらせた。だからフィクションと合体させた、みたいな曲ですね。

-この曲を自分の中の二面性で説明すると?

サウンドはFOLKSで作る感じで、いま自分が気になってる音楽をいろいろ研究しながら構築してますね。その中にいま純粋に書きたい歌詞を注入した曲だと思います。

-わかりました。このソロ・プロジェクトを終えたとき岩ヰさんがどうなるか楽しみです。

どうなるかは誰も知らないのが面白いですよね。もしかしたら、どっちかだけになるかもしれないし、実は最初からそんなものはなかったかもしれないし。

-個人的には両方が良い感じに溶け合うのが理想な気がしますけど。

そうなんですよね。ずっと何十年も生き残るバンドはそこがナチュラルだと思うんです。J-POPっぽいとか洋楽っぽいとか、それを感じないぐらい独立な存在になってる気がして。まだ俺らはそこじゃないんですよ。何々っぽいっていうのが曲によって出てしまうし。本当にビックなバンドになる人たちは、そこが溶け合ってるんじゃないかなって思うから。だから僕もそこに向かう過程を踏んでみたいと思ってるんです。

-ソロとしては今後アルバムを作るとこまで辿り着くイメージですか?

見たいものが見えるところまではやりたいなと思ってます。そうじゃないと、手ぶらで(FOLKSに)帰れないなっていうのはあるので(笑)。