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INTERVIEW

Japanese

fhána

2017年02月号掲載

fhána

メンバー:佐藤 純一(Key/Cho) yuxuki waga(Gt) kevin mitsunaga(PC/Sampler) towana(Vo)

インタビュアー:吉羽 さおり

-それぞれアレンジについてはどのように考えていきましたか。

yuxuki:毎回そうなんですが、佐藤さんが曲のイメージを持っていたので、基本的にはそれにハマるようにというのはありました。今回はそれが特にあったんです。レコーディングしながら、"こうですかね?"っていう感じでやっていったんですけど。ギター・ソロを家で考えてきて、さぁ録るぞと家を出て電車の中でメールを見ていたら、佐藤さんから"ごめん。ちょっと間奏のコードを変えたんだよね"って来ていて(笑)。まじか! と。それでいざ現場で弾き始めた瞬間に、"うーん、違うんだよね"っていう(笑)。

佐藤:(笑)

yuxuki:YouTubeを開いて、こういうのが欲しいんだよって聴かせられて。"あぁ、こんなの全然弾いたことがない......"っていう。

佐藤:いきなり、ビバップのギター・ソロの教則動画みたいなのを見せて。"こういう運指で......"って。

yuxuki:いや、弾いたことない、弾いたことない! って感じでした。

-もう佐藤さんの中ではそのイメージができていたんですね。

佐藤:アレンジのイメージ的には、フィリー・ソウル(※フィラデルフィア発のソウル・ミュージック。ストリングスがふんだんな甘いサウンドが特徴)の名盤的な、超リッチでゴージャスな編成のストリングスが入って、ワウ・ギターとか、ちゃかちゃかしたカッティング・ギターが入ったノリノリなイメージがあったんです。ギターは参考曲もいくつか送ったりしつつ。ストリングスのアレンジはいつもお願いをしている方にやっていただいたんですけど、イントロとかで鳴っているメインのリフは最初のデモの時点で僕が作っていて。そこから発展させてもらいつつ話し合いながら作っていきました。ディスコ・ソウルのストリングスで、甘くゴージャスだけどリズミカルで、スッキリした音像で、そこにクラップやガヤ的なコーラスも入るというイメージが明確にあったんですよね。そのイメージに向かって作っていった感じでした。

yuxuki:僕自身の話なんですけど、昨年秋にEARTH, WIND & FIREの来日公演を観に行ったんですよ。それが良かったですね。

-身体に入っていたんですね、ファンク感が。

kevin:グルーヴがね(笑)。

yuxuki:ちょうどレコーディングの少し前くらいだったんです。ああいうガチなファンクって、否が応にも踊らされてしまうグルーヴなんですよね。

-kevinさんはアレンジについて、何かオーダーがありましたか。

kevin:いつも佐藤さんから"こういう音がほしい"というオーダーがあって作るんですけど、今回は特に明確で。渋谷系サウンドのサンプリング感とか、砂原良徳さんとかTOWA TEIさんとかのような、テクノ・ミュージックの音色の質感というイメージでしたね。

佐藤:ロービットなんだけど、おしゃれなサンプリングの感覚とかレトロ・フューチャー感というか。TOWA TEIさんとか、砂原さんの『LOVEBEAT』(2001年リリースの4thアルバム)とか、あとは小西康陽さんのサンプリングの入った曲の感じであるとか、そういうのを聴いてもらったりしながら、"この感覚を取り入れてほしい"と。

kevin:僕はそこの引き出しがあまりなかったので、やってみてアドバイスをもらうというのを繰り返しながら精度を上げていきました。Aメロ、Bメロはいろいろと音が入って賑やかで、楽しい感じになりましたね。

-先ほどから話に出ている分厚いコーラスの部分というのは特徴的ですが、エフェクトは特にかけていないんですかね。

佐藤:かかってないですね。エフェクトをかけようとしているわけではなくて、かなり分厚いんです。コーラスだけで20トラック以上あって、本当にすごく重ねているんですよ。掛け合いのメロディのコーラスもあれば、冒頭の"chu chu yeah!"みたいなガヤは、みんなで録って重ねたもので。クラップもみんなで録ったり、間奏の裏の"Hey Hey!"って掛け声もガヤっぽく録ったりしています。

yuxuki:今、BON IVERとかトレンド的にもコーラスが厚いのはきていますけど、たまたまですね。

-BON IVERはエフェクターをかけてやっているようでしたね。

yuxuki:そのエフェクターを作ったと言いますしね。

佐藤:生でやるのは大変でしたけどね(笑)。録るのも時間がかかるし、ミックスもこんがらがってくるし。

-渋谷系やフィリー・ソウルの話が出ましたが、そのあたりはルーツにもあるんですか。

佐藤:僕はオザケン世代で、渋谷系はリアルタイムでハマッていたんです。特に小沢健二の『LIFE』(1994年リリースの2ndアルバム)と、そのあとのシングル数枚は、東京スカパラダイスオーケストラのホーン・セクションが参加していたり、ストリングスは服部隆之さんが手掛けていたりして、すごくゴージャスな編成なんです。あの、甘く切なくロマンチックで、ものすごくテンションが高くアッパーで。アッパーがゆえに、逆に空虚さも感じるような感覚が好きなんです。それをストレートに自分の曲に反映したことはなかったんですけど、この曲では、それがやりたかったという感じですね。

-殻を破って、ストレートにルーツ的なところも反映したことで、新たな楽しみや可能性も広がった感覚ですか。

佐藤:すごく楽しいですね。この方向性の曲は、これからも出していきたいなと思っています。

-カップリングについてもおうかがいしていきます。まずは「現在地」("アーティスト盤"Track.2)。これはyuxukiさん作曲ですが、かなり衝動感たっぷりのバンド・サウンドが肝ですね。

yuxuki:レコーディングではドラム、ベース、ギターは"せーの"で録っていて、2テイクしか録ってないです。ゲスト・ミュージシャンもバンドをやっている人を呼んでいますね。ベースがGalileo Galilei佐孝(仁司)君で、ドラムがchocolatre只熊良介さん。佐孝君とは、fhánaでGalileo Galileiにリミックスをお願いしたことがあって(※2014年リリースの4thシングル『いつかの、いくつかのきみとのせかい』)。そこからの付き合いなんですけど、何か一緒にやりたいねという話をよくしていたんです。佐孝君は絶妙な、USインディー感があるフレーズを弾くので好きなんですよね。楽しいレコーディングでした。

-towanaさんのヴォーカルも、サウンドの勢いに乗っていますね。

towana:エモやメロコアとかってあまり聴いたことがなかったんですけど、歌う前にこういうのを聴いてみてって参考の動画を送ってもらったりしていたんです。青臭い感じとか、衝動みたいなものが出るように、あまりこなれすぎないように歌うっていうのを心掛けました。いつもの曲よりもバンドマンっぽく歌おうという感じで。表題曲とは全然違う歌い方です。技巧的なものを削ぎ落としていくみたいな感覚は、メジャー・デビューしてからのものとはちょっと違う、昔の歌い方に戻していく感じがしたのが面白かったですね。