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INTERVIEW

Japanese

Drop's

2016年05月号掲載

Drop's

Member:中野 ミホ(Vo/Gt) 荒谷 朋美(Gt) 小田 満美子(Ba) 石橋 わか乃(Key) 奥山 レイカ(Dr)

Interviewer:松井 恵梨菜

2013年のメジャー・デビュー以降、コンスタントに作品を発表してきたDrop'sが、早くも4枚目となるフル・アルバム『DONUT』をリリースする。"無伴奏"、"月光"という映画2タイトルにおいて初めて主題歌として書き下ろした「どこかへ」、「月光」の2曲も収録した今作は、ブルース・ロックンロール・バンドとして名高いDrop'sのキーパーソン、中野ミホのありのままの姿が描かれている。これまでとは明らかに異なる制作方法でバンドの表現の自由度を打ち出した今作について、メンバー全員に訊いた。

-前作『WINDOW』(2015年7月リリースの3rdフル・アルバム)から10ヶ月という短いスパンでのフル・アルバムのリリースとなりますが、バンドにとってこの10ヶ月はどんな期間でしたか? 前作の完成を経てバンドに何か変化があれば併せて教えてください。

中野:初の映画主題歌2曲(※映画"月光"主題歌のTrack.8「月光」、映画"無伴奏"主題歌のTrack.11「どこかへ」)の書き下ろしも大きかったですし、今回はアルバム全体のヴィジョンを持って、じっくりと制作ができたと思います。

小田:期間的に見ると短いようですが、今回のアルバムは今までで1番時間をかけて作りました。今までは、そのときできた曲をひとつの作品にまとめるような感じだったんですけど、今回のアルバムは曲を作る前から"次はこういうアルバムにしよう"という完成図をみんなで共有しながら作り始めました。こういうふうにできたのも、今までの3作があってこそなんじゃないかなと思っています。

奥山:『WINDOW』がメンバー全員の個性を詰め込んだ作品となったので、できあがったときから"次回作は中野の世界観をもっと詰め込んでもいいんじゃないか?"となんとなく話してました。デビュー後から前作までのアルバムで個々の技術も身についたと思うので、ある意味インディーズのときのような作り方に戻したことで、今作では中野のやりたいことをより濃く出せたんじゃないかと思います。

-今作リリース前(3月)のタイミングでワンマン・ツアー"Drop's 2016 TOUR MARCH WITH ME"を行った理由はなんでしょうか? また、ツアーを通して印象的な出来事や感じたことがあればぜひお聞かせください。

奥山:メンバー全員、ライヴはたくさんやりたいと思うので(笑)。今回はアルバム・リリースの発表だけではなく、主題歌を担当した映画"無伴奏"の公開も3月で、"これは何かやらないと!"となったからですね。各会場で主題歌の「どこかへ」と、アルバムのリード曲「ドーナツ」(Track.6)も演奏しました。

石橋:CDを出してのツアーではなかったので、今まで自分たちが作ってきた曲たちを見つめ直して。新旧いろいろな時期の曲をセットリストに盛り込むことができたので、新鮮でした。

中野:しばらくライヴで演奏していなかった曲などを久しぶりにやると、当時の自分はこんなことを考えていたのか......とか、変わった部分や変わっていない部分を改めて確認できました。お客さんも楽しそうにしていたので良かったです。

荒谷:久々に昔の曲をやるとまた違って聴こえる感覚もあって、とても楽しかったですね。また、こういうツアーをいろいろなところでやりたいと思います。

-『WINDOW』リリース時のインタビューでは、"次はもっとパーソナルな歌や音にしてもいいと思ってる"とおっしゃっていましたが、今作『DONUT』では作詞作曲や音作りの過程でどのようなことを意識されましたか?

中野:とにかく今、私が感じていることや、見える景色をそのまま曲にしようと思って作りました。音作りや曲調、歌詞や全体のバランスよりも、どれだけ今の自分に正直に、素直なものを作れるかということを考えました。それもあって、やはりとてもパーソナルなアルバムになったと思います。曲作りやレコーディングの面で、アコースティック・ギターを購入したことも大きかったです。

-2ndフル・アルバム『HELLO』(2014年リリース)以降、Drop'sの音楽表現はどんどん自由になっているように思います。今作では「ドーナツ」、「月光」など、バラードの存在が目立つように感じましたが、"こういう曲を前面に出そう"といった狙いはあったのでしょうか?

中野:私はもともと、バラードというか、メロウな曲がとても好きで。いま自分が好きなものや思うことを正直に曲にしたときに、自然とバラードが多くなってしまいました。なので狙いというよりは、"作ってみたらこうなった"という感じです。

-バラードが前面に出ることで、中野さんのヴォーカルの素の魅力――初期のように尖っていなくても、何にも負けない力強さや温度を再確認できました。ご自身の中で、歌い方に対する意識の変化はありましたか?

中野:バンドを始めたころは、怒りやモヤモヤした気持ちを多く曲にしていたというのもあったし、がなったように歌うのが自分の長所というか、特徴だと思っていました。でもここ数年で、のびのびと楽に歌えるようになって、それがすごく気持ちいいし、すっと心に入ってくる歌に繋がるのではないかと思うようになりました。