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INTERVIEW

Japanese

cinema staff

2016年12月号掲載

cinema staff

Member:飯田 瑞規(Vo/Gt) 辻 友貴(Gt) 三島 想平(Ba) 久野 洋平(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

-「返して」は同じ戦争が題材でも、主人公ふたりが共有する場所の思い出がファンタジックに描かれていますね。

三島:僕はこういうのが好きなんですよね。なので、自然にできるものというか。これは戦争で敵に占領されて、住んでいる街から出て行かなくてはいけないっていう話なんです。それを淡い雰囲気で描きたくて。幸せな日々が奪われていくんだけど、登場人物は子供だからそれを現実的に見れていないという、そういう感じを出したかったんです。

-メロディアスな曲だけに、より物語性も映える内容です。

三島:この3曲の中では一番ドラマチックな曲ですね。これもサウンドについては思いついたままで、アレンジの段階でサビがちょっと増えたくらいで。作っているときは、特にストーリーを意識してるわけではないんです。

飯田:『WAYPOINT E.P.』(2015年リリースのEP)で「YOUR SONG」という、身近な人のための直球のバラードを歌って。その曲ができたことで、自分たちの音楽をより共感できるものにしていこうとアルバム『eve』へと繋がっていったんですけど。『eve』の制作中は、"聴く人が自分のことのように聴くことができる曲を"という話をずっとしていたんです。それもそれですごく好きなんですけど、もともと俺自身が三島の書く歌詞で好きなのは、受け手に考える余地のあるもので。映画でもなんでも、共感できなかったから楽しくなかったという人もいると思うんですけど、俺はそうじゃなくて、自分にない発想や切り口が突きつけられるものの方がグッとくる。今回は、3曲ともそういう感じなんですよね。テーマとしては"戦争"があるけれど、自分の身近なことにも置き換えられる内容になっているし。「返して」は特に、想像しやすいものなんじゃないかなって思うんです。サビのファンタジー感も、"これぞcinema staffの歌"っていう感じがしますね。

-今回は特にサウンドやアンサンブルの面で、インディーズ時代にあった"cinema staff節"を思い起こさせるものが、個人的にはありました。

飯田:そうですね。でも、オケには昔の感じがありつつも、"『eve』を経た、今できる音楽"というのはありますね。あとは、スタジオで久野が言っていたのが、"Aメロに入ったときにベースの音色で遊ぶとか、新しいことしてみたら?"っていうので、それを受けてああいう音になっていったんです。そのあとのギター・フレーズも、辻が即興でいろんなパターンを録っていって。3パターンくらい録ったのかな? 思いつくまま演奏するっていうのはあったと思いますね。

三島:かなり瞬発力があったよね。

辻:今回はわりとそうだったかもしれない。先にドラムとベースが録ってあって、そこにギターを乗せていく形だったので、デモとはまた違った、爆音でいい音で録ったものを聴くと、曲のイメージが変わってくるのもあって。"最初はこう考えていたけど、違うフレーズにしよう"みたいなのは、その場で柔軟にやっていった感じです。

-そしてTrack.3の「ビハインド」。この曲は他の2曲よりも一発録りのような生々しいバンド感が出ていますが、録り方が他とは違うんですか?

三島:同じですね。実は、ドンと一斉に録ってるわけではないんです。今回はどれもそうなんですけど。

飯田:聴いた感じは、一斉に録っていそうなんですけどね。

三島:もちろん演奏中はそういうことを意識していますけど。

久野:クリックの音で録ってるわけではなくて、バンドの音や理想のノリを頭の中で鳴らしながらドラムを録っているので。そこに他の音を乗せていけば、バンドで一発録りをしたときの一番いい状態が自然に出ると思うんですよね。