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INTERVIEW

Japanese

コレサワ

2015年10月号掲載

コレサワ

Interviewer:沖 さやこ

-収録曲は5曲、ジャケットにも、れ子ちゃんが5人。ここからも5人の女の子による、5つのストーリーがあることが汲み取れます。でもどの曲も絶対に、思わず笑ってしまう言葉が入っているなと。Track.1「あたしを彼女にしたいなら」ではいきなり冒頭で"永遠なんてアウトワード"という言葉が出てきたので"のっけからマジか!"と思いました(笑)。

ふふふふ。永遠なんてないんですよ。いつか地球もなくなっちゃうだろうし。永遠に続けばいいな......と思う感情はいいけれど、自分は"永遠に愛してる"とか言われちゃうと冷めるなあと思って。"「生まれ変わっても一緒」「この手は離さない」とか/ダサいからマジでいらない"という歌詞も、自分の好きな人には言われたくないなって。

-ではこれはコレサワさんの思ったことが全部出た曲なのでしょうか?

自己紹介みたいな曲にしたかったんですよね。自分の心情も出てくるし、価値観とかも伝わるかなと思って。この曲は"自分はこういう人間ですよ"という自己紹介のつもりでいつも歌っている曲ですね。

-ああ、なるほど。偏ったプロフィールという(笑)、その発想の転換は面白い。コレサワさんのアプローチはいつもちょっとひねられてる気がします。

ひねる......のかな。びっくりさせるのが好きなんです。だから"想定内だわ"と言われるのが1番嫌いなので、どう想定外を出してやるかということをいつも考えてます。

-先ほど話してくださった「トーキョー」は実話ということですが、上京するときの"見送り7人"というのも?

そうです。高校時代にバンドを組んでたメンバー7人が高速バス乗り場まで見送りに来てくれたんです。今でも遊ぶ地元の友達は少ないです。でも十分かなって。

-今こうしてコレサワさんが音楽活動をしているのは、そのバンドがあってこそだとも思いますし、今もそのメンバーが応援してくれているというのは心の支えになりますよね。

そうですね......もともとみんな音楽以外に夢があったので、音楽をやりたいのは私だけだったから、それも長く続いている理由かも。やっぱりこの7人に早く自分の曲を"いい曲"と言わせたいんですよね。やっぱり友達だから、お客さんやスタッフより褒めてくれることは少ないし。いつかこの子たちにいいと言わせたい! ぎゃふんと言わせたい! というのはありますね。「トーキョー」は上京して頑張ってる人には絶対に聴いてもらいたい曲です。ただ"頑張れ"とか"夢叶うよ"と言われるより"お前次第だぞ"と言ってもらえる方が頑張れるなと思ったんですよね。

-コレサワさんにはポジティヴとポップが必要不可欠な言葉だとも思うんですけど、楽曲にはどことなく切なさをいつも孕んでるんですよね。

うんうんうんうん。ふふふふ(笑)。アーティストとしてのコレサワはポジティヴで自分のことも好きだけど、本当の根の部分のコレサワは、音楽をやっているとき以外は自信がないから。コンプレックスもあるし。そういうところがあるから......なのかな。自分のコンプレックスを隠すがゆえの強がりやポジティヴなのかもしれない。でもそれが自分の強みだったりもするから、今は"コンプレックスも大事にしてやろう"と思ってますね。

-Track.3「最終電車」も楽曲的には切ないですものね。歌詞もずっと一緒にいたいのに最終電車に乗り込んでしまったけど、最後はその電車を降りてタクシーで彼のもとに戻るという、ドラマチックなんだけど......(笑)。

みんなにツッコまれるんですよ! ドラマだったら電車を降りて走っていくんでしょうけど、早く会いたいし走るの疲れるから自分だったらタクシーかなって。

-ふふふ。ちょこちょこ顔を見せる淡白でクールなリアリストっぷりが(笑)。先ほどの"永遠"に関することもそうですけど、そういうところが女子っぽくなくて、女の子でないとできないことをやっている表現の中でアクセントになってると思いました。

おおー、嬉しい。占い師にも"あなた見た目はそんなに女の子なのに中身おじさんだね。そのギャップはちょっと恋愛には向かない"と言われて(笑)。でも"仕事ではそれが活きる"って言われたんですよ。やっぱり曲はリアルでなきゃなと思いますね。

-Track.4「シティーガール」はあるあるネタの歌詞から、お酒が入ることでどんどん夢が膨らむ無敵っぷりが痛快で。こういうところはコレサワさんのユーモア・センスが光りますね。

ありがとうございます。やっぱり歌詞を褒められるのは嬉しいです。シンガー・ソングライターというなら曲も歌詞も良くないと、と思うんですよね。曲がいい人は結構いっぱいいると思うんですけど、私は"この人の歌詞がすごい"と思うことの方が少ないんです。だから"どれだけ(リスナーの)耳に引っ掛けられるか?"を考えてるし、残らなきゃ意味がないと思っているので。

-サウンド的には前作よりもかなり華やかになっていますよね。ピアノやキーボードもたくさん入っているし。

あ、そうですね。サポート・メンバーもだんだんコレサワというものをわかってきて、手数も増えてきてると思うし、私の好みを知ったうえで"こういうのどう?"と提案してくれたり。楽曲も前より明るくなっているので、変化を感じてもらえると思います。『君のバンド』を出して"もっとできる!""これよりいいものを出さなきゃ"と思ったし、そのプレッシャーもありました。......あと、サポート・メンバーから"今までのCDよりコレちゃんが聴いてきてる音楽がちゃんと入ってるCDだね"と言われて。だから好きなアーティストやバンドのセンスをちゃんと自分なりに汲み取って出せたかなと思います。YUIさんも好きだし、フジファブリックも相対性理論もパスピエも好きで。シンセが際立つ曲も作ってみたかったんで。今回はそういう憧れをちゃんと詰められたかなと思います。昔は好きだから影響を受けすぎてて"似てるね"と言われると嫌だったんですけど、最近はこういう明るい曲を出していても"○○の匂いを感じる"と言われると嬉しくて。あ、自分が聴いてきたものや好きなものが出てるんだー......と思いますね。

-それは自分の目指しているものがちゃんと見えてきたからかもしれませんね。

そうかもしれない。『君のバンド』を作ったときは慣れてなかったし、目の前にお客さんがいないのにどうやって歌えばいいかわからなかったりしたけれど、今回はレコーディングが楽しいなと思うようになって。『君のバンド』を出して、お客さんに自分の曲がちゃんと届くんだなということがわかったんですよ。だから今回は楽しく制作できたかな。CDもいっぱい出したいなと思ったし。前よりもいいものができた!って自信を持って言えるものになりました。