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INTERVIEW

Japanese

cinema staff

2015年11月号掲載

cinema staff

メンバー:辻 友貴(Gt) 飯田 瑞規(Vo/Gt) 三島 想平(Ba) 久野 洋平(Dr)

インタビュアー:沖 さやこ

今年4月に4thフル・アルバム『blueprint』をリリース。ワンマン・ツアーも大成功を収めたcinema staffが、最新EP『WAYPOINT E.P.』を完成させた。今作のリード・トラック「YOUR SONG」はNHK岐阜放送局開局75周年を記念して制作されたドラマ"ガッタン ガッタン それでもゴー"の主題歌。三島想平、飯田瑞規、辻 友貴の故郷が岐阜という縁で、ドラマ制作チームからcinema staffにオファーがあり今回の書き下ろしが実現した。そしてこのEPには久野洋平が加入する前に制作されたバンド初の自主音源に収録されていた、メンバーの高校時代に生まれた楽曲2曲も収録。cinema staffの"過去"と"これから"を繋げる、まさしく"waypoint"と言うべき作品だ。

-特設サイトにアップされているオフィシャル・インタビューを拝見しました。岐阜出身で"ガッタン ガッタン それでもゴー"の演出を担当しているNHK岐阜放送局の冨久尾有里予さんが、TOWER RECORDSモレラ岐阜店でcinema staffの名前を知って、レコード会社にオファーをなさったことが、書き下ろし主題歌のきっかけだそうで。

三島:僕らの名前はだいぶ前から知ってくださっていたみたいなんです。今回こういうお話をいただいて、純粋にすごく嬉しいですね。"ガッタン ガッタン それでもゴー"は冨久尾さん含め若いチームで制作されているドラマで、演出補佐には"あまちゃん"に携わっていた人が参加していたり、みんな気合いが入ってますね。

-ドラマのWEBサイトであらすじを読むと、東京で働いていたけれど母親の死をきっかけに奥飛騨に帰ってきたが、幼少期の経験が原因で故郷を好きになれない谷村美月さん演ずる加奈と、奥飛騨で生まれ育ち両親が経営する温泉旅館を嫌々手伝う日々の中、自分の夢を諦めようとしていた町田啓太さん演ずる信一というふたりの男女が主人公。岐阜を愛するcinema staffの地元観とは少し違いますね。

三島:その観点は正直ちょっと自分のものと違って。でもドラマに出てくるキャラの濃い中年男性陣が岐阜の人間らしい、地元にプライドを持った人たちで、その気質は僕に通ずるところがありました。僕と辻君と飯田君は岐阜市周辺の出身で、岐阜市にある高校に通ってたんで、奥飛騨とはだいぶ離れてるんです。それでうちのA&Rと演出の方と僕でロケハンに行って、奥飛騨の町を回って"ガッタンゴー"(※ドラマにも出てくる奥飛騨のレールマウンテンバイク。廃線となった電車のレールの上を横に連結した2台のマウンテンバイクで走る)に乗ってきました。ガッタンゴーはカルチャー・ショックなくらい面白くて、アラサー3人でギャー!って言いながらはしゃぎましたね(笑)。

飯田:いいなあ、俺もガッタンゴーめちゃくちゃ乗りたいわ。

三島:あれは本当に乗った方がいいよ。大自然の中だからとにかく景色が良くて。最初はペダルが重いんですけど、そのうち結構スピードが出せるようになって、電車に乗ったときのガタンガタンという音もするし、実際ガタガタ揺れるから結構スリルもあるんです。あれは乗ってみないとわからない興奮でしたね。

-今作は岐阜へ捧げるコンセプチュアルな作品ではありますが、愛する故郷岐阜に捧げた『望郷』(※2013年リリースの2ndフル・アルバム)とは方向性が違いますよね。どうやら『望郷』には"故郷を大切にする気持ちがわからない"という意見があったとのことでしたが。

三島:ああ、僕はかなり体力を使ってあのアルバムを作ったし、これはマスターピースになるべきだ!という力みもあったから、その意見が単純にショックだったんですよね......。でも今は"まあそうだよな"と思います。だからと言って今が"東京万歳!"っていう考えかというとそうでもないけれど、今回は単純に岐阜感は出したくないな......俺の生きてきた経験値の中で作るのはやめようと思ってました。自分の経験を歌うのはリアルなことですけど、もっと不特定多数の人にメッセージを投げるには、もう一歩先の飛び越え方をしないといけない。もっといい言葉のチョイスがあるんじゃないか......というのをめちゃくちゃ考えましたね。

-不特定多数の人々にメッセージを伝えたくなった。それは以前にはなかったこと。

三島:あんまりそういうことを考えてなかったですね。それまでは自分のやりたいことをやって、それが伝わればいいな......という順番だったので。だから『望郷』が伝わらないと言われたときは"なんじゃコノヤロー!"という気持ちも強くて。でも今は伝えたい気持ちから曲を作っている部分もあるので、"わからないと言っていたあなたにも伝えたい、そのためにどうしようかな"という気持ちになっています。やっぱり聴いてくれる人に伝わると、喜びはありますから。

-cinema staffの地元観は三島さんのそれが強いと思うのですが、他のメンバーさんはいかがでしょう? 久野さんは愛知県犬山市出身ですよね。

久野:せっかくの岐阜感なのに僕にあんまり話を振らない方がいいんじゃないですか(笑)?

三島:いや、(地元観を語るうえで)久野は大きいポイントだと思います。

久野:......僕は岐阜出身じゃないのもあるし小さいころ転勤族だったので、正直言えば『望郷』のことを"よくわからない"と言っている人たちの気持ちはわかるんです。でも自分はメンバーだから(三島の)気持ちになってやるべきなんですが、育った場所がいくつもあるから"ここじゃなきゃだめだ"という気持ちにどう感情移入していいかわからない。だから『望郷』の制作は個人的には結構大変だったんです。やっぱり僕にとっては好きな友達や家族がいることが大事ということだけだから。

飯田:「望郷」(『望郷』収録曲)には"21号"とか岐阜に関するワードが出てきたりもするんですけど、岐阜をモチーフにしているだけで聴く層を狭めているつもりはまったくなかったんです。でも今回キャンペーンでいろんな場所を回っていて、Track.1「YOUR SONG」は明らかに今までの曲と反応が違うんですよね。ラジオのスタッフさんから"本当にこの曲は素晴らしい""ものすごく気持ちが伝わってくる""わかる"と熱弁されることが多くて。あと子供がいる友達から"いい曲だね"と連絡が来たり、友達のお父さんが好きだと言ってくれたり。「YOUR SONG」は明らかに広い範囲の人に伝わる曲なんだなと実感していますね。

辻:僕は『望郷』を作っているとき、景色や場所のイメージで制作していた部分があって。でも地元が好きだという気持ちは場所もそうだけど、人との思い出だったんだなということを今は実感できているというか。そういう気持ちはみんな同じなんだと思って。前は不特定多数の人に勝手に伝わるだろうなという感覚だったんですけど、それだと伝わりにくいんだなとも思ったし。もっと自分たちから伝わるように発信していかないと......と思いましたね。