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夏の魔物 × 大槻ケンヂ × ROLLY

夏の魔物 × 大槻ケンヂ × ROLLY

今年10周年を迎える青森のロック・フェス"AOMORI ROCK FESTIVAL ~夏の魔物~"のホスト・ユニットで、フェスの主催者である成田大致率いる6人組、夏の魔物。彼らが9月7日にリリースしたメジャー1stアルバム『夏の魔物』は、日本のロック/ポップス界から錚々たるメンバーが制作陣として顔を揃えている。ロック・フェス"夏の魔物"とは切っても切れない関係である大槻ケンヂとROLLYも参加しており、今回はこの3組での対談が実現! いったい"夏の魔物"とは何なのか? これを読めばすべてわか......いや、ますますわからなくなるかもしれない。それでも絶対知ってもらいたい、エンターテイメント界の風雲児・夏の魔物を!

大槻ケンヂ(筋肉少女帯/特撮)
ROLLY(すかんち/THE卍/ROLLY&GlimRockers/ROLLY&NEO FANTASTIC)
夏の魔物:成田 大致 ケンドー・チャン 大内 雷電 アントーニオ本多
インタビュアー:岡本 貴之

-今回は10月1日に青森で開催されるロック・フェス"AOMORI ROCK FESTIVAL ~夏の魔物~"と、メジャー1stアルバムをリリースしたユニット 夏の魔物についてお話をうかがいたいと思います。ROLLYさんは、成田さんが夏の魔物を結成する前に組んでいたバンド(SILLYTHING)から作品に参加していらっしゃいますね。

成田:バンド時代から、7作以上ROLLYさんには参加してもらっています。

ROLLY:成田君関係の作品には数え切れないほど参加しているんですけど、自分のような特殊な音楽家を青森の若者が好きでいてくれて、レコーディングに参加してほしいと言ってくれるのが本当に嬉しいですよ。僕は毎回レコーディングのときは必ずその場所にいて、彼の表情を見ながらギターを弾いて録音するんです。"先輩だからちょっと言いにくいな"という雰囲気を出さないように彼が喜ぶように弾くことを心掛けていて、いつでも同級生のような気持ちで接しているつもりです。とにかく彼がやってほしいことを何度でも弾きますね、気に入ってくれるまで。

成田:俺は作品を作るうえで、すかんちが作るドラマチックなメロディ・ラインや、キラキラしてるところにすごく影響を受けていて。夏の魔物としては今回1stアルバムでやっとROLLYさんと一緒に曲を作ることができたのが嬉しいです。すかんちの"恋の~"シリーズ(※1990年リリースの2ndシングル『恋の1,000,000$マン』や、1991年リリースの4thシングル『恋のマジックポーション』など)の現代版がやりたいって伝えて「恋の天国はケモマモハート」(Track.3)を作ってもらったんです。サウンド的にはすかんちとニューエスト・モデルを混ぜたような曲をやりたくて、奥野真哉さん(ex-ニューエスト・モデル/ソウル・フラワー・ユニオン)にも参加していただきました。

ROLLY:その混ぜる感じがいいと思いますよ。普通だったら、曲を発注されたら家でデモを作って渡すんですけど、この曲は成田君の横でギターを持って"イントロはどんなのがいい?"、"いや、これはこういう感じで"というふうに、完全にオーダーメイドで作ったね。しかも"すかんちのあの曲みたいなイントロで、Aメロはあの曲みたいな感じで"というふうに具体的に言ってくれるから、できあがった曲を聴いたら"あぁ、まさにそんな感じだ"って(笑)。だから、自分の遺伝子を次の世代に渡すことができて嬉しかったですよ。

チャン:「恋の天国はケモマモハート」は最初に曲をいただいたとき、正直に言うと私は(すかんちやニューエスト・モデルなどの)世代ではないので詳しくなかったんですけど、今までの夏の魔物とはちょっと違う感じで、かわいらしくもありカッコよさもあるなって思いました。「バイバイトレイン」(Track.8)を歌うときは癖があるようにというよりもストレートに歌おうと思っていて。「恋の天国はケモマモハート」もストレートに自分を出したいと思って歌いました。すごくお気に入りです。

-「バイバイトレイン」は大槻さんが作詞をしていらっしゃいますが、夏の魔物の作品に参加するのは初めてですよね。

大槻:そうです。そういえば、「バイバイトレイン」を作曲した倉持君(※真心ブラザーズのYO-KING)と"RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO"で会って、"あれはいい曲だ"ってふたりで言ってたんだよ。

成田:本当ですか? 嬉しいです!

大槻:この曲を作るとき、倉持君に"詞を先に書いてほしい"って言われて。でも僕、詞先って滅多にやらないんですよ。なので結構悩みながら書きました。でも、依頼されたときに成田さんに言われたのが、僕が昔書いた小説"グミ・チョコレート・パイン"(1999~2003年に発行した3部作)に踏切のシーンがあるんですけど、そのシーンのセンチメンタルな感じを入れてほしいという依頼だったので、じゃあもうそのシーンを書こうと思って。

成田:これまでの人生はいつも負けっぱなしで、登場人物の山口美甘子みたいにいろんな人が常に自分を追い越して行くのを見て、ずっと悔しい思いをしてきたので、そういう"グミ・チョコレート・パイン"の世界観を音楽で表現したいと思い、お願いしました。

大槻:MVを見るとまさに"グミ・チョコレート・パイン"のあの感じになっているんですよ。あれはメインで歌っているのはケンドー・チャンさんだよね。むちゃくちゃキー高かったでしょ?

チャン:そうですね、今まで自分が出したことのないキーで歌いました。自分の壁を越えた曲です(笑)。あんなに高い声を出したのは初めてだったんですけど、ライヴでも声がちゃんと出るようになりましたね。

成田:そういえば「バイバイトレイン」のMV撮影のときに、ケラさん(ケラリーノ・サンドロヴィッチ/※"グミ・チョコレート・パイン"を映画化し監督を務めた)に会ったんですよ。絶対ご本人でしたよね?

大内:うん、絶対そうだと思った!

大槻:ええっ! 本当に? 偶然!?

チャン:そうなんですよ! 偶然お会いしました。

大内:あの踏切のシーンです。

成田:渋谷で撮ってたんですけど、俺と大内さんが気がついて追いかけて。

大内:ちょっと今は撮ってる場合じゃないって、撮影も止めてもらって(笑)。

成田:それで"ケラさんですよね!?"って話しかけたんですけど、"違います"って言われました(笑)。たぶん、自主制作映画を撮っている若者みたいな感じに思われたんだと思います。でもそれこそ踏切のシーンだったので、すごく運命的で奇跡だなと思いました。

大槻:あのMVすごくよくできてると思ったよ。俺、店長役やりたかったもん。話が来るかなって思ってたんだけど(笑)。

成田:えっマジすか? 出てもらいたかったですよ!