Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

ヒトリエ

2016年12月号掲載

ヒトリエ

メンバー:wowaka(Vo/Gt) シノダ(Gt/Cho) イガラシ(Ba) ゆーまお(Dr)

インタビュアー:秦 理絵

前作『DEEPER』から、わずか10ヶ月ぶりにリリースされるヒトリエのニュー・アルバム『IKI』は、誤解を恐れずに言うならば、問題作であり、ヒトリエがロック・バンドとしてより自由な表現を獲得したことを告げる革命のアルバムだと思う。かつてないほどバラエティ豊かで、且つ解放的なムードを感じさせるサウンドメイキング、アルバム全体を通じて脈打つように刻み込まれた"生きる"という意志。その変化には、ソングライティングを手掛けるwowakaの人間的な成長が大きいが、それを敏感に感じ取り、演奏へと昇華させたメンバーの理解があって初めて今作は成立した。今、バンド史上最も熱く滾る4人に話を訊いた。

-ヒトリエがこういう作品を作ることを待ってました。今回のアルバム『IKI』は間違いなく変化作だと思うし、ヒトリエ史上最大の問題作と言ってもいいかもしれない。

wowaka:そうか、問題作かぁ(笑)。

-まず、前作(2016年2月リリースの2ndフル・アルバム『DEEPER』)から10ヶ月でフル・アルバムを完成させたことが驚異的ですよね。

ゆーまお:可能なんですね、やればできるんだと思いました(笑)。

-曲が湧き上がってきたのか、それとも続けて出さなければいけないという衝動だったんですか?

wowaka:両方なのかな。前のアルバムの制作の終盤には、このアルバムに入る曲がポツポツとでき始めているような状態だったんです。今回のアルバムに入っているような、開けた状態の曲ができつつあったので、その流れを活かした作品を作りたかったんですね。最初はシングルを挟もうかという話もしていたんですけど、この感じを2016年の頭と終わりに出して、"ヒトリエは今こういう動きをしてるんだよ"っていうのを一気に詰め込んだ方がいいんじゃないかなっていうことで、結果的に1年に2枚のフル・アルバムになりました。

-なるほど。メンバーから見て『IKI』はどんな作品になりましたか?

イガラシ:今回は録り終えてからもよく聴いてますね。いつもは作ってる期間は聴いてるんですけど、完成したら全然違う音楽を聴くようになるんですよ。

-いつも以上に聴き続けられた理由はなんですか?

イガラシ:今までの作品よりも好きなんだと思います。まず、前作の『DEEPER』を作ったときに、すごく達成感があったんですよ。ヒトリエとして培ってきた自分の演奏の在り方がまとまった気がしたんですよね。僕はヒトリエを始めてから、それまで得意としていた演奏の感じがしっくりこなくて、このバンドに合う演奏のやり方をゼロから積み上げてきたんです。それが『DEEPER』で、ある程度は形になった。だから次に作るときはもともと得意としていたことを取り入れてみようと思ったんです。それをすぐに試せたんですよね。だから今までとは全然違う満足感があるというか。自分しかわからないと思うんですけど、自分のベースを聴いてるだけでもニュアンスが全然違う。演奏者、音楽家として、すごく前向きなアルバムができたと思ってます。

-シノダさんはどうですか?

シノダ:これまでの音源も、もちろんかっこよかったんですけど、"まだやれたな"という心残りもあったんです。それが今回は一切ないんですよ。"きたな"っていう。自分の思い描いていたギターの領域にようやく触れられた。ここから、まだきっと高みがあるっていう希望が見えた感じがしますね。最強なんじゃないか俺、みたいな。

ゆーまお:自分最強モードに入ったね(笑)。

-ギタリストはそれぐらいであってほしいですよ。ビクビクしながら弾いてほしくない。

シノダ:そうなんですよね(笑)。僕は基本ずっとビクビクしてるので。そういうのが取っ払われた。憑き物が落ちた感じです。今回に関しては肯定できる部分が多いです。

-今回、そこまでの域に達することができたのはどうしてだと思いますか?

シノダ:単純にギターが上手くなった、やれることが増えたからだと思います。今までは無理矢理やってた部分も、完全に自分の身体に染みついてる。そうやって自然にできたんです。

-ちょっとニュアンスは違いますけど、今までできなかったことができたという意味では、イガラシさんと似たような現象がシノダさんにも起きてますね。

シノダ:そう、だから怖いんです(笑)。家に帰って音源を聴いて、"俺はなんでこれが弾けたんだろう?"と思いました。

-ゆーまおさんはどうでしょう?

ゆーまお:作業工程が、今までにないアプローチだったんですよ。今までに聴いたことのない音色をwowakaが出してるから、他のプレイヤーもそうなるというか。wowakaのギターを聴いて、"あぁ、なるほど。自分もこういうふうに演奏すればいいな"って。それを言ったら、wowakaは"え? そんなこと感じてたの?"って驚いてましたけど。

wowaka:そう、作ってるときは知らなかったんです。

ゆーまお:自分にとって、それは言葉にしなくていいんです。音を聴くのが一番わかりやすいから。それを現場で敏感に感じ取りながら作ったんですよね。

wowaka:今回はそういうことをいろんなところで感じてたんです。

ゆーまお:それが今までとは一番違うところかなと思います。

-今まで話してくださった各プレイヤーの変化には、やっぱりソングライティングを手掛けるwowakaさんの変化が根源にあるってことですよね?

wowaka:そうだと思います。もともと僕の曲作りはパーソナルなことしかやってないので、その個人的な自分の変化、成長がアルバムに出た気がするんです。今年の初めに作った『DEEPER』は、密室の中でバンドとしてできることを、極力シンプルに削ぎ落とそうとしながら作ったんですね。その結果、切れ味を鋭くしていくっていうアルバムだった。そのアルバムを作り終えて、ツアーを回ったりしたなかで、僕たちにできることがある意味、感覚として腑に落ちたんですよ。ヒトリエのwowakaとして、伸び伸びすることができる基礎教養を身につけた、みたいなニュアンスなんです。