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INTERVIEW

Overseas

THE STRYPES

2017年06月号掲載

THE STRYPES

Member:O'hanlon(Ba)

Interviewer:安江 幸子

-前作はJosh McClorey(Gt/Vo)が曲の多くを手掛けていたのが、今回はあなたのクレジットも増え、Evanもほとんどの曲に携るようになりました。もっとグループ作業になったような気がします。これはEthanがあなた方のことをよくご存じだから、ライヴのときと同じようにグループ作業をするような感じに持っていったのでしょうか。

うーん、彼が携るようになる前から、グループ作業的な感じにはなっていたんだよね。彼が加わった時点で曲はすでにできていたから、どんなアルバムになるかはだいたいわかっていたんだ。初期のころカバーをやっていたら、いろんな人に"お前らカバーやってるのか、それってどうなの"みたいに言われたんだ。16歳か17歳のころかな。それでオリジナル曲を書くようになった。たいていの人の場合、初めて作ったオリジナル曲はベッドルームにお蔵入りになっているものだけどね。誰にも聴かれることなく終わる。でも俺たちの場合は、初期の自作曲も実際にアルバムに収録されている。そのぶん、作るのに時間がかかるけど、いいことだと思うよ。たいていの人はこの歳でアルバムに曲を収録するってことがそもそもないわけだから。あんなに若い歳であれだけ受け入れてもらえたのはすごいことだと思うしね。ありがたいことだよ。そんなわけで初期の経験があったから、今回はわりとスムーズにアルバムを作ることができた。ステージに上がって初めて(全体で)音合わせするバンドもあるだろうけど、俺たちの場合は制作から共同作業だったから良かったよ。

-曲は相変わらず多彩ですが、何か一貫したテーマのようなものはありますか。

うーん、俺は自分が手掛けた曲のことしか言えないけど、歌詞のテーマというより曲の構造に一貫性があると思うね。俺自身は何かを暗に匂わせるような内容のものよりも、その人が何を言いたいかがはっきりわかるものが好きなんだ。壁に絵が掛かっているとして、何の絵かすぐにわかるようなタイプのが好きだね。聴き手に好きなように想像してもらうよりも、歌詞でガツンとイメージを打ち出す方が好きというか。例えばレストランの席に座っている歌だとしたら、そのレストランがどんな感じなのかを描写するのに2ヴァースかける。具体的な図をできるだけ描いてもらう感じかな。といっても、そういうのをやっているのは俺だけじゃなくて、SQUEEZEとかBob Dylanなんかも大昔からやってるけどね。

-なかにはシリアスな内容のものもありますが、元気が出るムードのものが多いですね。聴いている方が問題を抱えていたとしても、これを聴いてまた頑張ろうと思えるはずです。

そうだね、コントラストを作ろうと思ってあえてそうした部分はある。内容的にはかなり打ちのめされるものだったとしても、アップビートなメロディに救われるような感じかな。

-あなた方の曲は影響がうまくブレンドされていて、ちょっと懐かしい感じの曲も若いあなた方が演奏することによって新しい命が吹き込まれて、年上の世代にも新鮮に聞こえると思います。それがあなた方の音楽の魅力ではありますが、今回の場合、新しい音楽からの影響もさることながら、休息をとったことで、また演奏したりツアーに出たりすることが嬉しかったりワクワクしたりするようになったというのも貢献しているのではないでしょうか。

それは間違いなくあるね! 少し休んでしばらくみんなで活動できなかったのが、またみんなでやれることになったから、そのワクワク感は反映されていると思う。みんなでひとつの部屋で一緒にレコーディングできたのが大きかったんじゃないかな。音数はかなり削ぎ落としてあるからそんなに多くないけど、ヴォーカルも大半が生で録音されているしね。すごく楽しかったよ。そういう感覚って、今みたいにトラックごとに録音することが多いと、だんだん失われてきているような気がする。メトロノームとか使って杓子定規に録音すると、エネルギーが消えてしまうし、人間臭さが消えてしまうと思うんだよね。今はミュージシャンが実際にプレイしたものを聴く機会がどんどん少なくなっているから、俺たちみたいなプレイの仕方はそれだけで雰囲気作りをすることができるんだ。俺たちは実際に一緒にプレイしているし、それを楽しんでいるからね。

-そして、もうすぐ日本のファンもそのエネルギーを直接浴びることができそうですね。6月1日からUKツアーに出て、夏にはフジロックでまた来日します。日本はヘッドラインでもフェスでも何度か来ていますが、どんな印象ですか? 初来日のときにワサビで文字どおり目が覚める経験をしたらしいですが。

(笑)......日本でこんなに受け入れてもらえているのが本当に信じられないよ。日本のUNIVERSAL MUSICもツアーのエージェントも本当に良くしてくれて、俺たちのことを仲間だって考えてくれている。何より、ギグに来てくれるみんなもすごく反応が良くてね。そうそう、初めて日本に行ったとき、レーベルにディナーに招待されたんだけどさ。俺は普段あまり食べ物で冒険しないんだ。ウェットな食べ物にはあまり手をつけない。だけどそのときは初めての日本だったし、ディナーに招待してくれるなんて嬉しい! と思ったし、その前のライヴがソールド・アウトで最高の内容になって、みんなすごく気分がアガってたんだ。まだ17歳だったしね。で、ウキウキとディナーに行った。そうしたら今まで見たこともないようなデカい皿にカラフルな料理が乗っかっててさ。"スター・ウォーズ"のワンシーンかと思ったよ。その中に、緑のボールみたいな丸いものがあったんだ。アイスクリームみたいな感じにこんもりとしててさ。俺はそれを丸ごと手で掴んで......それから2日間眠れなかった(苦笑)。初めての日本の思い出がそれだったんだ。

-......そんな経験をしたのに今も日本を好きでいてもらってよかったです(爆笑)。

(爆笑)日本は大好きだよ! 俺もメンバーも大好きだから、早く行きたくてウズウズしているんだ。

-最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

みんな聴いてくれ(笑)! アルバムを待っていてくれてありがとう。俺たちもやっとできてホッとしているんだ。今回出るフジロックは前にも出たことがあるけど、あのときは俺たち史上最高のギグができた。しかも今回は前より大きなステージに出られるんじゃなかったかな? だからとても楽しみにしているし、その前にみんなに新作を楽しんでもらえるといいなと思ってるよ。早く会いたいね! そしてできれば年内にツアーでも行きたいと思ってるんだ。