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INTERVIEW

Japanese

アオイハル

2015年11月号掲載

アオイハル

Member:石川 正史(Tambourin/Vo) 鈴木 啓介(Gt) 楫野雅也(Gt) 木坂 圭秀(Ba) 山野 英樹(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

シャンシャンと心地よく鳴るタンバリンの音色が、キャッチーなメロディと爽快なサウンドに映えて、曲を輝かせ、そして昂揚感や多幸感で包んでいく。立ち止まったり、考え込んだり、今日はいろんなことがうまくいかないなとか、日々の些細な凹みに足を取られたりというときに、ポンと元気に肩を叩いてくれるような、そんな音楽を奏でるのがアオイハルだ。2013年のミニ・アルバム『タンバリンをこわしちゃった』に続き、初のフル・アルバムとなる『タンバリンをこわしちゃった2』。自然と笑顔になるエナジーたっぷりの10曲が揃った今作について5人に話を訊いた。

-曲もそうですが、"アオイハル"とはバンド名からして直球ですよね。まずお聞きしたいのは、なぜこれだけまっすぐな名前を背負ってやっていこうと?

石川:そもそもバンドを結成して、まだバンド名がつく前に「アオイハル」という曲があったんです。この響きいいよねみたいな感じで、バンド名にしようという。でも当初は、こんなふうにまっすぐな曲でもなかったんですよ。結構、陰な部分があって。バンド名から想像すると、まっすぐなイメージだと捉えられるけど、曲はそうじゃねえなみたいな違和感があったんですよね(笑)。今は、バンド名に曲が追いついてきた感じなんです。

-そうなるには転換期があったということですか。

石川:3年前にもともと曲を書いていたベーシストが辞めたんです。それでベースの木坂とギターの楫野がそのタイミングで入って。そこから、僕が曲を作り始めてだいぶ変わりましたね。

-それまで石川さんは曲を作ったり、歌詞を書いたりしていなかったんですか?

石川:作ってなかったんです。ほぼほぼ、前のベーシストが作っていたので、自分で作ったことなかったんですよ(笑)。だから完全なるターニングポイントですよね、それがなかったら僕一生、曲を作らなかったと思うので。

-書いたことなかったけれど、自分が引き受けようと思ったわけですか。

石川:もう、どうしようって考えてる暇がなかったんですよね。"やろうかな、俺も"みたいな。そしたら、意外とセンスが良かったという感じです。

一同:はははは。

石川:才能があった。

木坂:ただ、彼は楽器ができないんですよ(笑)。

楫野:全部、鼻歌で作ってくるんですよね。

-それをみなさんがコードに起こしたりして、形にしていくと。

石川:はい(笑)。そこに対しての才能はないんです。メロディは抜群でしたけど(笑)。

鈴木:自分で言うんだ(笑)。

木坂:でも、たしかにそういう意味では、バンド名と今の曲の方が合ってるかもね。まっすぐで泥臭いというのはよく言われるので。僕は加入前のちょっと暗い歌を歌っていたときは、いちファンとして観ていましたけど。そのときと比べれば、今の方がバンド名と曲がちゃんと合ってると思います。

-ただ、いちファンで観ていたバンドだったけれど、入って内容が変化していったわけですよね? そこは違和感はなかったんですか。

木坂:ほんと、そういう暇なかったんですよ(笑)。やるしかないというか。

石川:この5人になって、すぐにライヴを決めたんですよ。で、最初のライヴが、いきなり3デイズで。

楫野:そうだった!

石川:3デイズの初日が山口県、その次が岡山県で、その次の日に渋谷のO-Crestという、怒涛の3デイズがあって。

-ホームの東京から出発しなかったんですね(笑)。そうやって鞭打ってでも突き進んでいったのは何が大きかったんですか。

石川:いえ、なんも考えてなかったんですよ(笑)。とりあえず行きたいところで組んだら、こうなったみたいな。しかも、山口県は初めましてもいいところで。そのうえ、なぜかメロコアのイベントに、ぶち込んでもらって。向こうもこっちを求めてないし、こっちも求めてない、というそれは素晴らしい空気感でできて。

-すごい檻の中に入れられちゃった状態ですね(笑)。

石川:あっちゃーっていう(笑)。とにかく、がむしゃらにやっていた感はあったと思いますね。ただ相当大変でした、初期は。5人編成でライヴをやったことがなかったわけですしね。

木坂:最初はそれぞれのステージの立ち位置ですら、決まってなかったくらいで。

-曲を書くことにしろ、ライヴにしろ、最初の内は、いろんなことが偶発的に決まっていって、でもそれを柔軟に受け入れていったというような感覚ですかね。

木坂:ああ、その偶発的っていうのは結構うちのバンドにはありますね。そんなに器用じゃないから、偶発的になってしまうんだと思うんですよ。器用やったらね? 事前にいろいろ考えがあってやっていって、うまくできそうだけど。たぶん、そこまで器用な人間がいないから。ヤバいヤバいって作ったのが、結果良かったりというのが多い気がします。