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INTERVIEW

Japanese

Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)

2017年02月号掲載

Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)

Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)

Official Site

メンバー:R-指定 DJ松永

インタビュアー:石角 友香

凄まじい瞬発力でブームになったフリースタイル・バトルでも頭ひとつ突き抜けつつ、同時にそのジャンルを超えたリアリティで去年はフェス・シーンにも食い込んでいったCreepy Nuts(R-指定&DJ松永)。前作『たりないふたり』を知らないロック・ファンでも、彼らの名前、そしてASIAN KUNG-FU GENERATIONの"リライトのリライト"企画などで、ラップ・スキルと絶妙の腹落ち感満載のリリック・センスは目にしているだろう。そして状況が好転し、活動のフィールドが拡大していくなか、リリースされるニュー・ミニ・アルバムは、その名も"助演男優賞"。本誌インタビュー初登場の今回はまずふたりの野望(!?)から訊いていこうとしたのだが......。

-そもそもCreepy Nutsってどういう野望のもとに結成されたんですか?

R-指定:野望は......ないですね(笑)。

DJ松永:もともと友達なんです。なんで、"ん~、やる?"みたいな感じですね(笑)。

R-指定:自分らの好きな価値観を音楽にしたい、ライヴにしたいっていうだけなんで。ジジイになってもしょうもないことでゲラゲラ笑いたいなっていう。

-ふたりはドメスティックなことだけじゃなくて、きっと世界のヒップホップのこともわかってるんだろうなと思うんですが。

R-指定:どうなんですかね? ぼんやりとですよ。俺は結構アメリカのヒップホップを聴いたりもするんですけど、そこまで追いかけまくってるわけではないです。わりと意識的なのか自然となのか、フラットにいられるようにはしてますね。これからは、いかに情報を遮断するか? みたいな能力も問われてくると思うんです。

-ところで一昨年ぐらいからきたMCバトル・ブームや、Creepy Nutsがバンド・シーンやフェス・シーンにも食い込んでいくなかで、良いことも悪いこともあったんじゃないですか?

R-指定:良いことで言えば、好きなアーティストとか、尊敬してたアーティストさんと同じ舞台に立たせてもらったり、尊敬してるラッパーの人と仕事できるようになったりとか。若手の勢いあるバンドと一緒にイベントに出させてもらったりとかもあるし、自分たちの好きなラジオとかやらせてもらったり、尊敬してる芸人さんと交流持てたりとか、嬉しいこともあったし。でもまぁその一方で、いろいろね?

DJ松永:まだ言えないような(笑)、時間が経ってから後々言いたいようなトラブルもいろいろあったし。

-今どう感じているかは新作収録の「未来予想図」(Track.5)で察せますね。

R-指定:そうですね。「未来予想図」はそれこそ、どの人にも言われるんですけど、今のフリースタイル・ブームのこととかについて書いた曲で。まぁ、俺らにとっては昔から変わらずやってることなので、別にブームにしようとしてたわけじゃないし、そうなったのは見てる人の勝手というか。それを100パーセント俺たちも肯定してるわけじゃないっていうのは、"(フリースタイル)ダンジョン"に出てたメンバーも全員同じようなことを言うので。ブームがきて"やったー"ってなってる人もおるっちゃおるでしょうけど、俺ら的には複雑な心境があって、じゃあ俺はそれを曲にしようと。ブームがきてもブームが去っても、やることは一緒みたいなことを曲にしたんです。

-なるほど。そして松永さんのトラックのセンスが、この曲なんかはシリアスでスモーキーな感じというか。

DJ松永:構造的に、よりヒップホップ的な作り方をしたというか。ほんとワンループだし、展開はドラムの抜き差しだけで、サビはRにお願いして口笛を吹いてもらったんです。ヒップホップは主旋を録って、被せガヤ録って。まぁ、フック別録りみたいなのが主流だけど、これは5分間全部、"一筆書き"で録ったんです。だからライヴで歌う感じで。

R-指定:ブースに5分間入って、そのまま。

DJ松永:歌い切って"はい完成"みたいな。

R-指定:なんの加工もせずに。

-さすが。それにCreepy Nutsのサンプリング・ネタっていぶし銀な感じが多いですね。

R-指定:あとは不気味なやつが多いかな。

DJ松永:わかりやすくキャッチー、みたいなのじゃなくて。

R-指定:キャッチーやけど怪しい、みたいな。

DJ松永:でも、どのトラックを切り取ってもすごく耳に残るワンループを作ろうっていうのは意識してて。

-そういう統一された質感はありますね。

DJ松永:たぶん無理せず作ってるからだと思う。自分の中で幅はいろいろ表現したいって意識してるけど、自分にないものを無理に作ろうとしないというか、ちゃんと自分の中にあるもので作っていこうとすると自然と質感は出るんだろうなと。

R-指定:逆に言うと、俺らのやってることなんていうのは、国内外で見てもヒップホップ・シーンの現状とはまったくの逆走をしてる感じではあるので。今の主流はもっと遅いビートでほんまにつかみどころのない感じのトラックが多いので、特にトラップとかやと......。

DJ松永:あれは薄くしてなんぼだもんね。パンチラインを際立たせるために極限まで削ぎ落としてる。

-そういう意味で言うと、昔からの日本語ラップの文脈にCreepy Nutsはいるんだなと。

R-指定:そうですね。日本語ラップのさんピン(CAMP)世代やったりとか、ほんまにそこに心動かされてラップを始めたところがあるんで。

-やはり。そして今回はアルバム・タイトル曲でMVも公開されている「助演男優賞」(Track.1)がすごくキャッチーです。

R-指定:キャッチーなものになりましたね。

-こういう曲を作ろうというより、ひとつの要素という感じですか?

R-指定:そうですね、これは最後にできた曲なんで。このアルバムで最初にできたのは「未来予想図」と「教祖誕生」(Track.3)で。"あぁ、これ暗いアルバムになるな"と思ってたんです。そしたらアルバムの曲がほぼ出揃ったころ、ライヴの楽屋かなんかでぼーっとしてるときにサビが浮かんで、"あぁ、このメロディと歌詞がハマるトラックないかなぁ"と思って、松永さんに聴いてもらって。"これ1曲目でいきましょう!"ってなって進めました。もともとキャッチーなメロディ・ラインやったりは、自分のソロでも松永さんの客演でも自分の中にある要素なんです。