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INTERVIEW

Japanese

SHE'S

2016年06月号掲載

SHE'S

メンバー:井上 竜馬(Key/Vo)

インタビュアー:沖 さやこ

1992年生まれの4人組ピアノ・ロック・バンド SHE'Sが、シングル『Morning Glow』でメジャー・デビューを果たす。"閃光ライオット2012"でファイナリストに選ばれたことをきっかけにバンド活動を本格化し、全国デビュー後は3部作となるミニ・アルバムを完成させ、着実に歩を進めてきた。収録されている3曲はメジャー・デビュー・シングルのために書いたものだという。ポップ・パンクとクラシック・ピアノを融合させてポップスを追求するロック・バンドが、今放ちたいメッセージとは?

-高校卒業のタイミングで現在のメンバーに声を掛けて結成されたそうですが、なぜ井上さんは彼らに声を掛けたのでしょう?

高校生でバンドを始めて、3人とは地元のライヴハウスで知り合って、よく遊んでたので気心が知れてたんです。僕のやりたいと思っていた音楽に賛同してくれそう......というか、少なくとも共通した音楽の趣味があったので声を掛けて。ただ、誘ったときは3人とも"ピアノ・ロック......? 想像できひん"とピンときてなかったんです(笑)。でも面白そうと思ってくれたみたいで、そこから一緒にやっています。

-今おっしゃった"僕のやりたい音楽"というのが"ポップ・パンクにピアノを入れる"ということなんですよね。その動機は?

SIMPLE PLANの3rdアルバム『Simple Plan』(2008年リリース)がピアノの入ったバラードが多くて、"すごくキャッチーなメロディにピアノが入ることでスケールがグッと広がると透明度が全然違ってくるんやなー......"と思ったんです。あとはアメリカのMAEというバンドを聴いて、SHE'Sのイメージが浮かんで。MAEのやってることはインディー・ロックにも通じるところがあって、こういう感じでわかりやすいポップ・パンクのメロディにピアノを入れて、ポップスを追求できたらなと思いました。ポップ・パンクは好きやし、高校生のころはメロコアやポップ・パンクをやってたんですけど、そういうバンドは世の中に満ち溢れてるし、自分がやるなら自分にとって新鮮なことをやりたくて。だからピアノを入れたら新しいんじゃないかなと思ったんです。

-中学生のときにELLEGARDENに出会って、それまでずっと続けていたピアノをやめてギターを始めた井上さんが、またピアノに戻ったというのも面白いですね。

高校3年生のときにまたピアノを弾き始めたんです。僕はスタジオジブリがすごく好きなので、その影響で久石譲さんの日本武道館ライヴのDVD(2009年リリースの『久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~』)を買ったんですよ。DVDを観て、"ああ、やっぱりクラシックはいいなあ"と思って。それをきっかけにまたクラシック・ピアノを始めて、久石さんの曲を聴き始めて――というタイミングでたまたまピアノが入ったロック・バンドに出会ったんですよね。そういう状況が重なって。

-とても運命的な話です。そういう過程を経て2011年にSHE'Sを結成し、2012年に"閃光ライオット"のファイナリストに選出されると。

僕らはもともとバンドで飯を食っていくつもりはほとんどなかったんです。2012年の春に自主で作ったデモ音源を試聴サイトにアップしてたら、それを聴いたSony Musicの人が"閃光ライオットに応募してみたら?"と言ってくれて、その人が応募の手続きをしてくれて......気がついたらファイナルまで(笑)。あれがきっかけでみんな本気でバンドをやろうという気持ちになりました。そのあと今の事務所から声が掛かって所属できたので、"閃光ライオット"でだいぶ変化がありました。

-2014年に全国デビューを果たし、3部作となる3枚のミニ・アルバムをリリース。3rdミニ・アルバム『She'll be fine』(2016年2月リリース)のリリース時にはメジャー・デビューは決まっていたんですよね。

はい、決まってました。『She'll be fine』のレコーディングを終えたくらいのときにUNIVERSAL MUSICが一緒にやりたいと言ってくれて。

-1stが『WHO IS SHE?』(2014年リリース)、2ndが『WHERE IS SHE?』(2015年リリース)で、3rdが『She'll be fine』ということで、タイトルからもきちんと着地している印象があります。インディーズでの活動を終えることはバンドとしてもひとつの区切りだったのでしょうか。

