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INTERVIEW

Japanese

四星球

2016年02月号掲載

四星球

Member:北島 康雄(シンガー) U太(Ba) まさやん(Gt) モリス(Dr)

Interviewer:岡本 貴之

-「豪華客船ドロ舟号」に出てくる"見たこともないくせに見せたい景色があるんだ"という歌詞はカッコいいことを言うなあ~と思いました。

U太:これは、リアルにロケの経験がもとになって生まれた曲なんです。とあるテレビ番組のロケに僕らを呼んでいただきまして、吉野川の上流から河口まで、カヤックで下ると。それで2日間一緒になって河口まで出れるか出れないかというロケをやったんですけど、結局河口には出れなくて。ということは、この先の景色を見ていないと。そういうことを歌詞に落とし込んでたらいいなと(笑)。

北島:でもそれはわからないですけどね、ちゃんと言ってはないから(笑)。これに関しては、ほぼほぼ完成した歌詞を持って行きましたね。

U太:2日間ずっと一緒におって、自分たちでテントを立ててキャンプして。そういう経験があったがゆえに、意識を共有できていたというか。向かう先が一緒という。

まさやん:ああ、それはあったね。

北島:イメージがみんな一緒っていう。でもこういう曲の作り方ってもうないでしょうね。同じ体験をして曲を作るってなかなかないので(笑)。自分の中で、"バンドの歌"みたいなのってもうちょっと歳をとってから書いた方がカッコイイなというのがあって。寝かせておきたいなと思っていたんですけど、まあこの機会に"7月のうた"というのと舟というテーマで作れば、また今度ええタイミングで思いっきり"バンドの歌"っていうものを作る機会もあるかなと。だから作りたい願望とは裏腹に、"まだアカンまだアカン"っていう思いはありました。

U太:リアルを歌った曲というのは、車でずっと移動しているからか、できるのが早いんですよ。「出世作」や「豪華客船ドロ舟号」とか、前にも「オモローネバーノウズ」(2013年リリースの3rdアルバム『COMICBAND~アホの最先端~』収録)という曲があるんですけど。そういう意思がひとつのところに向かう曲を歌うことって、今思えばさっきのキャンプみたいなことと同じことなんじゃないかなって思うんですよね。だからできるのが早いんですよね。

北島:どれもストレートなんですよ、そういう曲は。

まさやん:その方が伝わりやすかったりするもんね。

-そういうストレートな曲からネタ的な曲も、出し惜しみせずに、全部入っているアルバムですね。発想に悩むようなことはないですか?

北島:他の人と違うのは、しょうもないことでやれるっていうことですよね。他の人が捨てちゃうようなものを、僕らはそれを種火にしてパッと燃やせるんで。だから本当のバンドだったらもうカラになってるのかもしれないですけど。

U太:"本当のバンド"(笑)。

北島:(笑)本当のバンドは捨てちゃうようなカスをなんとか、お好み焼きのソースの焦げてるところ美味い、みたいな。そこでどうにかやりくりして美味しくするという感覚に近いかもしれないですね。

まさやん:すごくエコなバンドですね。

北島:30歳を越えたくらいから、なんでも歌にせんとやっていけないのだろうなとは思いましたね。ラヴ・ソングとかそういう括りだけでは無理やなって。なんでも歌にできる、そしてそれをちゃんと伝えられるという技量が必要なのかなとは最近思っていますね。

-これからもなんでも歌にしていく?

北島:ひとつ、すごいテーマとして残しているのがあって。それは"大自然"なんですけど。

一同:(笑)

U太:山とか?

北島:山とか森とか、大自然をまだ歌ってなかったんで。そういう、大自然のアルバムを作って、松山千春さんのカバーを入れたいなと思ってます(笑)。

一同:(爆笑)

モリス:アルバム単位の話やったんや(笑)。

-リリース・ツアーはどんな内容になりそうですか?

北島:昨日のワンマン・ライヴ(※2016年1月15日@ 高円寺 HIGH公演)では古い曲、最近の曲、ニュー・アルバムの曲をそれぞれ固めた構成でやったんですけど、古い曲もいいなあと。今は作れないような曲だったりするので。このアルバムだけでは表現しきれないものもあるし、今回のツアーは僕らのキャリアを詰め込んだものにしたいと思っています。昨年のフラワーカンパニーズの武道館公演を観たときでも、"ああ、あの曲や!"っていう瞬間はやっぱり痺れるんですよね。そういうのをライヴハウスで毎回味わってもらえたら、それって素敵なことやなあって。新譜を出したきっかけで、逆に"あの曲あったな"というようなライヴにしたいなと思います。

-今後はバンドとしてどんな存在になりたいでしょうか?

北島:1番デカいことを言うと、いろんなカルチャーの中心部にコミック・バンドの精神を持って行けたら面白いと思うんですよね。メイン・カルチャーでもサブカルチャーでも。PUFFYがアニメになったりとか、ザ・ドリフターズの"西遊記"(※テレビ放送されていた人形劇"飛べ!孫悟空")みたいな感覚だと思うんですけど。僕らがめっちゃいい服着て"BRUTUS"の表紙を飾るとか。映画の曲を丸々作らせてもらうとか。まさやんが格闘技に出るとか(笑)。そういう可能性が広げられるのがコミック・バンドとしての4人の武器なのかなって思っています。