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INTERVIEW

Japanese

鳴ル銅鑼

2016年02月号掲載

鳴ル銅鑼

Member:三輪 和也(唄/六弦) カバ(六弦) グローバル徹(四弦) 岩っさん(太鼓)

Interviewer:沖 さやこ

-三輪さんの書く歌詞は聴いて受ける印象と読んで受ける印象が違うところも面白いですよね。

三輪:僕が本が好きな理由も、日本語は羅列したときに形としてきれいだなと思うからなんです。歌詞もどういう漢字を使ってどういうふうに伝えたいのか。"いい"も"良い"なのか"善い"なのか"好い"なのかで少しだけ感じ方が変わってくるので。そこは文字にしないとわからないニュアンスなので、できればそこまで見てくれると作った側としては嬉しいですね。

-漢字の言葉遊びが多くて。"さんはい"を"参拝"と表記してみたり。

三輪:好きなんですよね(笑)。少しずつ言葉のキャラクターや意味合いを変えてみたりしてます。やっぱり日本語の性質上、グッド・メロディを作るのは難しいんです。おまけに英語なら1音で歌えることも日本語だと音を3つ4つ使わないといけないから、言えることも減っていくし......最初はそういうデメリットのことばかり考えてたんですけど、海外のアーティストがどれだけいいメロディを作ったとしても、この素晴らしさは日本人にしか、日本語にしかできないことだと思うんですよね。日本人に生まれたからにはそれをやっていきたい。もし海外進出したとしても英語の唄を作るのではなく、漢字やひらがなの美しさや素晴らしさを伝えたい。これは世界に誇れるものだと思うんですよね。

-歌詞に"愛"も多ければ"嘘"も多いですよね。

三輪:あ、僕が嘘つきなので"嘘"は昔からすごく多いです。でも曲を書くときには嘘を書けないというか......書いたものを読んでみるといつも"本当のことを書いてるな"と思うので、読んでいて精神的にしんどくなることもあって。それで自分が嘘つきであることに対するコンプレックスもめちゃくちゃ歌詞には出ていて......曲には本当に嘘がなくて、普段は嘘で隠している汚い部分がいっぱい入っちゃうんだろうなと思います。嘘つきなのに嘘つきじゃないって言ってる人が僕よりよっぽど嘘つきだとも思うし......だから曲の中で僕はみんなのことも"嘘つき"って言いたいんだろうな(笑)。この世には必要悪でもあるいい嘘もいっぱいあるから。そこに固執してるんだと思います。

-"愛"と同じくらい"嘘"も奥が深いものですからね。ひと言で言い表せない。

三輪:ですよね。嘘は存在しないと大変だと思うんですよ。恐らくバンドの先輩であろう人に声をかけられたけど誰だか思い出せなかったとしたら、やっぱりまず最初に"あ、どもっす!"って言うやん(笑)?

徹:まあ、そうやね(笑)。

三輪:それは相手を傷つけない嘘やと思うんです。世の中は嘘にまみれているなと思うんです。でもそれは自然なことで、僕はそれがいいことだと思っているので肯定したいんですよね。

-三輪さんのヴォーカルは言葉に突き動かされているような気がします。三輪さんご本人の意思があるけれど、楽曲に引っ張られているような印象もある。そのバランスが独特で。

三輪:ああ、自分が言葉に操られているような感覚はすごくあります。物事を考えるのが好きなので、言葉を使ってみんなにメッセージを伝えたいという感覚よりは"書かないと自分自身がヤバい"みたいな心境で書いてたりします。だから歌うごとに"あ、この曲にはこういう意味合いもあるなあ"、"こういうふうに歌ってみてもいいかもな"と曲のことを理解していくことも結構あって。自分がこういうふうに歌いたいからこういう曲を書こうという発想からスタートしてるわけじゃないので、レコーディングでも何パターンか録ってみることが多いですね。語尾を少し上げたり、少し伸ばしたりするだけで受ける印象は変わると思っているので、その言葉が100パーセントで活きるように僕が歌えれば1番いいと思ってます。ライヴはそのときそのときのテンションや空気で唄い方を変えますけど......レコーディングのときはとにかく言葉が活きるように歌いたいんですよね。

-それは楽器隊のみなさんがアレンジを作るときの心境と似ていますね。

三輪:楽曲を作っていくことは、その曲の持ってる良さをできるだけ人間の力で引き出すという作業だと思っているので。曲が100パーセント完璧になることはないんですけど、できるだけ100パーセントに近い、99パーセントまでは詰めていきたい。そのために精神力や体力を使わないと芸術にはならないやろなあ......。僕らは音楽で止まっていたくはないので、芸術にしていきたいんですよね。

-その心意気がちゃんと伝わる作品になっていると思います。鳴ル銅鑼らしい作品だけれど"今までの鳴ル銅鑼にはこんな曲なかったな"と思うようなものも多くて"極彩色"という名前に違わぬものでした。

三輪:僕も聴き返して"あ、結構いろんなことやってるな~"と思いました(笑)。その理由は――僕が作詞作曲をして最終的な決定権を持っているんですけど、さっき言ったようにアイディアは僕だけのものではないからだと思うんです。例えばTrack.3「赤目四十八瀧心中未遂」はカバ君が好きそうな曲やなと思ったので基本的な部分を指定したあとは"好きなようにギターを弾いて"とお願いをして。「愛について」や「四季彩」みたいな歌モノの王道は徹君と遼平が好きやろうなと思ったから、そういう曲を作ってみて。だからいろんな曲ができたのかなって。

-メンバーに対する三輪さんなりの優しさなのかもしれないですね。今作のアーティストとしての成長は人間的成長な気も(笑)。

一同:はははは!

三輪:相手の気持ちをもう少し理解できる大人になろうと思います(笑)。

-人間的な成長がバンドを成長させているなら素晴らしいことです(笑)。これからの鳴ル銅鑼がとても楽しみになる作品でした。

三輪:2016年はバンドとして次のステップに行きたいなと思うので、最低2つくらいは奇跡的な何かを起こしたいなと思っています。そのうちのひとつが3月12日(土)の名古屋CLUB QUATTROのワンマン・ライヴなのかな......。自分たちではまだまだ到底手が届かないであろうことに挑戦していきたいと思っていますね。

カバ:今までは結果だけを求めていた気持ちが先行していたところがあって、根底にあるべき"音楽を楽しむ"ということが揺らいでたような気もしていて。それをきちんと取り戻して、音楽を楽しんでいきたいとも思っています。

徹:人生はリハなし一発勝負なんで。その精神で突っ走っていきたいですね。

岩っさん:二兎追うものは一兎も得ずと言うけれど、一兎じゃなく二兎捕まえたいんで、とにかくひたすら頑張りたいですね。欲しいものは勝ち取っていきたいです。