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INTERVIEW

Japanese

HEADLAMP

2017年07月号掲載

HEADLAMP

Member:平井 一雅(Vo/Gt) 白石 浩輝(Ba)

Interviewer:秦 理絵

-「帰せる列車に」ではそれぞれの故郷とかを思い浮かべると思うんですけど、HEADLAMPにとっての帰る場所はどこをイメージしたんですか?

平井:THE SALAっていう茨城のバンドがいるんですけど、そのバンドが茨城でやってる震災復興フェスがあって。それに俺らは、高校3年生ぐらいから皆勤賞で関わらせてもらってるんです。それが昔は小っちゃい会場でやってたんですけど、いまは日立市の河原子北浜スポーツ広場っていうデカい公園全部でやるぐらいになってるんですね。花火も上がるようになって。その花火を見るのがめちゃくちゃ好きで、泣けてくるんですよね。小っちゃい復興フェスとして始まったときに茨城の人たちが握ってくれたおにぎりの味とか、みんなで立てたテントとかを思い出して。その花火を見ると、今年も夏が来たと思うんです。

-"季節外れの花火"って出てくるのは、その景色なんですね。

平井:そうですね。そこで俺らも一緒に育ってきたんです。

白石:もう一生出るって約束してますね。

-その次の「旅の後書き」はアルバム全体のテーマにもなっている"生きている"っていうことに繋がるようなドラマチックな曲だと思います。

平井:この曲は、"旅の後書き"っていうタイトルから決めました。これはいつやったかなあ......佐賀に行ったときに書こうと思って。

-前回のインタビューで言ってた、良いライヴができたっていう佐賀?

平井:そのもうひとつ前ですね。『NEW ORDER』(2016年リリースの1stシングル)のリリース・ツアーが終わるタイミングで、"佐賀好きやわ"って思ったときがあって。このツアーを歌にするなら、「旅の後書き」やなって思ったんです。いままでまったく出会うはずのなかった人たちと出会えたし、俺の人生はいまがクライマックスやけど、これからも登り続けていくよっていう意味を込めて。これは初めてプリプロをしたときに、夜中にひとりで泣いてました(笑)。

-どうして泣けてきたんでしょうね。

平井:良すぎたんですよね。"人生のクライマックス"っていうのは、"エンディング"じゃないんです。一番盛り上がっていく瞬間がクライマックスで、エンディングは終息していくじゃないですか。だから、ずっとクライマックスが続けばいいなと思って。サビの終わりで"時間に囚わる者から 駆け落ちていってしまうんだ"って歌ってるのは焦りですよね。焦って"こうやらなあかん。はよ売れなあかん"ってなってたら迷いが出てくるし、そういう人からバンドをやめてしまうものだから、そうならないように。

-焦らないようにしてるって最初に話してくれたことにも繋がりますね。

平井:アルバムを作ってるとすべてが繋がるんですよ。昔の曲と今の曲なんて小学校1年生と小学校6年生ぐらい時期が離れてるけど、同じ人が作ってんねんなっていうのは思いました。

-だからこそ、アルバムの最後に「ウチュウイチ」っていう昔の曲を入れても違和感がなかったんでしょうね。新しい決意を乗せた新曲じゃなくても成立してるというか。

平井:そうなんです。ほんまは「旅の後書き」が最後なんかなと思ってたんですよ。曲順は結構迷ってたから、いろんな先輩にも聴いてもらったんですけど。そういうなかで、FouFouのヴォーカルのIda君(Takeru Ida)っていう先輩に"「ウチュウイチ」がラストなんじゃないか"って言われて。それで"うぉー!"ってなりましたね。あ、締まったって。「ウチュウイチ」は2年前の曲なんですけど。

-"宇宙一のバンドマン"っていうフレーズをいま改めて歌ってみてどう思いましたか?

平井:よう言ったなと思いましたよ。この曲がHEADLAMPを形作ったものかなって思うんです。"HEADLAMPを言い表す言葉は何?"って聞かれたときに、"宇宙一のバンドマンです"って自信を持って言えるんちゃうかなって思えるようになったんです。

-当時、これは何かきっかけがあって書いたんですか?

平井:当時付き合ってた子と......いろいろ悶着があったときやって。そいつもバンドマンやったんですよ、俺らよりも全然先輩で。俺は守ってあげたいけど、俺より全然すごい人だから俺の力で守れるかな? と思ってたんです。俺がどのぐらいすごくなったら、こいつのことを守れるかなと思ったら、世界一かっこいい奴じゃなくて、宇宙一やなと思って。一瞬で書きました。スタジオで合わせたときもすぐに仕上がったんです。

白石:完全に平井の中で完成像ができてたから、合わせるだけだったよね。

平井:まぁ......そのあとにフラれたんですけど(笑)。

-それでも歌い続ける意味がある曲だったんですよね。

平井:やっぱりラヴ・ソングはその人のために書いたけど、聴いてくれてるお客さんとか仲間とか友達とか、全員に歌える曲やと思ってるので。ライヴで目の前にいる人には、"ほんまにお前のことを歌ってるんで"ぐらいの気持ちですよね。だから"任せぇ!"って思う。

-HEADLAMPって、大きなことを歌ってても大口叩いてる感じがしないのがいいですよね。

平井:あははは! 雑魚なんでね(笑)。

-いや、そういう意味じゃなくて......すごくピュアに受け取れるというか。

白石:俺たちは本気で思ってるからかな。

平井:これを言ってやろうとか何も狙ってませんからね。

-これからも「ウチュウイチ」は長く歌い続ける曲なんでしょうね。

平井:いろんな人にとっての宇宙一のバンドマンになりたいですからね。

-この7年間ぐらいの集大成のアルバムを作り終えてみてどうですか?

白石:最後に夜通し作業をやり終えたあとに、全員で聴いたんですけど、"あー......いいのできた"っていう、あの瞬間がたまらなかったです。

平井:朝の5時ぐらいやな。自分の中では前回のシングルで起承転結の"承"ができてたので、このアルバムは"転"なんですけど、それがまた"結"になって"起"にも繋がる感じを出せたから。これを、これからもずっと続けていくんだろうなと思いますね。