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INTERVIEW

Japanese

ドラマチックアラスカ × ココロオークション

2016年05月号掲載

ドラマチックアラスカ × ココロオークション

ドラマチックアラスカ:ヒジカタ ナオト(Vo/Gt)
ココロオークション:粟子 真行(Vo/Gt)
インタビュアー:奥"ボウイ"昌史  Photo by はやしまこ(maco-j)

-そう考えたら、ドアラの『アラスカ・ベリーズ』も、ココロオークションの『CANVAS』も、地道に積み上げてきた経験が形になった作品ですね。それぞれの新作を聴いてどう思いました?

ヒジカタ:今までの音源ではわりと近しく感じてたのに、『CANVAS』ではめちゃめちゃメジャー感が出て、急激に広がったというか。ホールとかアリーナとかでも通用するようなスケール感が出始めたんで、ワクワクしながら聴きましたね。

粟子:同業者なんでドアラの曲によく出てくるリズムとかコードはわかるんですけど、今回はひと皮剥けたというか、その殻を破ろうとしてるのがすごく見えましたし、踊らせるだけじゃなくて、ちゃんと聴かせることができるバンドなんやって、改めて思いましたね。

-『アラスカ・ベリーズ』ではさらに歌が際立ったというか、よりポップ・ミュージックとして戦える作品になりましたよね。今回のアルバムでそれぞれ狙いはありました?

ヒジカタ:僕らの楽曲はバンド・サウンドだけで成立するのが売りだったんですけど、Track.1「ニホンノカブキ」はシーケンスがバチバチに入ってたり、Track.6「河原町駅」は超J-POPバラードになっていたり。バンドのイメージがつくとどんどんやりにくくなることもあるから、"僕らは違うで? もともとひきだしとして持ってたんだよ"って今のうちに提示しておいた方が後々楽だし、今回はそれぞれの楽曲ごとにめちゃめちゃ振り切ってみようって。楽しいだけ、踊れるだけっていうバンドが多い状況は面白くないと思ってるんで、"僕らはちゃんと歌えるバンドだぜ!"って示したくて、こういう内容になりました。

-なるほど。ドアラのここ1年ぐらいの動きは、シーンの飽和状態とそれに対する危機感、その中で一緒くたにされてしまう葛藤も含めて、モノ作りをしてる感じがしますもんね。

ヒジカタ:でも、僕はずっとスタイルを貫いてきたココロオークションが羨ましくて。

粟子:でも、自分ら的には毎回、結構舵を切ってるんやで(笑)? だって「ヘッドフォントリガー」(2014年リリースの4thアルバム『ヘッドフォンミュージック』収録)とか、めっちゃ速い曲も作ったやん(笑)。

ヒジカタ:アハハハハ(笑)! いや、このままがいいよ、ココロオークションは。そこがいいんやと思う。

粟子:でも、今作のプロデューサーの木崎賢治さんに、"サウンドとかアレンジは服だから"って言われて、たしかに今この時代に合わへん服を着てたら、そらあかんわって(笑)。それから考え方が変わって、"流行を取り入れつつ自分の色を出す"よう意識しました。踊れるのは絶対に理由があるという脳みそで最近のバンドを聴いて研究したら、僕らに足りてなかったところがすごくわかって、ジャンルとか四つ打ちがどうとかじゃなくて、曲として素直に尊敬できるようになった。今のシーンをちょっと離れたところから見られるようになった感じですかね。

-憧れのBUMP OF CHICKENを手掛けた木崎さんがプロデューサーとなると、ココロオークションからしたらもうたまらんという感じだと思いますけど(笑)。

粟子:(笑)今回のアルバムは曲ごとにテーマを決めて、それを膨らませて作っていったんですけど、"テーマから作った方が曲が強くなると思う。あと、君が本当に心から思ったことを歌わないと、聴いてくれる人には伝わらないよ"とか、"いいことばかり歌っててもそれはリアルじゃない。人生ってリアルだから、ちゃんと人生を歌わないと"とか......音楽的にだけじゃなくて人間的にプロデュースされてるというか、すごく不思議な感覚でした。魂のレベルを上げてくださったような。

-そしてドアラは、リード曲の「河原町駅」に亀田誠治さんという歴戦のプロデューサーが関わってくれてますね。

ヒジカタ:もう1分1秒すべてが勉強になることばっかりでしたね。亀田さんは本当に音楽大好き少年がそのまま歳を重ねたみたいな方で。亀田さんなりの方法論もいろいろあって、とにかく朝早くレコーディングが始まるんですよ。そもそも一般的なレコーディングが昼から始まるのは、"歌謡曲全盛時代にディレクターさんが午前中に打ち合わせをしてからスタジオに来てたころの名残なんだよ"って。でも、今の時代はそんなスケジュールでもないし、朝からレコーディングした方が健康的な時間に全部の作業が終わるから能率がいいと。あと、亀田さんは一発録りをすごく推奨してて、「河原町駅」でもそうしてるんですけど、やっぱりバンドのグルーヴがそのまま残るんでめっちゃいいなと。この曲をリードにするのは僕らとしてもチャレンジだったんですけど、ライヴで披露したら反応もすごく良くて。

粟子:出来立てのときに機材車で聴かせてもらったと思うんですけど、音は良いしシンプルやし、ホンマに曲で勝負しにいってるなって思いましたね。

-ドアラがどこに向かおうとしているのか、このアルバムの姿勢が現れている曲ですよね。ただ、あんたは神戸のバンドじゃないのかと(笑)。

ヒジカタ:ドラマチック"アラスカ"とか、"神戸"出身とか、「"河原町"駅」とか、本当に散らかってる(笑)。京都はすごく好きな街で、よく古着を買いに行くんですよ。今着てる服も京都で買いましたし(笑)。