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INTERVIEW

Japanese

ねごと

2017年07月号掲載

ねごと

Member:蒼山 幸子(Vo/Key) 沙田 瑞紀(Gt) 藤咲 佑(Ba) 澤村 小夜子(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-『ETERNALBEAT』の曲からさらに幸子さんのヴォーカル、メロディ、歌詞が際立った曲だと感じました。

蒼山:"DANCER IN THE HANABIRA"という言葉がまず最初に出てきて、そこからAメロとサビの歌詞ができたんです。"花の中で舞っている"という情景が浮かんできて、出会いと別れの部分を書けたらいいなと思って。......例えば家族や友達のことを思い返して"一緒にいるのが当たり前だったのにな"と思うことありません?

-ありますね。いつからか連絡を取る頻度が減ってしまったり。

蒼山:友達は毎日一緒に帰ったり遊んだりしていて、それが普通だったのに、気がついたら全然違うところにいるな......と思って。"さよなら"と言って別れることはあまりないけれど気づいたときには道が違っていた――そういうものを振り返ったのがシルエットとして花びらみたいに舞っている、というイメージで歌詞を書きました。

-その情景に別れの切なさが重なった、ということですね。幸子さんが別れに関して思うきっかけになる出来事があったのでしょうか。

蒼山:そういうわけではないんですけど......やっぱり、歳を重ねるにつれて"切なくなる症候群"になってるのかな(笑)。

澤村:あははは(笑)。

蒼山:たまに実家に帰ると親がちょっと年老いてきてるな......と思ったり。別に悲しいわけじゃないんだけど、そういうことを前よりも感じる機会が多くなって。だから悲しいことを書きたかったわけではなくて、ただ"いま"思うことの良さを書けたらいいなと思ったんです。

-そういうナチュラルに生まれる感傷性が、ヴォーカルにも反映されているように思いました。

蒼山:ヴォーカルは今回も中野さんに録ってもらって。歌をすごく大切にされる方なので、息継ぎとかも残してくれるし、臨場感をピックアップしてくれるんです。それがすごくこの曲には合っていたなと思ってます。

-等身大の、大人の若い女性の色気が感じられたので、ちょっとどきっとしたり。中野さんはねごとの発掘されていない部分を発掘しているような気もします。

蒼山:あ、それはすごくある――というか、中野さんがそういうことを言ってくれるんです。

藤咲:うん、言ってくれました。中野さんが最初に私たちのライヴを観てくださったのが去年の9月(※Zepp DiverCity TOKYOにて行われた"私立 聖お台場女学院 地獄大運動会")で、そのあと『ETERNALBEAT』ツアーのファイナルを観てくださったときに"あのときから進化してる。僕が作った音もちゃんとねごととして鳴らせているから全然大丈夫"と太鼓判を押してくれて(笑)。そのあとに「DANCER IN THE HANABIRA」の制作で"ねごとまだまだいけるでしょう! スケールをもっと大きくしていこうよ"と話したんですよね。力強いイントロは最初、"これをねごとで鳴らして大丈夫かな......?"と自分たちは少し心配で、気負ったところもあったんです。だけど中野さんは"いやいや、全然心配することないよ"と言ってくださって(笑)。

-自分たちだけだとなかなか選択できない道も、尊敬する人からそう言ってもらえたら踏み出せることは多いですものね。今回の音作りがよりデジタルになったのも、中野さんからの提案ということですね?

藤咲:中野さんから"いまのねごとのテイストに合って、ヴォーカルが映えて、いま一番みんなが驚くようなもの......と考えたらこういうかたちになったんだけど、どう?"って(笑)。

澤村:中野さんもいろいろ考えてくださっていて......まず"ドラムを叩きたいですか?"と聞かれました(笑)。だから"ライヴでは叩きますけど、音源はかっこよければなんでも大丈夫です。叩こうと思えば叩けるけど、打ち込みの音の方が合うと思われるのであればぜひそちらで"と言って。中野さんはライヴで演奏することもちゃんと考えてくださっているので、"ここはどうしようかな"と思うときは相談をして、"こう叩いてみたらいいと思うよ"とアドバイスをくださるので心強いです。

沙田:ギターも入れていなくて、プログラミングもほぼ中野さんが作ってくださっています。だから本当に細かい部分まで"ここはこうした方がいいんじゃないか"と話し合いながら音作りをしていって。

-中野さんがトラックを作るとはいえ、そのヴィジョンは中野さんに一任するわけではなく、ちゃんとねごとが納得のいくサウンドを追求していくということですね。

沙田:中野さんと私たちがかっこいいと思うものや感覚は、どうしてもまったく同じというわけではないじゃないですか。だからそこをすり合わせていく時間はたっぷり取りました(笑)。こっちが"これはこういうふうに聞こえるんですけど、どういうことで鳴っているんですか?"と言うと、"じゃあこういうふうにしてみようか"と変えてくださったり。ストリングスは中野さんのアイディアで入れてみました。

-コーラス・ワークも華やかですよね。ねごとはここ2、3年でコーラスにさらに力が入っているなと思います。ライヴで観ていてもそれが際立っていて。

沙田:ライヴでみんなが歌う部分が増えることが好きなんだと思います。一緒に歌いたいなと思うし。それが音源に反映されてるのかな。

澤村:ライヴでコーラスするの、必死ですけど(笑)。

-ライヴ中にドラムを叩きながらココアを飲んでいる方に言われてもなかなか説得力がないですけど(笑)。佑さんはいかがですか?

藤咲:私、肺活量がなくて、息継ぎの位置が変だったんですよ(笑)。だからレコーディングのときは"ライヴでは息継ぎを入れたくない、でもコーラス録りのとき全然できなかったからどうなっちゃうんだろう......"とすごく不安だったんです。でも、練習して息継ぎなしで一気に歌えるようになって!

蒼山:あっ、そうなんだ(笑)。

藤咲:「メルシールー」(2011年リリースのコンセプト・シングル表題曲)をカラオケで歌うようになってできるようになった(笑)。だから練習は大事だなと改めて思いました。