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INTERVIEW

Japanese

arko lemming

2017年01月号掲載

arko lemming

Interviewer:石角 友香

-「かなしみはそばに」(Disc-1/Track.3)のプリセット音源のような音と奇妙なフレーズが気になります。

サンプリングと言えばサンプリングなんですけど、ソフトの中に入ってた音源です(笑)。そこでサンプリングだとちょっとわかってほしい感じがあるんですよね。その機械的な感じというか――外の、第三者がいる世界を想像してるけど、実際は人がいない感じの世界観がなんとなくありまして。"OUTER"と"INNER"のどちらもなんですけど、それをこのループするサンプリングで出せたらいいなぁというのは......SeihoのCDを聴いて(笑)。

-(笑)Seihoさんは深遠ですよね。真剣に聴いてると死生観すら漂ってくる。

そう、あの感じ。

-外向きで他者が存在してて"OUTER"、内向きでひとりだから"INNER"ってわけじゃなくて、どっちもファンタジーなんだけど明暗みたいな感じなんですかね。

そうですね。その、外に向けてる人と内に向けてる人と、同じ人がいるんですけど、その人がいる世界にはそもそももう人はいないっていう状態を作る俺、みたいな。

-人がすでにいない状態っていうのは、有島さんの普段からの心象風景みたいなものなんですか?

それがどこから来たのかというのが――根暗だからそうなってしまったのか、暗い2016年だったからそうなってしまったのか、イマイチわかんないんですよね。

-どんな人でもひとりでいることはあると思うので、ひとりでいる人に対しては最高に落ち着かせてくれる作品だと思いますけどね。

お、それは良かった(笑)。自分みたいな人間に共感してもらえるような1枚ですね。

-そういう意味で前向きだと思うんです。

そうなんですよね。暗いことを肯定するっていう、謎のポジティヴさみたいな。

-"INNER"の方は、重いアンサンブルや"現実なのか?"と思うようなサウンドスケープが多いですね。

水の音とか、波の音とかも入ってますね。それは"OUTER"にも入ってますけど。

-「NO」(Disc-2/Track.2)はクラウトロックっぽいですが、どこからできてきたんですか?

dipみたいな、リフで疾走してるけど、内向的なイメージで作った曲ですね。疾走しながらも、どんどん内に沈んでいく感じを出したかったんです。

-曲が出揃ってから2枚に振り分けていくときに、"INNER"に関して、より注力した部分はありますか?

いや、曲ができあがったときにはもうほぼこういう感じだったので、注力はそんなに。「夢の中でも」(Disc-2/Track.7)とかは"OUTER"でもいいのでは? っていう感じはあったんですけど、それぐらいですかね。わりと明確に分かれていました。

-これだけ曲数もあると実験できる部分はあったんじゃないですか?

はい。実験させてもらって、いろいろ曲を出した結果、2枚にしてもらえたところがあるので。どっちかというと"INNER"の方がすげぇ自由というか。打ち込みも多いですし、前回に比べてだいぶ違いますね。"INNER"の方が実験というほどでもないけど、デモっぽい。

-むしろその人からしか出てこないし、推敲しすぎてないものを聴きたかったりする場合もありますよね。

そうですね、僕もそうです(笑)。

-そういう中で有島さんが今回の作品を作る際に明らかに影響を受けたものってありますか?

今さらですが、世界観的にはヴェイパーウェイヴの感じはあります。まぁ、後付けなんですけど、ヴェイパーウェイヴの"人がいない感"みたいな世界観だけ拝借するというか。