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INTERVIEW

Japanese

SpecialThanks

2015年07月号掲載

SpecialThanks

Member:Misaki(Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

-「Love begets love」はとてもあたたかい曲ですよね。ここに描かれているは今のMisakiさんの想いや気持ちなのでしょうか?

んー......今の私もだし、未来の私もだし。今まで英詞にしていたのは、英語への憧れと、日本語だとストレートに伝わるのが恥ずかしいからで、ちょうどこの歌詞を考えているときに"日本語詞でやる意味は?"というのをすごく考えてたんです。おしゃれに単語を並べるのもかっこいいけど、日本語でやるなら聴いた人に伝わる歌詞にしたいと思って――自分にとってはすごく恥ずかしいストレートな言葉を使ってやらないと日本語でやる意味がないと思って。だから覚悟を決めて(笑)、恥ずかしいけど書こう!と。英詞だと自分の日常や心情を書くことが多いんですけど、伝えたいなら自分の日常のことだけを書いててもつまらないし......だから特別な愛のある、大切な歌詞にしたいなと思ったんです。そんなときに周りの友達に、出産をする子が多くて。だから"愛は愛を生む(=Love begets love)"というタイトルにしたんです。

-ああ、なるほど。

母親になったらこういう気持ちになるんじゃないかとか――いろんな家庭があると思うんで、母親の愛は無償の愛だけど、世の中にはその愛を持てない人もいて。サビの歌詞にある"言葉にならぬ言葉"とかは、子どもの言葉になっていない言葉をちゃんと聞くことが幸せな家庭を作るには大事だなと思って書いたもので。"ありがとう""ごめんね""愛しているよ"という言葉さえあれば幸せになれるんじゃないかな?と思って......そういうことをたくさんの人に伝えたくなって。Aメロの歌詞は、私の兄の反抗期のときに母親を見ていたときの歌詞だったりするんです。

-"例えばあなたが黒に染まっても/それでもあたし白という"という歌詞は、そういうことだったんですね。

いろんな感じ方があるのでこういうことをインタビューで言うのはどうかなー......とも思うんですけど、この記事を読んでくれた人が知っててくれたらいいかなって。自分が将来母親になったとして、子どもがもし悪いことをしたとしても、絶対"うちの子は悪くない"と言いたいじゃないですか。そういうときに子どもも、母親が味方になってくれないと立ち直れないし。だからもし子どもが悪いことをしたとしても、母親が味方であれば、絶対にまた立ち上がれるというか。いい人生を送れるんじゃないか......そういう、今の気持ちと未来への気持ちと、過去の気持ちが入り混じった曲なんです。2番のAメロの"信じていればきっと許されるでしょう"というのも......悪いことを認めないのは罪だと思うんですけど、子どもを信じる愛で"大丈夫"と思っていれば許されるんじゃないかなと思って。

-本当にいろんな想いが込められてるんですね。Misakiさんが人に対して発したい想いというか。Misakiさんが当事者ではない視点で、でも当事者に寄り添って歌詞を書いていく、というのも新鮮ですね。

この世の人たちはみんな愛から生まれて......全員に共感してもらえないとしても、知っている話かな、と思って。"将来自分が子どもを生んだときに、アコースティック・ライヴとかでこの曲を歌ったらどうなるんだろう?"と考えながら作ったりして。子どもを生んだときには絶対にこの歌詞は出てこないと思うので、今しか書けない、いいものが書けるんじゃないかな......と思って、伝えたい言葉をたくさん書き出して。最近はずっとメロディに英語を乗せる感じだったんですけど、この曲に関しては日本語を出してからメロディをつけていって。今までと違う感じに作っていきました。Cメロも歌詞ができてから壮大な感じ、愛情に包まれるような感じにしたり。

-「Love begets love」もそうですが、「feel your life」はサウンドもいろんな世代に響く、時代に左右されない楽曲だと思います。なのでメンバーさんのルーツになっている音楽へのリスペクトも素直に出せているのかなと。こんな"隠し球"を持っていたなんて、と思いました。ギター・ソロのところに台詞が入っていたり、ギミックもあって。

"隠し球"、たしかに(笑)。今までにやったことがないことをやってみました。アレンジはいつも私が"こんな感じに"とイメージを伝えてお願いすることが多いんですけど、「feel your life」のイントロのギターはHeiちゃん(Heisuke/Gt/Cho)が"こういうのいいんじゃない?"と持ってきてくれたフレーズで、私が"いいじゃんいいじゃん!"みたいな(笑)。

-今回はJunpeiさんのドラムもテクニカルになっていますよね。そこもスペサンの音楽性の広がりにだいぶ影響しているなと思って。メンバー全員パワーアップしていますよね。

ねー、そうですよね。みんなが年齢とともに少しずつ成長していると思います。

-パワフルで疾走感のあるパンク・チューン、Track.2「Straight Edge」やTrack.3「Hey!you!」は、Misakiさん始め、スペサンのライヴに対する想いが変わってきていることを如実に投影しているような。

最初のころは自分が楽しければいいというか、自分が気持ちよければ満足というか、お客さんのことまで目が行ってなかったんです。だから前は"私が全部歌いたい!"という感じだったんです。それはそれで間違ってなかったと思うけど、『MOVE ON』のときから"(観客も含めて)みんなで楽しみたい"という気持ちが生まれてきて、みんなにも託して。だからライヴを想像して作っていきました。バンドへの欲やエネルギーも爆発してたから"もっとバンドやりたーい!"とも思えたし。

-『LOVE GOOD TIME』のときにも感じましたが、Misakiさんの歌もかなりパワフルになってきていますしね。音に埋もれてないし。

今、昔のアルバムとか聴くと"変な声だな"と思ったりするから前のアルバムは聴けない(笑)。私とかバンドが成長してるだけでなく、レーベルやCD制作に携わってくれるエンジニアさんとか、そういう人たちも経験を重ねてるから絶対腕が上がっているじゃないですか。ずっと同じ人と作っているから......そりゃいいもんできるわ!と思います(笑)。スペサンだけじゃなくて周りのみんなも成長してるから、良くならないわけがない。だから"続けてて良かったな"と思うことばっかり。歌うのをやめてたらこの曲はなかったんだ、完成したときの喜びはなかったんだ、と思うとやってて良かったなと思います。

-続けてきたから「Love begets love」みたいな曲を作ることができましたしね。1年半前に"日本語で歌うことは考えられない"と言っていた人とは思えないです。

ね! 日本語で歌うことなんてまったく考えてなかったです。「LOVE GOOD TIME」も主人公の女の子の心情を歌ったものだったから日本語詞で書けたけど、あのときも私"まだちょっと......"って感じでしたよね(笑)。でも今回それが書けたから、良かったです。わ~、気づかない間にいろんなことやってる(笑)。