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INTERVIEW

Japanese

FIVE NEW OLD

2016年06月号掲載

FIVE NEW OLD

Member:Hiroshi(Vo/Gt) Wataru(Gt/Cho) Yoshiaki(Ba/Cho) Hayato(Dr/Cho)

Interviewer:山口 智男

昨年6月にリリースした1stフル・アルバム『LISLE'S NEON』で見事、グルーヴィなポップ・ロック・バンドに進化を遂げた神戸の4人組、FIVE NEW OLDがSkream!に初登場。今回のインタビューでは、彼らが前作より1年ぶりにリリースする4曲入りのニューEP『Ghost In My Place EP』で挑んださらなる前進についてのみならず、2010年の結成時、ポップ・パンク・バンドとしてスタートした彼らがどんなふうに音楽的な変遷を遂げてきたのかについても訊いた。最新作はさらなる進化の第一歩。FIVE NEW OLDのこれからに、ぜひ注目を。

-前作『LISLE'S NEON』から1年ぶりのリリースとなる今作『Ghost In My Place EP』はグッと大人っぽくなった印象があります。こういうバックグラウンドはもともと持っていたと思うんですけど、FIVE NEW OLDは最初からこういう音楽をやっていたわけではないですよね?

Yoshiaki:結成当初はALL TIME LOWやBOYS LIKE GIRLSみたいなポップ・パンクをやりたくて結成したんですけど、ポップ・パンク以外の音楽もみんな好きだったので、そこから徐々に変わってきて、前作でがらっと変わったという感じなんです。

-もともと、4人はどんなふうに出会ったんですか?

Yoshiaki:Hayatoと僕は地元が同じで、高校生のころから一緒にバンドをやってたんですよ。僕は20歳ぐらいで一度就職して、5年ぐらいバンドから離れていたんですけど、Hayatoが続けていたバンドの解散をきっかけに、"もう1回、一緒にバンドをやろうか"ということになったんです。

Hayato:以前、HiroshiとWataruがやっていたバンドと対バンしたことがあるんですけど、そのとき彼らは超若い新人で(笑)。

Hiroshi:18歳ぐらいでした。

Yoshiaki:FALL OUT BOYみたいなバンドだけど、"あいつら絶対若いよな"って。

Hayato:"え、まじ!? あいつ(Hiroshi)絶対、帰国子女だわ"って勝手に思い込んで、俺は絶対に口説いてやるって思いました(笑)。

Yoshiaki:それでHiroshiに声をかけたんですけど、ちょうどそのとき、HiroshiとWataruがやっていたバンドも解散するってタイミングで。

Hiroshi:そこまで熱を入れてやってたわけではなかったんですよ。大学に進学したら終わりかなって考えてたときに誘われたから、じゃあ一緒にやろうかなって。

Hayato:いや、結構口説いたで。そんなにサクッと言われたくないな(笑)。

Wataru:俺は口説いているところを何度か見てるし(笑)。

Hayato:5ヶ月ぐらいかかったんちゃう?

Hiroshi:前のバンドが完全に解散したわけではなかったから、がっつりやるのはまだ早いかなって思ってたんですけど、(Hayatoが)なかなか折れてくれないから(笑)。"じゃあ、1回スタジオに入ってみるか"ってところから始まりました。

-で、Hiroshiさんは帰国子女なんですか?

Hiroshi:帰国子女ではないです。そこはしっかりと書いておいてください(笑)。帰国子女だと思われる理由は、たぶん発音だと思うんです。親が家でいつもサッチモ(Louis Armstrong)、THE BEACH BOYS、THE BEATLES、Stevie Wonder、EARTH, WIND & FIREなどを聴いていたので、僕も物心つく前からそういう音楽を聴きながら歌ってたから、自然に発音が身についているというか、アクセントがネイティヴの人に近いんだと思います。

-ああ、なるほど。ところで、ポップ・パンクからサウンドが変化し始めたのはいつごろだったんですか?

Hiroshi:FIVE NEW OLDをやりながら、もっといろいろな音を表現したいという気持ちがだんだん芽生えてきて。2012年6月に『LOVESICK』(1st EP)を出したとき、自分が表現したいものはこの枠には収まりきらない、この縛りがあったら無理だと思いました。初めは僕だけはそこに意識を集中させてしまって、メンバーと歩幅が揃わないってこともあったんですけど、ある日シングルを頑張って作ろうかってなったとき、今まであったポップ・パンク路線の曲をA面にして、B面は新しいグルーヴィなものしようと考えたんです。それが初めてMVを作った「HOLE」(2014年リリースの500枚限定シングル表題曲)になるんですけど、もともと、B面用に考えていた曲が思っていた以上にうまいことできて、自分としてもこっちの方がいいんじゃないかって思えたので、みんなに聴かせたら、"「HOLE」の方がいいね"って言ってもらえて。そこで初めて"この感触ならみんなでやれるんちゃうか"って、ずれてた歩幅が一緒になったんです。

Yoshiaki:そのころ、海外から来たバンドのサポートをたくさんやらせてもらっていたのも大きかったです。(FIVE NEW OLDが所属している)TWILIGHT RECORDSのバンドでいえば、QUIETDRIVEやCASH CASHとか。あとは激ロックさんのイベントでTHE CABと一緒にやらせてもらいましたが(※2011年11月に開催された"激ロックFES. vol.8")、そのころ、THE CABはMAROON 5とツアーを回っていて、彼らもポップ・パンクというよりはR&Bの影響が濃かったので、そういう音楽もかっこいいなと思ったんですよ。もともと、Hiroshiが歌う歌もクセがあったし、PANIC! AT THE DISCOみたいなバンドも好きだったから抵抗はなかったんですけど、ポップ・パンクからジャンルを変えることについては、僕の中ではブレたくないという気持ちもあったので、Hiroshiがやりたいことと4人でやることを一致させるまでに時間はかかりましたね。その中で、レーベルから"試しにシングルを作ってみたらいいんじゃない?"と提案をもらって作ったのが、さっき言った『HOLE』なんです。

Hiroshi:今の音楽性になるきっかけですよね。

Hayato:もともと、Hiroshiが歌うメロディは基本的にぬめっとしてなかったんです。だから、ベタな8ビートで刻む曲がだんだんなくなっていったとき、Hiroshiの歌を聴きながらドラムを叩くことが楽しくなったんですよ。"こういうジャンルでやりたい"って話をしたときも、ドラムもその方が幅も広がるし、幅が広がるなら勉強もせなあかんしって自然に思えましたね。もちろん、ブレたくないって気持ちもありましたけど、今となっては成功なんちゃうかな。音楽性を変えたことで、メンバー全員がひと皮剥けましたしね。