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INTERVIEW

Japanese

HOWL BE QUIET

2016年12月号掲載

HOWL BE QUIET

Member:竹縄 航太(Vo/Gt/Pf)

Interviewer:沖 さやこ

-そうですよね。だから竹縄さんが"「他人の気も知らないで 勝手に言わないで バカにしないで」"なんて言われるの? と思って(笑)。

俺、気にしぃなんですよね(笑)。気にしぃで鈍感なんですよ。すっげぇ細かいとこ気にするのに"あ、そういうところどうでもいいんだ?"と言われることも多いし。そのバランスが自分の中でもおかしなことになっちゃってるんです(笑)。自分のその感じが一番出てる曲になったかもしれない。

-"心を騙したりなんかしないように/心を誤魔化したりしないように/心が心でいれるように"するためには、自分に素直にいることは必要なことでしょうし。

心が心でいられなくなる、というのは本当に怖いことだとずっと思っています。親に"怒られているうちが花だよ"と言われていたんですけど、本当にそのとおりだなと思って。怒られているということは、自分に対して興味があって、干渉したい欲求もあって、良くしたいと思ってもらえてるからだと思うんですよね。それは親対子供だけの話じゃないなと思うし、怒られている側も"後悔できているうちが花だ"と思うし。欲を言えば後悔しない方がいいのかもしれないけど、後悔するということは心が心として機能してるからだと思うんです。"悔しい"、"あのときこうしておけばよかった"と思えているなら俺は大丈夫だ、頑張れる、と思うことが多くて。それはすごく自分にとって基盤になっている考えなんです。

-"要領悪くても 臆病でありたい/後悔に慣れてしまわないように"ということですね。

心をなくしたらどうなるかわからないから逆に怖くないですか? 感受性や喜怒哀楽がなくなることが怖いんですよ。何かを見て感動するとか、嬉しい、悲しい――そういうもの全部含めて心だと思う。心ってなんだよ! とも思うんですけど、欲求も含めて失っちゃいけないものだとすごく思うし。だから"臆病でありたい"というのはすごくポジティヴな意味で使っています。

-「Higher Climber」はHOWL BE QUIETらしい切なさの宿るEDMテイストのナンバー。「サネカズラ」とのギャップもいいアクセントです。

ね、このギャップいいですよね。普通なら"シングル3曲ならこういうバランスにしよう"と考えるのかもしれないけど、バランス取らないところも自分たちの良さだなと思ったし(笑)。「サネカズラ」のあとに「Higher Climber」が来ても、まったく違う世界観として受け取れるようになったと思います。カテゴライズされない音楽性は、今回でも出せたなと。

-ラストのTrack.3「Dousite」もまったく別の色味を持った楽曲で。シニカルでユーモラスな歌詞とホーン、ピアノ、オルガン、ハーモニカなど様々な音が入ったサウンドが相まって、竹縄さんが主人公でメンバーがメイン・キャストという喜劇を見ているような印象でした。

ま~この歌も皮肉ですよね(笑)。「サネカズラ」といい「Dousite」といい、最近こういうターンなんでしょうねぇ......。遅れた反抗期なのかな(笑)? 俺は後悔を歌にすることがすごく多いんですけど、後悔の延長線上には皮肉があって。そこが繋がって言葉になって出てくるんだろうなと思いますね。この曲、書き上げるの早かったんです。きっかけは――『Wake We Up』の初回限定盤DVDにMVのフル・バージョンを入れたんですけど、その終わりに5分くらいの余談を入れて。そのときその場のノリで"曲でもやるか"という話になって、そこで10~15分でこの曲の1番まで歌詞と一緒に書き上げたんですよね。本当はそれだけのつもりだったんですけど、俺としても"いい曲だな"と思ったので勝手に続きを作って。それも作るのがすごく早かった。

-吐き出した感があるのは、そういうスピードも影響しているのかも。

出だしの"あぁ もう どうして/いつもこうなっちゃうんだろう"って万年思ってることですもんね(笑)。......俺、家を出たときに、小雨でも傘を取りに戻らないタイプなんですよ。"駅に着くまで頑張れるだろう"と思って、駅と家の間くらいで大雨になって後悔するタイプなんですけど、そういう些細な後悔が死ぬほどあるんです。ほんっとに! それは恋愛でもそうだし、バンドで何かをしていてもそうだし。そういうのがこの曲でやっとひとつの形にできたなと思います。

-今の竹縄さんはきれいなものを作るモードや理想の自分を出すモードではなく、等身大の自分で自由に体当たりしたいモードなのでしょうね。

このシングルでまたひとつ、自分のスイッチが変わったのかな。沖さんの言うようにより自由に書いてる感覚はあるかも。きれいにまとめようとすることがなくなって、自由でありわがままであり、そういうバランスを気にしなくなりましたね。だから前よりも歌詞を書くのがラクになったかな。

-"こういうことを言っちゃいけないんじゃないか"というものがなくなったのかな。

あ、そうそう。そういうものがなくなりました。

-前よりも自信がついたからかもしれないですね。

うん。より自分だけの言葉として発信できている感じは、前よりもありますね。

-"もう君が言うように小2でいいや"とか(笑)。

これ実際、"本当に精神年齢小2だよね"と言われたんですよ。そのときはそんなことねーし! と思ったんですけどね......。器のデカい人間になりたいな~! でもなれてないということは半ば諦めてるんですよ(笑)。それはネガティヴなものではなく、これが俺だと。小2でもいいし、小2だし! みたいな開き直りも含めてですね。

-ははは(笑)。開き直れてるからこれだけさらけ出せているのかも。HOWL BE QUIETが大事にしている"いまやりたい音楽をやる"、"いま歌いたいことを歌う"ということがさらに実現できるモードであるとも思います。

バンドとしてはかなりいいテンションだと思いますね。そのなかでも自分がすごく調子良くて。アレンジとかも"ここない方が良くない?"とか、MVも含めて何に対してもポジティヴな意味で残酷なジャッジもできるようになってきてるし。今回のシングルもメンタリティ的にすごく冒険してるなと思うし、一番尖ってるんじゃないかなと思いますね。

-『サネカズラ』は竹縄さんの"後悔"に関する深い部分が覗けました。

"後悔"はすごく強い感情だと思う。だから"後悔させる"というのは、人に覚えてもらう、忘れられなくさせる手段でもあるんですよね。「サネカズラ」はそうさせようという気持ちの......いわば怨念ですね(笑)。

-ははは(笑)。本当に上書き保存できてるのかなぁ(笑)。

俺もわかんないっす! 上書き保存してるって言いたいだけかも(笑)。......今もまだまだ歌いたい曲がすごくたくさんできているし。2016年があっという間だったので、2017年もこのまま突っ走っていきたいですね。