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INTERVIEW

Japanese

ねごと

2017年02月号掲載

ねごと

Member:蒼山 幸子(Vo/Key) 沙田 瑞紀(Gt/Cho) 藤咲 佑(Ba) 澤村 小夜子(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

昨年11月にリリースされた『アシンメトリ e.p.』で、現在のモードを提示したねごと。約2年ぶりのフル・アルバムとなる『ETERNALBEAT』は、その世界をさらに繊細且つエモーショナルに描いた作品でもある。ねごとのロック・バンドとしての音楽性のひとつの集大成が前アルバム『VISION』だとしたら、高校生のときにスタートさせてからこれまでの10年のバンド人生がもたらした精神性や世界観が音楽とともに実を結んだのが『ETERNALBEAT』ではないだろうか。彼女たちの想いや感性をダイレクトに感じられる渾身の4thフル・アルバムの完成だ。

-『ETERNALBEAT』は空気が澄んでいて星がきれいに見える、冬の夜のイメージにぴったりのアルバムです。『アシンメトリ e.p.』のリリース時に、ねごとにとっての"踊れる"は"自然と身体が動く心地よさがある"ということだとインタビューで話していただきましたが、今作はその延長だと思いました。まず、ねごとがそのようなダンス・ミュージックを求めた理由をうかがいたいなと。

藤咲:例えばライヴで"手を上げなきゃいけないのかな?"みたいなことを考えずに、揺れてればいい、音を体感していればいいんだなというか――そういうものが私にとって"踊る"ということで。"自然と"というのは"無理しなくてもいい"という意味があると思っていて。

蒼山:うんうん。リラックスできる行為なのかな、と思います。ライヴじゃなくても、音楽を聴いていて自然と身体が揺れるのは、心が解放されているときなのかな、という感じがします。

澤村:「ETERNALBEAT」(Track.1)を聴きながら駅まで歩くと道のりが早く感じます(笑)。歩くのと同じくらいのテンポだから、そういう自然さにマッチしているかも。

沙田:"踊れる=自然体でいられる"という感じですね。私たちは"ライヴで踊ってほしい"と思って作ったけど、日常でも踊れるようなテンポ感は気にしながら作ってた気がします。

-"自然体でいられる空間を作る音"だから、歌詞も赤裸々で大胆なものになったのかもしれないですね。加えてバンド名の"ねごと"と繋がる"夜"も、オフになった自然体の自分が出やすい時間でもあるから、これまでバンドが大事にしてきたものと、この2年間で吸収したことがしっかり結合しているという印象もあって。

蒼山:もともとあるドリーミーな部分とか、内に秘めた熱い感じとか、そういうものが自然と出てるアルバムなのかな......と思います。"自然と踊れる音楽"というコンセプトはあったんですけど、無理なく作れたんですよね。浮遊感とか夜っぽい感じというのも、そういう部分が出ているのかも。『VISION』(2015年リリースの3rdフル・アルバム)はわりとエネルギッシュで迸るものがある作品だったけど、今回は余裕があって――だから色が青っぽい感じがするのかな。

-メロディもナチュラルですし。

蒼山:今回は"どのキーが一番自分のいい部分をいい温度感で出せるか?"と考えて作ったところが大きかったので、そういう意味ではナチュラルかもしれない。

-幸子さんがSkream!で連載なさっている"訳あり夢通信"(※2017年1月号掲載の第19回)で"歌詞でどんどん気持ちを曝け出せるようになったからか、今回は自分で作った曲に救われたり、あたためられたりする瞬間がある(※大意)"とおっしゃっていたので、かなり意味の大きな作品になったのだなと。

蒼山:前までの私は曲の中の主人公になって歌詞を書いていたけれど、今回は自分のリアルさを一番大事にして歌詞を書いたんですよね。そしたら1曲1曲に対する想いがいままでとは変わってきて。

-昔の自分の気持ちに出会う感覚かもしれないですね。言葉は特に気持ちが実体化するというか、音よりも具体的な表現になるとも思うので。昔の自分に励まされるというか。

蒼山:そうですね。曲を聴いたときに"そうだよな。このときこういうことを考えていたよな"と思い出せる――そういう感覚は今回が初めてでした。

-『アシンメトリ e.p.』は『ETERNALBEAT』の布石だと思いましたが、今回のタイトルである"ETERNALBEAT=やまないビート"というワードが浮かんだのはいつごろですか?

沙田:アルバム制作の最後の最後でした。

藤咲:「ETERNALBEAT」自体が、"アルバムの1曲目になる曲を作る"という目的で作った曲で。

沙田:ある程度"この曲を入れたいね"ということを決めたあとに、やっぱり新曲を1曲目に入れたい! と思って......それで最後に作った、という感じです(笑)。やっぱりそういうふうに生まれたものの方がリアルですよね。(いまの自分たちが示したい)ど真ん中の曲かな、と思います。それを1曲目に持ってこれたのは嬉しい。

-"やまないビート"という歌詞から"ETERNALBEAT"というタイトルに?

沙田:いや、アルバムのタイトル会議みたいなものをしたんですけど、"ETERNAL"と"BEAT"という言葉が候補の中に入っていて。それで"このふたつをくっつけたらどう?"、"そういえばあの曲でやまないビートって歌ってるよね?"という流れでアルバム・タイトルも楽曲タイトルも"ETERNALBEAT"になったんです。

藤咲:タイトル会議の前から"ビート感"は(楽曲制作のうえで)全員の意識としてあったから、伝わりやすいものにしたいと思っていて。