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INTERVIEW

Japanese

fhána

2017年08月号掲載

fhána

Member:佐藤 純一(Key/Cho) yuxuki waga(Gt) kevin mitsunaga(PC/Sampler) towana(Vo)

Interviewer:吉羽 さおり

fhánaは、全方位型というか。バンドなんだけど、いろんなタイプの曲を作っている


-そして、アニメ盤のカップリングが問題作でして(笑)。kevinさんの作曲の「reaching for the cities」ですが、歌が始まってびっくりしました。ラップなの!? っていう。

kevin:ラップでしたね(笑)。最初に作ったときは、ラップじゃなかったんです。で、僕が現場にいなかったときに、"ラップ、いいんじゃない?"っていう意見が出たらしくて。それを聞いて、"なるほど、じゃあそれで作ってみましょうか"という。

yuxuki:ラップしようかって言ったの俺だったんですけどね。

-"ラップしたい"と言っても、実際に歌うのはtowanaさんですからね(笑)。

towana:私は、その"ラップ、いいんじゃない?"っていう現場にいて、ずっと黙って聞いていましたけど(笑)。できるのかな? って思いながら聞いていました。やったことなかったので。

-すごくハマっているんですよ。90年代の日本語ラップの感覚があって。

kevin:最終的に、僕もめちゃめちゃ好きな感じの曲になって。

towana:ユルーいラップみたいな。

kevin:ちょっと温度が低めで、ポエトリーっぽいのがあるようなラップが好きなんです。僕としては、そういう曲になってとても嬉しいですね。あとは歌詞も、僕が青春時代に聴いてきたような曲のエッセンスがいっぱい入っていて好きですね。

佐藤:最初は、普通にシティ・ポップっぽい曲だったんですよ。みんなで聴いているときに、もっと面白くするにはっていうので、yuxukiから"ラップがいいんじゃないですか"っていう案が出て、ラップしよう! みたいなノリになって(笑)。その場でいろいろと参考になるような音源を聴いたりしていったんです。フランスのPHOENIXの新しいアルバム『Ti Amo』の1曲目も、Aメロが気だるいラップみたいな感じだったり。僕はもともと、スチャダラパーとかかせきさいだぁとか、文化系のラップの系譜が好きだったので。そのノリをtowanaがやったら絶対かわいい感じになることは、パッとわかったんです。towana的には不安だったと思うんですけどね。

towana:レコーディングの日まで、ここまで全部ラップになるって、私は思ってなかったんです。kevin君が作詞の林(英樹)さんに渡したデモは、作詞用に一応メロディが入っているもので。それを聴きながら練習していたから、メロがありつつ、たまにラップになる感じでいいのかなと思っていたんですけど、当日レコーディングに行ってみたら、全部ラップということで。ええ!? って。個人的には、なんとかなってよかったなという(笑)。

kevin:本当に初挑戦だったと本人も言っていて、歌う前に"どう歌ったらいいかわからない"という話になったので。1回僕が先にヴォーカル・ブースに入って、仮歌というか、こんな感じのニュアンスでっていうのを録って、みんなに聴いてもらってというのはやりましたね。

towana:結構手伝ってもらいました。ブースに入る前も、テンションを上げてくれっていう(笑)。"みんな、今日は私を励ましてくれ"みたいなことを言いながらブースに入りました。アゲめでお願いしますって。

佐藤:でも試しに歌ってみた状態で、いいじゃんいいじゃんっていう感じで。

kevin:最初から、普通に良かった。

-これを女性が歌ってるのが面白くて、爽やかさがより強調されているんですよね。本当に、fhanaってなんでもできちゃいますね。

yuxuki:何やっても許される(笑)。

-ロック・バンド、ポップ・バンドでいきなりラップをやるかって言われたら、やらないと思うんですよ。それをやっちゃうところが面白さだと思うし、音楽的なフットワークの軽さだとも思うんです。

yuxuki:バンドだとあまりないですよね。柔軟にいきたいです。

佐藤:fhanaはバンドなんだけど、いろんなタイプの曲を作っているなと思いますね。いわゆるバンドっぽい、ロックっぽい曲もあれば、テクノっぽい曲もあって、バラードもあれば、今回ラップもあってとか。全方位型というか。

-ポップスの醍醐味を体現していると思います。

kevin:3人が曲を作れることの良さですよね。

-また今回、カップリングの2曲は共に、"旅に出よう"というフレーズが入った歌になってますね?

kevin:次の3rdアルバムを見据えて作っているんです。次のアルバムの根底にそういうコンセプトがあるんですよね。

佐藤:3rdアルバムのタイトルが"World Atlas"ということで、ほぼ決まっているんですけど。この間のツアーのタイトルが、"Looking for the World Atlas Tour"──世界地図を探しに行く旅というもので。アルバムに繋がっていくような作りになっていたんです。1月のシングル『青空のラプソディ』のカップリングから、「現在地」とか「Forest Map」とか、"地図"というテーマできていて、その一連の流れの中に今回の曲もあって。なおかつ、ツアーを終えて、その高揚感とか経験が歌詞に反映されている感じですね。

kevin:特に「reaching for the cities」の歌詞のポイントは、"旅に出ようぜ"なんていう、fhanaではこれまで出てきてないワードじゃないかなと。

-ツアーでのいい手応えもあって、今回のシングルもあってアルバムが楽しみですが、どんなものになりそうですか。

佐藤:いつも、開かれたアルバムにしたいというのは言っていますけど、今回は、"World Atlas"ということで、そもそも世界地図ってなんぞやっていうところから考えていて。世界中に、物理的にも地理的にもいろんな地域の人たちがいたり、音楽ジャンル的にも、例えばアニソンを聴く人、アニソンを聴かない人、ヒップホップは聴くけどロックは聴かない人とか、いろんな場所の人たちを引っ張り出してきて、集まれるような。そういう目印みたいなものが作れたらいいなと思いつつ、曲を作っているところですね。きっといいアルバムになると思います。