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INTERVIEW

Japanese

ジョゼ

2016年11月号掲載

ジョゼ

メンバー:羽深 創太(Vo/Gt) 吉田 春人(Ba) 中神 伸允(Dr)

インタビュアー:吉羽 さおり

前作『YOUNGSTER』のリリースからわずか10ヶ月という短い時間で、ジョゼは大きく変わっている。メンバーは不変で、『YOUNGSTER』に引き続き根岸孝旨がサウンド・プロデュースを手掛けており、その布陣は変わらないものの、生まれ変わったようにバンド"ジョゼ"の熱く力強い心音が聞こえてくるロックを鳴らしているのが、今回の4thミニ・アルバム『honeymoon』だ。いわば、3人のチャーム・ポイントを最大限に引き出したアルバムである。どんな過程があったのか、何を思ったのかを訊いていったが、ひとつひとつをとても楽しそうに語るその言葉や表情からも、充実感が伝わってきた。

-最新作『honeymoon』は、前作の『YOUNGSTER』(2016年1月リリースの3rdミニ・アルバム)から短期間でのリリースですが、この短い間に何があったのだろうというくらい、バンドが変わった印象です。以前にも増してライヴの質感に近い音の強さやボリューム感があって、そこは意識されたと思うんですが、そもそもの制作のスタートはどんな感じだったんですか。

羽深:前作『YOUNGSTER』を作って、ひとつわかった気がするんです。『YOUNGSTER』から根岸(孝旨)さんと一緒に作るようになったんですけど、そのときは根岸さんと初めましてだったから、お互いに探りながら作っていった感じなんです。それで今回、レコーディング前のプリプロ段階で、根岸さんが"一度、楽器を持たずに話をしようよ"と提案してくださったんですよね。

-そうだったんですね。

羽深:『YOUNGSTER』を出したのが今年の1月で、1年に2枚のペースでアルバムを出すのは初めてだったので、頭の中がそこまでまとまっていなくて。もう1回、根岸さんと一緒にやるにあたって、どうしたいのかもそうだけど、"どんなことを考えているのかを、まず知りたいんだ"って言ってくれたんです。それで、根岸さんと僕ら3人の考えが、すごく風通し良くなったというか。お互いに、より踏み入って話せる関係になれたんです。

-いいプロセスがあったんですね。

羽深:根岸さんは『YOUNGSTER』時のライヴを観て、"お前ら、ああいうバンドなんじゃん"って言ってくれたんですよ。おっしゃるとおり、今まではライヴと音源とで違ったかもしれないんですが、ライヴを"いいじゃん"って褒めてくれたんですよね。"ライヴがこの感じなんだったら、こういうサウンドの方が親切なんじゃないか"と提案してくださったんです。"ライヴでそうやるなら、こう録ろうよ"って。だから、まずはそこからスタートしました。3人のキャラクター、バンド感を、どうやったらわかりやすくロック・バンドとして伝えられるのかというところから始まったんです。

-根岸さんとお話をする以前に、ジョゼというバンド像や、もっとこういう面を出した方がいいのではという話は3人でされたんですか?

羽深:実は、迷子になっていまして。というのも、ぶっちゃけ俺ら毎回、迷子なんですよね(笑)。

中神:(笑)

羽深:毎回カラーの違うアルバムを出したがるんです。それは意味があって、僕が歌えばジョゼになるというのを確信に変えたくて。実際にそうであると言ってくれる人もいるから、良かったなと思うんですけど。だから、まだいろいろと試せるじゃないですけど、自分の中の潜在的な音楽をもっと掘り起こしていきたいから、毎回変わっているんです。

-『YOUNGSTER』以降のあり方は、どう考えていたんですか。

羽深:俺ら別に暗くないんですよね。でも、もともとのイメージをダークな方向に捉えている人もいたんです。

-内省的な歌詞にも見えると思います。

羽深:そうなんです。それをブランドとして、最初はダークな方向に持っていこうとしていたと思うんです。でも時代の流れなのか、年齢の重ね方なのか......あとはご覧のとおり3人仲がいいんですよね(笑)。だから、もっと元気にいきたくて。『YOUNGSTER』はまさに、そういう活力をテーマにしていたんです。ただ後悔はないんですけど、次はもっと活かせるんじゃないかっていう話になって。本質は音楽だから、ダビングもしない方向で、今のリアルな3人の音でロックをやったら、テーマが見えてくるんじゃないかという逆の発想から入ったのかな。

