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INTERVIEW

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それでも世界が続くなら

2016年09月号掲載

それでも世界が続くなら

それでも世界が続くなら

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メンバー:篠塚 将行(Vo/Gt) 菅澤 智史(Gt) 琢磨 章悟(Ba) 栗原 則雄(Dr)

インタビュアー:吉羽 さおり

社会の不条理や人間の持つ弱さや汚さ、また必死に生き抜いていく美しい強さをまっすぐと音に乗せ伝える4人、"それでも世界が続くなら"が2ndミニ・アルバム『52Hzの鯨』をリリースする。生々しくエモーショナルなアンサンブルはすべて一発録り。音源をいかにして"ライヴ"に近づけていくかを重視しているという。それでいて、個々の音が際立ち、メロディも言葉もびゅんと矢を放つように飛んでくるクリアなアルバムだ。どこか泥臭く、不器用な佇まいも含めて、今、なかなかいないタイプのバンドだろう。彼らは何を思い、何を大事に音を紡ぐのか、その理由を訊いた。

-アルバムとしては、ベルウッド・レコード内レーベル"ROCKBELL records"に移籍後、初の作品となりますが、そもそもどういった経緯でベルウッド・レコードに所属することになったんですか?

篠塚:前に所属していた日本クラウンを辞めてからも、ベルウッド・レコードの人がよくライヴを観に来てくれていたんです。

-日本クラウンを辞めたあと、一旦、自主で制作をしていましたね。

篠塚:辞めてすぐに、1枚(2015年リリースの6thアルバム『最低の昨日はきっと死なない』)だけ自主で出しましたね。早かったと思います。メジャー・メーカー特有の"辞めて何ヶ月かは録音をしてはいけない"とかもあったんですけど、自分たちでやりたいからと事情を話してお願いしたら、クラウンの偉い方も"出していいよ"という感じだったので最速で発表したんです。それですぐに、これはダメだなと思って。

-何がダメだったんですか。自分たちだけだとうまく回らない、動けないということですか。

篠塚:ほんと、そうですね。簡単に言っちゃえば、当たり前ですけど事務作業が多い(笑)。バンド以外のことで、やらなくてはいけないことがすごく多くて、でも音楽の方がやりたいから、おかしなことになっちゃうという感じですよね。

-音楽以外のことで気が削がれてしまう?

篠塚:できなかったのか、やらなかったのか、それすらもわからないですけど、とにかく何かを捨てないとなっていう感じがあって。それは嫌だなと思ったんですよね。

-そうですね。この音楽からは、何も捨てちゃいけないと思いますよ。

篠塚:そう言ってもらえると嬉しいです。

-それなら、ずっとライヴを観に来てくれていた人たちだし、お話もあったし、一緒にやろうと?

篠塚:他にもいくつか、誘ってくれているところもあったんです。でも誘ってくれたベルウッド・レコードの人がすごくいい人だったんですよね。"どことやるかよりも、誰とやるかだよね"って言っていて。そのひと言が響いたんです。

-こうして環境が変わることは、バンドにとってフレッシュな風が吹くんですか。

篠塚:そうだとは思うんですけどね。俺よりもみんなが気になりますね。

琢磨:うん。変わると思いますよ。

篠塚:新鮮さはもちろん、環境が変わるからあるんですけど。でも変な話、僕らの場合、会社から見ても規模感がすごく大きいバンドということではないので、ものすごく環境が変わるというわけではないんですよね。

-曲を作って、作品にしたり、ライヴをすることには何ら変わりない?

篠塚:"言うほどのことじゃない"という感じですかね。例えば、曲を作ってそれを聴いてくれることの、申し訳ないような感じだったり、感謝だったりとか。好き嫌い関係なく聴いてくれて、嬉しいな、ありがたいなっていう。そういうことに比べたら、ちょっと環境が変わったこととかは小さなことだなっていうのが正直なところですね。

バンドでも人生でも、迎合せずに生きていける道を模索し続けている

-今、曲を聴いてもらうのに、嬉しさや感謝の他に、"申し訳ない"と言ったじゃないですか。その、"申し訳ない気持ち"っていうのはどういう心情なんですか。

篠塚:変な話ですけど、曲を聴いている人に向けて、"曲を書いてあげているんだ"みたいな感じも違うと思うし。需要と供給じゃないですけど、決して、需要があるから供給しているわけではないんですよね。

-音楽はそうですよね。

篠塚:やってくれって言われているからやっているんじゃなくて、やりたいからやっているんです。どんなにかっこつけて音楽をやる理由を言葉で着飾っても、結局はどんな形であれ、やりたいからやっているんです。やりたいからやっているものを、聴いてくれる人がいて。当然、好きで聴いてくれている人もいると思うんです。でも、今回のリリースで初めて知って初めて聴いて、自分の人生の時間を割いたけどあまり好きじゃないという人も、当然いるじゃないですか。そういうのが想像できちゃうから、聴いてくれてこっちは嬉しいんです。だけど、聴いたけどあまり口に合わなかった、好きじゃなかったとなったら、"悪いなっていう気持ち"になるんです。申し訳ないなって。だって、それで俺は味つけを変えたりしないから。

-その申し訳なさですね。

篠塚:そう。お前が"好きじゃない"となっても、"変えてあげられないから悪いな"っていう。でも聴いてくれただけで、好き嫌い関係なく嬉しいことなんです。