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INTERVIEW

Japanese

Aureole

2015年06月号掲載

Aureole

Member:森 大地(Vo/Gt/Prog)岡崎 竜太(Ba)saiko(Fl/Pf)中澤 卓巳(Dr)

Interviewer:山元 翔一

かつて"ポスト・ロック"という言葉が持っていた"非ロック的"なる意味はすっかり薄れてしまっているように思う。ロックやパンクの本質は、音楽的なフォーマットではなく"思想"であるということを忘れてはならない、と6人の音楽家集団"Aureole"は思い出させてくれた。そんな彼らの4枚目のアルバム『Spinal Reflex』は、ジャズやクラシック、現代音楽やヒップホップ、ファンクやサイケなど様々な音楽を取り入れ、画一的な言葉では捉えがたい作品に仕上がった。すべての音楽ファンにとって刺激的な音楽として響くであろう今作について、Aureoleの首謀者、森を中心に話をうかがった。

-そもそもの部分からうかがいたいのですが、Aureole(読み:オーリオール)は2007年の結成からすでに8年間活動されていますよね。どういったところから活動をスタートさせたのですか?

森:最初は僕と岡崎竜太(Ba)、saiko(Fl/Pf)、中村敬治(Gt)の4人から始めて。1stアルバム『Nostaldom』(2009年リリース)はドラムとヴィブラフォンが違うメンバーで制作しまして、そのリリース・パーティーのあとからメンバーを入れ替えて今の体制になっていますね。だから実際にこのメンバーになってからは5、6年ですかね。

-音楽性や方向性といったものは結成当初から定まっていたのでしょうか?

森:いや、1st出す前は定まっていなかったですね。Aureoleはメンバー・チェンジを経るごとに自然と名義を変えていって。Aureoleの1stを出す前は、ほぼインストの電子音楽みたいになっていたときもありましたね。だけど1stを出すとき岡崎君と、"なんだかんだ歌モノっていいよね"って話していて。そのときちょうど僕の中のElliott Smith熱が再燃していて(笑)。結局、電子音楽をもっとバンドっぽくして、最終的には歌をフィーチャーした方向性になって、それが結果的にポスト・ロックって言われて。でも特にポスト・ロックをやろうっていう意識はなくて、そのとき好きだった電子音楽や現代音楽的なものに歌モノを入れたらポスト・ロックって言われた、っていう感じではあったんですね。

-結成の時点では森さんの目指す音楽性に他のメンバーがついていくっていう形だったんですか?

森:そうですね。だいたいのデモは僕が作って、それをみんなでスタジオでアレンジしなおしてっていう形をとっていて。

-その上がってきたデモの時点ではどのくらい作りこまれているんですか?

森:ギターとかベースは自分で演奏して、あとはほとんど打ち込みで入れていて。だからその時点では完成形の8割くらいはできていますね。

-デモ制作はどこからスタートするんでしょうか?

森:それは曲ごとに違うんですよね。ドラムやピアノから作ってそれに歌を乗せたり、鼻歌にギターでコードをつけたり。

-その上がってきたデモを聴いて他のみなさんはどのように受け止めるんですか?

岡崎:最近の曲に関しては文句から始まる(笑)。ちょっとすごいのが来るんですよ。

中澤:"これ人力でできないでしょ(笑)"って。

-というのはデモの時点で作りこまれすぎているってことですか?

岡崎:単純に複雑すぎるっていうのもありますけど、1度限界まで音を詰め込んでそこから抜いていっているんじゃないかなって僕は思うんですね。その抜きどころが人と違うんですよ。例えばベースであれば半拍裏で鳴っているのが気持ちいいんですけど、それを半拍前で鳴らそうとするんですね。それが結果的に曲全体のスピード感には繋がっていると思うんですが......なかなか人と違う発想をするんで初めて聴いたとき、"あれ? これどうやって弾いてるのかな"って(笑)。まあ、やってみると全然できるんですけどね。ベーシストとして気持ちいいところを突いてきていないというか、それは悪い意味じゃなくて。ベーシスト特有の手癖みたいなものからはちょっと違うんですよね。

-実際に完成した音源とデモとの差はどの程度あるんですか?

岡崎:いや、そんなに......今回に関して言えば、全部家の機材で録音してメールでやりとりしながらプリプロしたんで、もともとのものからはちょっと変わってはいるんですけど。やりとりの過程で変わっていったのでどの程度変わったまではわからないですね。なのでまあ、大筋は一緒ですね。

-ドラムに関してはいかがですか?

中澤:ドラムに関しても大筋は一緒ですね。打ち込みの段階で曲は作りこまれているんで、基本的にはそれをなぞって人力に直すんですけど。僕にはできないパターンやフレーズであったり、さっきもありましたどドラマーの癖みたいな、複雑なフレーズでもこう叩きたくなるような動きがあって。そこを結構外してきて。意識的に外しているのかたまたまなのかはわかんないんですけど。

岡崎:なんか意地悪してんのかなって(笑)。そんな感じに思っちゃうんですよね。

中澤:"これはできねえだろ"ってニヤニヤしてんだろうなって思うときはある(笑)。まあそういうところとか、フィルの部分は自分の手癖に直したりはします。だから8~9割はもとのままですね。

-その修正に対して森さんは?

森:良ければ採用で悪ければもとに戻します。それが1~2割程度ですね。

岡崎:そしてそれをレコーディングとかスタジオで調整してっていう感じです。