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INTERVIEW

Japanese

モーモールルギャバン

2016年07月号掲載

モーモールルギャバン

Member:ゲイリー・ビッチェ(Dr/Vo) ユコ=カティ(Key/Vo) T-マルガリータ(Ba)

Interviewer:沖 さやこ

-歌詞は日常に起こった些細なことが題材になんだろうけどアートとしての美しさがある曲になっていると思いました。「美しい思い出だけじゃないけど」の"傷口に花束"などいつも以上にロマンチックな歌詞の表現も多くて。

ゲイリー:ロマンチックなこと言っちゃいましたよねぇ、なんなんでしょうね、このパンイチ(笑)。......(歌詞の表現が)枯渇しないように必死にずっと小説は読んでました。そのせいかも。

-ゲイリーさんはもともとかなり読書家でしょう?

ゲイリー:もともと活字は大好きなんですけど、ここ1年で異常に本を読むようになったんですよ。好きなものが仕事に活きてくれたらラッキー、という気持ちで。ドラマも観るようになったし。その結果、ロマンチックとは対極に位置するような俺が、ついにロマンチックな歌詞を書けるようになっちゃったってことですかね?

-いやいや、ゲイリーさんはもともと強いロマンチシズムを持っている人だと思うんです。でも今回の歌詞は『シャンゼリゼ』よりも日常や感情がだだ漏れしている表現ではないんですよね。だからエモーショナルなことに加えて、演劇を観ているような気がして。笑える部分もたくさんあるんだけど、それは"おふざけ"ではなくちゃんと"喜劇"になっているというか。

ゲイリー:あぁ......感情だだ漏れ系のものからさらに次の段階にいった自覚はあるんですよ。号泣しながら"俺は名曲を書いてしまった!"と酔っ払いながら思って、その直後にフジファブリックの「若者のすべて」(2007年リリースの10thシングル表題曲)の歌詞と読み比べてみたら、自分が書いたのを"なんだこのクソみたいな歌詞は"と思っちゃって。そのとき心の底から"だめだ、俺はもっと上にいかないとだめだ、もっと上にいかないとだめだ!!"と思って。2分前まで号泣しながら読んでた歌詞を全削除しました。今作はそういう段階を経た7曲です。

-今もなおモーモールルギャバンは、立ち止まることなくいろんな壁を乗り越えている。

ユコ:作品を作るごとに年を取っているから、やっぱり感覚は全然変わりますね。

ゲイリー:感覚が変わるとかじゃねーんだよ、成長してんだよ成長! ......まぁすべてが成り行き任せで、すべてがぎりぎりなんとかなった感じです。

-インタビューさせていただくたびにそうおっしゃっているような(笑)。

ゲイリー:まぁそうですね、結局必死で生きる。目の前にあることを必死でなんとかするということは、結局何も予定通りにいかないということなんですよ! それを受け入れることでしかこんな商売やってられないんですよ。必要なのは瞬発力と決断力と気合い!

ユコ:そうだね~。私も制作の後半は"もうわかんない!! これでいいの!?"とキレながらやってた気がします(笑)。

ゲイリー:俺が"どうしようどうしようどうしよう!"とめっちゃ考えてるときに"ねぇ! キーボード何弾いたらいいの!?"と言われて......"俺の考えたかっこいいベース・ラインがあればキーボードのフレーズなんていらねぇんだよー!!"とつい言っちゃいました(笑)。

ユコ:じゃあ弾かなくていいのかと思ってたらその3日後に"で、どんなキーボード弾くの?"と理不尽なことを言われたので、私はブチ切れですよ(笑)!

ゲイリー:(笑)それは俺も悪かったけど、こいつも悪いんです。俺が考えごとをしてるときに話し掛けんな!ってことなんです。俺が暇そうで機嫌良さそうなときに聞いてくれ! お酒飲んでるときはだいたい気分良いんだから!

ユコ:そういうときに聞くと次の日180度違うこと言ってくるんですよー? 全ボツですよ! ......こうやって人はたくましくなっていくんだなと(笑)。でも今回も大きなケンカもなく進んだので、よかったですね。

-(笑)とても素敵なミニ・アルバムだと思います。早くライヴで聴きたいなと思いました。

ユコ:あぁ......散々頭を悩ませて作った曲たちだから、ライヴで演奏したら気持ちいいかもしれない(笑)。

ゲイリー:『PIRATES of Dr.PANTY』くらいの音数だとライヴで演奏に集中できるよ。

ユコ:本当!? 個人的には心臓に悪い曲しかないんだけど! ライヴでどんな響き方をするのか......結構チャレンジですね。私はドキドキする。歌が聴こえてくる曲がほとんどだから。ぐしゃっと楽器がいく曲は「イグノアの娘」くらいかな......。

ゲイリー:「イグノアの娘」はめっちゃ歌が映える曲だよ、ちゃんと歌えないとかっこ悪くなる曲だから......もうね、ライヴが不安でしょうがないです(笑)。日本のほとんどのバンドはヴォーカルに合わせてオケの音を下げてもらえるらしいんです。でもこのへんの頭のおかしい人たち(メンバー)が"それだとモーモールルギャバンらしさが出ないよね? じゃあゲイリーが大声で歌えばいいじゃん"と......。

ユコ:"あれ? アンプ鳴ってるかな?"ってボリュームを上げて(笑)。

ゲイリー:だからその音に負けないように俺がドラムを叩かなきゃいけないわけなんです。その状態でヴォーカルが抜けないとだめなんです。滑舌も良くして、メロディもできるだけ間違えずに歌わないとかっこ悪いことになっちゃうんです!

-じゃあゲイリーさんが頑張るしかないですね。

ゲイリー:そうなんです。頑張るしかないんです。大変なんです。

ユコ:大丈夫大丈夫、今回私は大きい音そんなにないから。

ゲイリー:えぇ~......。いっぱいあるよ~。パワー・アップしないとこの曲たちはライヴでできないんです。って、作品を出すたびに言ってる気がします(笑)。いいかげん7割の力で音源作りたいです。

-いやぁ、モーモールルギャバンは必死に生きることの美しさを証明しているバンドですし、それはできないですよ(笑)。

ゲイリー:はははは! レコーディングに行き詰まったらちょっとお酒飲んでしばらくボーッとしよう、みたいなテンションでいつか作品作りができるようにならないかな~......と思いながら必死なまま死んでいく姿が、残念ながらもうすでにちょっと見えてます(笑)。