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INTERVIEW

Japanese

Qaijff

2016年04月号掲載

Qaijff

Member:森 彩乃(Vo/Pf) 内田 旭彦(Ba/Cho/Prog) 三輪 幸宏(Dr)

Interviewer:沖 さやこ

音大クラシック・ピアノ科出身で数々のピアノ・コンクール受賞歴を持つ森 彩乃を中心に2012年3月に結成された愛知県在住の3ピース・バンド、Qaijffが2ndミニ・アルバム『Life is Wonderful』をリリースする。Jリーグのプロ・サッカー・クラブ"名古屋グランパス"2016シーズンのオフィシャルサポートソングとして書き下ろした「Don't Stop The Music」を含む全7曲入りの今作は、演奏にも歌にも躍動感がありQaijff史上最も壮大。まさしく彼女たちが掲げる"プログレッシヴ・ピアノ・ポップ・バンド"に相応しい。

-2015年6月に1stミニ・アルバム『organism』をリリースして以降、バンドの状況はいかがでしたか?

内田:2015年は100本以上もライヴをして、いろんな人と出会いました。そこで思ったのは――ライヴで初めて僕らのことを知って好きになってくれる人もいるし、僕らの音源だけを聴いて特になんとも思っていなかった対バン相手のみなさんが、僕らと仲良くなったあとに僕らの音楽を好きになってくれたということもあって、ライヴをする意味をすごく感じました。だからこそ"俺らバンドマンはいいライヴをして、いい作品を作らなきゃ"と思ったんですよね。"仲良くなったら好きになってもらえる"ということに甘えたくないなと。そういう想いのもと今作『Life is Wonderful』を制作をしていました。

森:ライヴしまくってる合間にデモをあげてスタジオに入って......という感じでしたね。

内田:今までの僕らの曲には、ライヴのときにみんなで歌える場所を作ることがなくて。......正直なところ、作ることに抵抗があったんです。もともと僕はアンダーグラウンドなものが好きなので、お客さんを突き放したような演奏をしてバッと帰る、みたいなのがかっこいいなと思っていたし、憧れていたんですよね。でもライヴをしていて"みんなで歌える部分があると俺らもお客さんも楽しいよな"と思うことが増えていって、そういう曲を作ったりしましたね。とはいっても僕は"こういう曲にしよう"と考えて作るというよりは、なんとなく楽器を弾いてたらフレーズができて、それを追いかけて形にしていくという感じなんです。だからでき上がった曲を聴いてみて"あ、俺はこういうことを考えていたんだな"と。

-『Life is Wonderful』はメンバーそれぞれの強みを最大限に活かした作品だと思いました。今までのQaijffは困難から抜け出すために必死に走って力ずくで突き進んでいくイメージがあったんですけど――。

森:ははは! "負けるもんか~!!"って感じですよね(笑)。

-(笑)今回もパワフルではあるんですけど、ダンスや踊りのような肉感や力強さがあるなと思いました。だから余裕や華やかさを感じて。

内田:『organism』(2015年リリースの1stミニ・アルバム)はコンセプトありきの制作だったんですけど、今回はそういうところがあまりなくて。考えていたのは"森 彩乃というヴォーカルの才能や、素材としての良さをどう表現するのが素敵かな?"ということだったんです。以前ならサビで転調してギリギリの高さのキーで攻めていたんですけど、声が高くなればなるほどヒステリックに聴こえてしまうと思うんですよね。もちろんそういうかっこよさもあるんだけど――少し抽象的な言い方になっちゃうんですけど、(森に関しては)"ねえねえ、聴いて聴いて!!"という歌ではなく、"すごくいい曲なので聴いてください"というトーンの歌が今は最も素敵な気がしていて。

森:前よりも余裕を持って歌えるようになりました。"おりゃー! どうだ! 負けるか~!!"みたいな感じからは抜けたので、それが歌にも出たかなと。曲作りの段階から私の声が活きるようにメロディ・ラインを決めたり、何度もキーを変えたりもしたので、それがよかったなとも思います。今の自分の歌の聴かせ方や、聴かせたい部分が見えてきた実感はありますね。

内田:彼女に何度も歌ってもらって"ここ半音下げようかな"と思って下げてまた歌ってもらって......というふうに作業を進めたので、どこが最も(森の歌声が)映える部分なのか検証しながら詰めていったんですよね。

森:演奏面も『organism』のときは"どれだけインパクトを与えられるかが勝負!"という気持ちも結構強かったんですけど(笑)、今回いいバランスでそれぞれの個性が出たというか、無理をして"どや!"とやらなくてもうまく伝わるものができたな......と思ってます。

-Track.3「光を探しに」は特にそうですが、今回はサビがシンプルな曲が多いですよね。だけどAメロとBメロはテクニカルで、プログレっぽさやポスト・ロックのテイストもあって、メリハリがばっちり決まっているというか。

内田:やっぱりバンドのことをわからない人やJ-POPしか聴かないような人にも、洋楽が好きという人にも俺らのことを好きになってほしいし。そう考えると"A~B~サビ"という展開はJ-POPしか聴かない人にとても親切だと思うんですよね。今回は自分たちの好きなことは曲げることも変えることもせずに、上手に説明できるようになったけど、その中でもやりたいことはやってるよ、と(笑)。

森:やっぱりプログレっぽいテイストを入れたりすると、自分たち的にはニヤッとするよね(笑)。歌を聴かせたいと思っているので、歌を壊すアレンジは良くないなと思うんですけど、自分たちが好きなことをやって楽しみたいなとは思うので、演奏面では自分たちなりの遊びや面白い試みは絶対この先もやっていきたいですね。

-Qaijffの場合はポップ・ソングとプログレやポスト・ロックをミックスさせるだけではなく、クラシカルなピアノとしての良さを残して入れているので、アレンジの難易度は高いと思うんです。

森:あんまりそこを自分で意識したことがないんですよ。今回は『organism』のときよりもシンセやストリングスとか、いろんな音を使いながらも"ピアノの良さをちゃんと聴かせよう!"という気持ちはちゃんとあったんですけど......クラシック音楽をピアノでもともとやっていた私が、このメンバーでバンドをやっているから、自然とこうなるというか。