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INTERVIEW

Japanese

HEADLAMP

2017年07月号掲載

HEADLAMP

Member:平井 一雅(Vo/Gt) 白石 浩輝(Ba)

Interviewer:秦 理絵

-こうやって話を聞いてると、リード曲は新曲の「ON THE GROUND」でも良さそうですけど、「夏、駆けっ娘」(Track.2)を選んだのはどういう意図があったんですか?

平井:単純に、リリースするのが夏なので。俺らは夏バンドだなと思うんですよ。

-たしかに、「THE SUMMER OF SPRING」(Track.5)とか「旅の後書き」(Track.11)とか、夏っぽい曲が多い。

平井:そうなんです。Tシャツが似合う感じのバンドなので。

白石:夏が得意だよね。

-この曲は和メロっぽい感じのダンス・ロックですけども、かなり古い曲ですよね。

白石:19歳のときからやってた曲だよね。

平井:当時、四つ打ちの曲が流行ってたんですけど、俺らは倦厭してたんですよ。

白石:四つ打ち嫌や、みたいな。

平井:それで、逆に"じゃあ、やろう"みたいな。

-嫌いだからやる?

平井:そこで毛嫌いしてやらないのは違うなと思ったんですよね。一度取り入れてみたらいいんじゃないかって。そしたらお客さんも気に入ってくれて。Cメロの"「おーい、こっちだよ。」"のところはいま聴いても面白いなと思います。

-「パンジー」は"閃光ライオット 2012"でファイナルに進出したときの曲ですけども、今回録り直すにあたって当時のことを思い出したりしましたか?

平井:思い出しました。「パンジー」と同じころに書いたのが「8月7日~ハナノヒ~」(Track.8)なんですけど、泣きそうになりながら歌ってました。この夏はすごく良かったんですよね。"閃光ライオット"でファイナルまで進んで、一瞬"売れた!"と思ってたから。でも、その次の年には"そうでもなかったな"って気づいたんです。この年はバンド仲間が一斉にバンドをやめた年だったんですよ。と同時に、全国には残る奴がおんのやっていうのを知って。

白石:それまで地元しか知らなかったのが広がったよな。

平井:一気に景色が広がって、日本中に仲間ができた時期でしたね。そういうのを振り返ると、俺らは駆け出しのころのスタート・ダッシュが速かったんですよ。でも、そこから同じ速度で歩いてるだけやったので、あとから飛び込んできた奴らに越されてる部分もある。そういうなかでも俺らなりに8年やって、いまアルバムを出せるのがいいなと思いますね。

-焦りはないですか?

平井:うーん、焦らなあかんと思うんですけど、焦らないようにしてますね。焦ってしまうと、逆に崩れていくものばっかりだと思うので。今回のアルバムも何かを得ようとかじゃなくて、とにかく自分らしく踏み出していくための一歩なんです。

-そういうのを振り返りながらのレコーディングだったと。

平井:ちゃんと思い出しながら、次はどこに行こうかっていうのを考えてましたね。


俺はパンクが好きだから、パンクをせえへんっていうパンクをしたいなと思ってる


-新曲についても聞ければと思います。さっき、昼にムカついたら聴けっていうので「PUNKS!!」が出てきましたが。

平井:久々にムカついてできた曲ですね。

白石:珍しいよな。

-もともとHEADLAMPって、前身バンドの名前がTHE PUNKsですよね?

平井:そうなんです。だから、そのときのスタンスを思い出して書きました。"いま、俺はこうしたいんだ!"っていうだけの尖った曲ですね。すぐにできました。

-HEADLAMPって、ものすごく奇抜で新しいことをやるバンドではないし不器用なぶん、いろいろなことを言われる。この曲の怒りは、それに対する怒りですよね。

平井:うん、まさにですね(笑)。俺らって普通のバンドやと思うんですよ。いまの周りのバンドが目指してるような、他にはない個性を見つけ出して、自分たちを個性的なバンドとして売り出したいとかいう思いはまったくなくて。みんなが思ってる普通のバンド像みたいなバンドやと思うんです。それでいいと思う。普通っていう特別があると思うんです。

白石:俺らはこれをやりたいんだっていうことですね。普通のままデカくなるのが一番かっこいいと思うんですよ。みんなもできるんやぞっていうのを見せられるし。

平井:そういうバンドも少なくなったと思うんですよね。

-10曲目の「帰せる列車に」あたりからは夕方に向けての曲になります。特に「帰せる列車に」はセンチメンタルな感じもするメロディック・パンクですね。

平井:2ビートっぽくないんだけど2ビートっていう、モンパチ(MONGOL800)みたいな曲ですよね。この曲は、セピア色の景色って音に出るんやっていう発見があって。タイトルも気に入ってるんですよ。あんまり大きい声で言えへんけど、キセル乗車って、たぶん学生のときにみんなが1回ぐらいはやったことあると思うんですよ。そのキセル乗車と"帰せる列車"がかかってるんです。いまはこんなやけど、俺らも昔はもっと悪かったぞ、みたいなのもあるし(笑)。昔を知ってる奴がニヤッとできたらいいなと思って。

-「PUNKS!!」みたいな怒った曲もありますけど、たぶんHEADLAMPは"THE PUNKs時代"の尖った部分も決してなくしたわけじゃないですよね。

平井:そうですね。いまも、"心はパンクで音はポップ"ぐらいの気持ちでいきたいなと思ってるんです。俺はパンクが好きだから、パンクをやるのはちょっと違うと思うんですよ。パンクが好きだからパンクをせえへんっていうパンクをしたいなと思ってる。

白石:あはははは!

-捻くれてるなぁ(笑)。

平井:パンク好きな奴がパンクをしたらパンクにはなるやろ? それだと反骨してないじゃないですか。これが俺のやり方のパンクなんですよね。