-そういう逆の発想のアプローチから実際に掴んだもの、体感したものはありますか。

羽深:いろいろありますね。制作の過程で、"ライヴ感ってなんだろう"というのは突き詰めたんです。例えば、ビートから作っていった曲もあるし。ライヴでお客さんの手を引っ張り続けていけるような曲を増やしたくなったんです。それをひとつの指針にして曲を作っていきました。

-ひとことで言うと、曲が明快なんです。以前は心を重ねるような繊細さがあって、根岸さんはそこをとてもデリケートに汲んで『YOUNGSTER』を作っていたと思うんですよ。でも今回はそこをぶち破っていて、音の圧がまず違うし、バンドが変わったのがその音から伝わるんですね。

羽深:それこそギターに関しては1、2本しか重ねていないのもあるし。ドラムにせよベースにせよ、音にこだわる時間の比重が大きかったんです。バンドそれぞれですけど、"あぁ、これ何々のバンドの音じゃん"、"これこれ"っていうのじゃなくて。"あ、変わったな"っていうのを俺はずっとやり続けたい気持ちがあったので。今回はすげぇ変わったと思われたんだろうけど(笑)。

-はい(笑)。

中神:一番念頭にあったのは、"3ピース感を出した方が良くない?"っていうことでしたね。

吉田:ギターを重ねなくなったことによって、ドラムとベースが一歩前へ出て聞こえるようになったと思うんですね。だから、今までジョゼになかったような、「モラトリアム・ラヴ」(Track.1)とか、「S・O・S」(Track.5)みたいにベースのリフで持っていく曲も増えたのかもしれないです。

中神:バンドとして変わるっていうことに対しては、前々作『Sekirara』(2015年リリースの1stフル・アルバム)から前作『YOUNGSTER』を作ったときに、"こんなに変わって大丈夫かな"っていう恐怖感というか、不安感や疑問もあったんです。ただそれをやってみて、大丈夫じゃんっていうのがツアーを通してわかったので、今回作り始めるときは、変わることに抵抗感はまったくなかったんです。これは僕個人の感覚ですが、『YOUNGSTER』は元気さや明るさがあって、今回は"ザ・男"みたいな(笑)。もうちょっと熱さを出していこうぜっていう感じですね。でも変化への恐怖がないから、実は今回のアルバムでは昔の楽曲ともリンクすることをやっていたりするんですよ。

羽深:だから、戻ったといえば戻ったんです。僕らが、全国流通する前に出していたミニ・アルバムにも入っていそうな曲とか。「モラトリアム・ラヴ」みたいなリズム・パターンも、実はその当時からやっていたんですよね。ただ、そのときは変拍子があったりして明快ではなくて。だから、しばらくジョゼから離れていた人たちが戻ってこれるアルバムにもなっていると思います。

-よりタフになって戻ってきたジョゼという。

羽深:そうです。でも繊細な部分は残っているし。いい感じのバランスがとれたと思います。

-自由に曲作りをしていくことは変わらないですか。

羽深:そうですね。でも、今回はテーマを決めたんです。ジョゼって、ロック・ナンバーや駆け抜けるような曲が多いんですけど、いわゆる"いくぜ! シャンシャンシャンシャン、ドンパン、ドドパン"みたいな曲がほぼなくて。そういう曲も、自分らの曲として聴きたいという気持ちもあって、いくつか作りました。

-なるほど。そういう、いわゆるロックの定番と言えるパターンをジョゼがやったらどうなるか、ですね。

羽深:僕は捻くれ者なので、最初に音楽の世界に入ったとき、ポスト・ロックのような変拍子のビートばかりやっていたんですよ。そういったまっすぐさはずっと避けてきて、今に至るんです。でも、前作、前々作あたりから、そういう明快な曲も増えて。今回は、臆することなく踏み込んでみようぜってなりました。長い間活動していると、わかってもらいたくてやってるのに、"何わかりにくいことやってるの"っていう気持ちも出てくるんですよ。難解なものへの美学は今でもありますけど、僕は周りのシーンとかも見ている気ではいるので。郷に従いすぎず、今の時代のジョゼを描きたかったんです。