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INTERVIEW

Japanese

The coridras

2017年06月号掲載

The coridras

Member:杉本健人(Vo/Gt) キツタカ ヒロタカ(Gt) 大西リョウ(Dr)

Interviewer:石角 友香

-なるほど。じゃあわりと失ったり状況が変わっていく中で気づくことが多かった?

杉本:でも状況に甘んじてた自分たちもいるわけで。ポジティヴに言うと、いい経験させてもらったかなと。自分もバンドに対して、ヴォーカルが聴こえなかったら"音下げろ"とか言うと思うんで。僕の中の音楽観は前の人たちと作り上げてきたものでできている印象もあります。

-面白いメカニズムを持ったバンドですね。

キツタカ:そうですね。良くも悪くもあまり普通のバンドらしくやれてなかったし、それが普通だと思ってたから。

-ところで、今は北海道在住のバンドも多いけど、なぜみなさんは上京しようと?

大西:僕はメンバーになる1年前ぐらいからこのバンドに携わってたんです。チャンスを一度失っているから、次に打つ手としては、チャンスがいっぱい広がってる場所に自分たちから飛び込んでいくしかないんじゃないかな、という話をして東京に行こうかってみんなで決めて。

杉本:もともと音楽を始めた理由って、アメリカン・ドリームみたいな大きいものだったし、それがダメだったらやめればいいぐらいの気持ちでずっとやってきたんで、あんまりダラダラやる気もないというか。

-いわゆるロック・バンド・ドリーム的なものですよね。それはどこで培われたんでしょう?

杉本:今は小さいステージも観るけど、当時は小さいステージなんて観たこともないし。

-特に北海道まで来る人ともなると。

杉本:ないですないです。YouTubeとかもまだまだだったんで、ライヴ映像とかも上がってないし。あるとしたらわかりやすいドーム公演のDVDとか、Zeppツアーとか、そういうデカいものくらいで。自分たちの中だけで留めてるんですけど、お客さんがいないなかでずっと続けていく自信があんまりないんですよ。将来をイメージしづらい。

-それじゃあモチベーションが保てない?

杉本:自分たちが憧れてた、というかリアルに見てたものになり得ない。もうちょっと現実も見て考えた方がいいねって話もしてるんですけど。

-でも、久しぶりにここまで00年代的なギター・ロックを聴いた気がするんです。いい意味でトレンドに一切目配せしない姿勢というか。

杉本:いろんなバンドがバラバラなのは楽しいからいいと思うんですけどね。あまり他に興味がないと言ったらドライだけど、みんなもそこまで他に興味がないと思うからそれでいいんじゃないかなと(笑)。

-今回のアルバムは最近できた曲ばかりなんですか?

キツタカ:そうですね。古い曲でも、もう札幌出るって決めたあとにできた曲しか入ってない。この中だと「own song」(Track.6)とか。

-曲はセッションで作るんですか?

杉本:そうでもないんですよ。それはディレクションしてくれたエイキチさん(イワイエイキチ/チリヌルヲワカ)のおかげというか。僕らの悪いところはDTMで全部作って、それをデモとして鳴らしてっていうところなんで、ライヴ感のある音として鳴らせたのはエイキチさんの影響力ですね。

-メソッドとしてDTMでの曲作りは無駄になることはないでしょ?

キツタカ:良い悪いとかはないと思う。どんなやり方でも。

杉本:めっちゃ考えてるものもあるし、何も考えてないものもある。実際、このアルバムの2曲は納期2日前に(大西と)ふたりでスタジオに入って"どうしよ? どうしよ?"って作ったやつなので。

-どの2曲ですか?

杉本:「@live」(Track.3)と「バカにつける薬」(Track.5)。もう"ヤバいヤバいヤバい!"って言いながらふたりでスタジオで作りました。

-「@live」にはその焦燥感が出てますよね。それにどの曲もバンドがどういう状態にあって、これからどうしようとしてるのか、どういう気持ちで札幌から出てきたのか? もほとんど歌詞に入ってると思う。

大西:今回の歌詞って、すごく等身大な感じがしてて。もともと、僕はどちらかというとこのバンドのファンだったので(笑)。

-変化を感じてると?

大西:今までは、何回も聴いて"いいな"と思う歌詞が多かった気がしてるんですけど、今回の歌詞はすごくストレートにガツンとくるものが多いなっていう印象があって。もちろん、今の環境やいろいろなものがあってこそのことだとは思うんですけど、すごく等身大で訴えたいことを訴えられてるんじゃないかな? と思います。