そうですね。3部作にしたいという気持ちがあったし......"She'll be fine"はもともと自主企画のタイトルとしてずっと使ってきた言葉で、初めてのデモ音源をリリースしたときに初めてこのタイトルを企画で使ったんです。それがインディーズ・ラストの段階できちっとハマった感じがあって、自分たちの気持ち的にもきっちり(インディーズでの活動が)終わってたし、バンドとしてもひとつの区切りになって。全部がちょうどよかったというか(笑)。うまいことできたなと思います。

-お話をうかがっていると、SHE'Sは導かれるように着地している印象があります。

それもその場その場で自分の気持ちに逆らわずに、素直に曲を書いてきたからやと思います。ちゃんと誠実に生きてたら、ちゃんと繋がるようになってるのかな......と思わされました。全国デビューしてから1枚リリースするごとに着実に成長できたし、お客さんも増えて。(メジャー・デビューは)すごい焦って決めたわけでもなく、一緒に歩いてこれたからこその流れやと思うし。ちゃんと地に足をつけて活動できたインディーズ期間やったと思います。

-3曲入りのメジャー・デビュー・シングル『Morning Glow』は、全曲"始まり"を感じさせる、パワーも華もある曲だと思いました。これらはこのシングルのために書いた曲ですか?

そうです。「Morning Glow」(Track.1)が過去をしっかりと辿る曲、「日曜日の観覧車」(Track.2)が現在地、「Time To Dive」(Track.3)は未来を重点に置いて書いた曲で。アルバム3部作といい、たぶんそういう作り方が好きなんですよね(笑)。今回は時間軸をコンセプトに曲作りをしました。

-井上さんは「Morning Glow」のセルフ・ライナーノーツに"こんな時間まで起きて朝を迎えるなんて、という虚無感と自己嫌悪から朝焼けが苦手だった"、"そんな憂鬱も見たくない過去もひっくるめて僕の朝焼けへ向かうことを決意した"と書いていらっしゃいます。

朝、嫌いやったんですよね。作曲をしていて眠れずに朝が来たり、バンドで食えないからバイトで夜勤して、夜勤明けの朝日を見て"何してんやろ......"と思ったり。そういう状況で朝焼けを見ることしかなかったから、良いものとは思えなかったんです。けど今は、同じ朝焼けが全然違うものに見えてるんです。メジャー・デビューが決まったりして気持ちが随分変わって、朝が来ることと自分がちゃんと噛み合った瞬間があったんですよね。今感じたこと、今見えたものを伝えたい、形にしたいと思って。

-「Morning Glow」に限らず、SHE'Sの曲は井上さんの見てきた景色が自分の中にも宿るような感覚があります。

「Morning Glow」で希望に満ちた感じを伝えると同時に、そのために具体的に必要やった軌跡がいっぱいあって。僕らには続けたからこそ見えた景色がいっぱいあって、続けるためには信じることや諦めないことが必要で......。このタイミングで希望だけを歌うのではなく、お客さんと一緒に歩んできたこととか、これまでのうまくいかなかったことも全部味わわなければ、きっとこの朝焼けは見られなかった。そういうことすべてを歌いたくて、言葉を選んで書きました。

-"後退も前進も/停滞すらも/全て意味あって/僕は 僕へ辿り着けた"ということですね。

「Morning Glow」はそこだけ聴いてもらったら、もうあとはいいかな(笑)? くらいのつもりで芯にメッセージを込めました。"いつかの川辺で話した"は、地元のバンド友達と"音楽でやってやろう!"という話をして――その中にはバンドを辞めちゃった奴もいるし、まだ一緒に頑張ってる友達もいる。20歳をすぎるころにみんな一気にバンドを辞めていくんですよね。自分も何度も辞めようと思ったし......(笑)。でも、そんなときに繋ぎとめてくれたのは、バンド・メンバーや関係者、お客さん。だからちゃんとそれを歌いたかった。お客さんもきっと喜んでくれるやろうなと思って。