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INTERVIEW

Japanese

BLUE ENCOUNT

2016年01月号掲載

BLUE ENCOUNT

Member:田邊 駿一(Vo/Gt) 江口 雄也(Gt) 辻村 勇太(Ba) 高村 佳秀(Dr)

Interviewer:石角 友香

-このシングルにライヴ音源がついてることが意義があるなと。

田邊:濃厚なまでにブルエンの歴史が入ってますからね。

辻村:単純にやっぱりこれを聴いてライヴに行きたくなったら、俺らは嬉しいですね。あとはそこからライヴで答え合わせしてくれたらいいんで。

-さて、今回の新曲2曲は難しいことにチャレンジしましたね。

田邊:あー、そうですね。でも2016年第1弾から攻めの姿勢は崩すまいという、思いが集まりすぎたからこの2曲になったということなんですけど(笑)。

-これは2016年第1弾シングルを作ろうというところに、あとからタイアップの話がついてきたということですか?

田邊:いや、逆ですね。夏フェス・シーズンの終盤ぐらいのときに"SWEET LOVE SHOWER"に向かってる車中で話を聞きました。そっからもうゼロの状態から......ストックもなくて。言ってしまえば、この"全国高等学校サッカー選手権大会"という歴史を僕らなりに噛み砕いて作っていったものなんです。

-役者の人が役作りするぐらい勉強したんじゃないですか(笑)?

田邊:勉強はしましたね。その勉強が1~2日しかできないというか、時間的にも逆算すればもうこの日にいろんなものを出さないといけないってスケジュールになってたんで。でも、その制作チームの方々はライヴを観て気に入ってくださった方ばかりで、"好きにやってください"って形でお話をいただいて。ありがたい話じゃないですか、それって。でも逆に言うと選択肢が無限大に広がってくるんで、大変でしたね。何を作るべきなのか、その先にはスタジアムで歌うっていうことがあって、そのスタジアムで4~5万人の前で、じゃあ僕は何を歌ってるのか?って逆算すればするほど何も浮かばなくなってしまって。それで、結局、僕自身が高校生のときどうだったかなっていうのを思い返して。以前もお話しましたけど、BLUE ENCOUNTを結成した高校生のときは、誰も賛成してくれなかった1番つらい時期で。だからそのときの自分と向き合うことが、人生で1番嫌なんですよ。多感な時期に縛りつけられて、やりたいこと全否定されるのはあのころやられたら1番嫌なことじゃないですか。そのころの自分が助けを求めた先にある曲を、こういう曲があれば助けられただろうなって曲を作ろうと思って作ったのが、このTrack.1「はじまり」なんです。だからほんとに自分のために作ったっていう意味では集大成ですよね。今までももちろん、自分のために作っていたっていうのはあるんですけど、今回は"あのころの自分に何が言えるんだ? 今のお前は"みたいなところというか。それで、嘘偽りなく作った結果、すげえネガティヴなことばっかり書いてしまったという。ほんとにそういう意味では、応援歌界の中ではネガティヴな歌だと思います。でもそれは、選手のみんなもわかってて目瞑るところだと思うんですよ。結果的に負ける人の方が多くて勝つのは1組っていうのは、選手もみんなわかってて。その1組の中に入れなかったやつもいるって考えたらひと握りの世界の中で、そこからこぼれ落ちた人たち......俺らがそうだったので。ずっとなんもなくて、10年以上なにもなくて周りには追い越されまくって。それで、僕らはやっぱり先輩目線で何かを言うんじゃなくて、それを経験した仲間でいたいなと思ったからこそ、この曲ができたというか。だから嘘はまったくないですね。自分が痛くなるほど思いを出せたと思うので。

-不思議ですよね、自分が10代のときには接点のない子たちかもしれないけど。でも何かに向けて努力することや挫折は誰にとっても同じで。

田邊:だから10年前には絶対作れない曲だし、かといって1年前にも作れない。やっぱり1年1年、ちゃんとつらいことを味わったからこそ、今やっとできたんだなと思いますね。10年かかってできた曲だと思いますし。バラードをこのタイミングでシングルで出すのもなかなかの勇気のいることであって。やっぱり僕らのやってきたことを、"エモ"っていうふうに形容するとしたら、やっぱり求められてるものもたぶんエモだと思いますし。アップテンポの曲が求められてると思う中で、この曲を出すっていうのは相当決断力も覚悟もいるので。だとしたらBLUE ENCOUNTらしいバラードを作らないと意味がないだろうなって思ったんです。

辻村:今回の話をいただいて、"どういう曲になるんだろう?"って最初に頭に描いたのは爽やかな、もっとアップテンポな曲だったんです。でも実際、サッカーのシーンとか試合後のロッカールームとか、いろいろ映像を見たりして、爽やかな曲だと自分たちらしくないと思ったんですよね。それは別にBLUE ENCOUNTじゃなくてもやれることなんじゃないかなって思いましたし、やっぱりそこで自分らが高校のとき、部活とかで悔しい思いも少なからずしてきて、音楽でもそういう思いは経験してきたので。それで「はじまり」って曲を田邊が持ってきたときに、自分たちらしい曲だなと思って。それを等身大のまま歌うことが伝えることに繋がるんじゃないかなって。そう考えると改めてこの曲でよかったなと思いますね。

-形容として"応援ソング"って、皮肉もこめて言われた時代もあったけど、たぶんそういうことではすまなくなっているというか。

田邊:そうですね。ブルエンも「HANDS」(2014年リリースの1stフル・アルバム『BAND OF DESTINATION』収録)を出したころとかむちゃむちゃ言われたもんね? "綺麗事ばっか言いやがって"とかね。

高村:"なんてださい歌詞なんだ"とか。

田邊:それがちょい2年前ですよ? 今、全然言われなくなったもんね?