Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

ircle

2017年01月号掲載

ircle

Member:河内 健悟(Vo/Gt) 仲道 良(Gt/Cho) 伊井 宏介(Ba/Cho) ショウダケイト(Dr)

Interviewer:山口 智男

実人生から生まれたヒリヒリとした歌と激しい感情を迸らせる演奏がライヴハウス・シーンで人気を集めているロック・バンド、ircleがSkream!に初登場。中学の同級生たちが結成した大分県別府市出身の4人組は福岡経由で、2010年に東京へ進出。以来、ライヴ、リリースともに精力的に活動を続けてきた。前作『光の向こうへ』からわずか4ヶ月でリリースするニュー・ミニ・アルバム『Copper Ravens』は、音楽性はもちろん、バンドのイメージも含め、自分たちの間口を広げることに挑んだ前作を踏まえたうえで、改めてircleらしさをアピールする1枚だという。

-福岡で活動していたircleは大学卒業を機に2010年に上京してきたそうですね?

仲道:そのときは福岡に留まるのか、別府に戻るのか、東京に出るのか、その3つが選択肢としてあったんですけど、(所属する)事務所も決まって全国流通させてもらってるんだから、勝負しよう、東京に行こうって。たぶん、そこが一番大きな覚悟だったんじゃないかな。ただ、東京に来てからの最初の1年間は、ライヴをやってもお客さんがなかなか増えなくて、しばらくしてから事務所もやめたので、バンドとしてはつらい時期ではあったんですけど。

-それを乗り越えるきっかけってあったんですか?

仲道:最初は物事に対して受け身だったんですよ。曲は作るんですけど、なかなかリリースさせてもらえない時期もあって、それで事務所をやめることになったんです。そこから『You』(2011年7月リリース)と『Run』(2011年11月リリース)というミニ・アルバムを自主で作ったことが転機になったのかな。1,000枚ずつ作ったんですけど、そこで改めて地盤作りと言うか......。

河内:事務所にやってもらっていたことを、まず4人で手分けしてやるところから気合を入れ直したんです。でも、なんで乗り越えられたかって言うと、それぞれが"もっとやってやらなきゃ"って思ってたからじゃないですかね。もともと、逆境に対して気合が入る性格だったんですよ。

伊井:うん、決してめげることはなかったし、そんな時間もなかったし。めげるぐらいなら何かやれよって。めげることに時間を費やすなんてムダだって思うんですよ。

-もちろん、まだまだこれからだという気持ちはあると思うんですけど、そこからバンドの活動が軌道に乗ってきたと思えるようになったのはいつごろだったんですか?

河内:そういうふうに思ったことはないです。昔よりはマシだって、ずっとそんな感じなんです。1年前よりはたしかにマシになっているけどって。

ショウダ:自分たちのやりたいことを理解してくれる仲間とか、バンド仲間は年々増えていきましたけどね。

河内:うん。だから、天狗にならない自信はあります(笑)。

-そんなみなさんにとって、2016年はどんな1年でしたか?

河内:だいぶ前向きだったんじゃないですか。忙しかったです。

ショウダ:「光の向こうへ」(2016年9月リリースのミニ・アルバム表題曲)っていう曲をリリースできたのは、自分らにとって大きなことだったと思います。それを出せたからこそ、今回『Copper Ravens』に入っている「orange」(Track.1)って曲を出すことに踏み切れたし、「orange」を出したことが2017年に向けての弾みをつけてくれて。自分らが伝えたいこととか表現したいこととかは年々膨らんできて、自分らの中で濃くなっていってるんですけど、それをアウトプットする力というか、自分らでは"わかるでしょ?"って発信しているつもりでも、お客さんに届かない......届かないわけじゃないんだけど、もっとうまく伝えられないか。ライヴをやっていても、自分らの気持ちをお客さんに対して爆発させるっていうスタンスでやってきたんですけど、もうちょっと対話できないかってところで、ircleの間口を広げることができる曲が欲しいと思って、『光の向こうへ』を発表したら、ライヴでもお客さんの反応が変わってきて、まだまだ深い部分を伝えられるという確信が持てたんですよ。

-つまり、「orange」は「光の向こうへ」の延長ということ?

河内:そうではないんですよ。結果的に、そうなって良かったなとは思っているんですけど、もともと「orange」は「光の向こうへ」と同じタイミングで出す予定だったんです。でも、あまりにもircleっぽすぎて。

ショウダ:ircleの純度が高すぎる(笑)。

河内:逆に聴いてもらえないというか、多くの人に届かないような気がしたんですよ。

仲道:心の深いところは表現できているんですけど、そのタイミングでは、まず間口を広げることが必要なんじゃないかってなったんです。

ショウダ:実は「orange」は「光の向こうへ」よりも前にできていた曲で、2016年はその「orange」を出すために、1年間どうやっていこうかってところだったと思うんですよ。それがちゃんとできて。「光の向こうへ」でircleを知らない人にも立ち止まって興味を持ってもらったうえで、ちゃんと自分らっていうものを100パーセント以上に伝えられることができる曲を出したかったんです。