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INTERVIEW

Japanese

ふぇのたす

2015年03月号掲載

ふぇのたす

Member:みこ (Vo) ヤマモト ショウ (Gt/Syn) 澤“sweets”ミキヒコ (Digital Per)

Interviewer:沖 さやこ

ふぇのたす、祝メジャー・デビュー! 2012年夏の結成以降、音楽界だけでなくファッションやアート界からも注目を集める3人が、80sのニュー・ウェーヴ直系のエレポップを武器に勢力を拡大する。『PS2015』はふぇのたすの普遍性を大事にしつつも、次への含みを大いに感じさせる一筋縄ではいかないミニ・アルバム。聡明さやテクニックあってこそ成り立つサウンドなのだが、小難しさを感じさせないのは能ある鷹は爪を隠すということか。アクセントがあって耳触りがいいサウンドは、老若男女問わず響くこと間違いなしである。音楽にとどまらない3人のユーモアは、これを機にさらに広がるだろう。

-ふぇのたすは、シンガー・ソングライターとして活動していたみこさんと、ヤマモトさんと澤さんが組んでいたphenomenonが、UNIVERSAL MUSICの新人開発セクション"Great Hunting"のチーフ・プロデューサーの加茂啓太郎さんの紹介で知り合ったことをきっかけに、"phenomenon+"="ふぇのたす"となったんですよね。もともとphenomenonはロックだったのに、なぜふぇのたすでがらりと80s直系のニュー・ウェーヴやエレクトロ・ポップの音楽性になったのでしょうか?

ヤマモト:phenomenonが終わりのころにヴォーカルが辞めてしまって。最初はphenomenonにみこが入るという流れで話が進んでたんですけど、それじゃあなんか面白くないな、それまでの曲をやっても必ずしもいいものになるとは限らないなと思ったので"ふぇのたす"という新しいグループにして。だったらもう曲も、みこの声に合うものを考えよう、という発想ですね。もちろん僕の音楽の趣味の変遷もありつつなんですけど、この3人での"ふぇのたす"という形で1番合うものを考えた結果が今の僕らの音楽なんじゃないかと。

-それだけみこさんがヴォーカリストでないといけなかった?

ヤマモト:そうですね......最初に3人で会ったときの雰囲気は結構悪かったんですけど(笑)、みこの声が魅力的で、これは面白いものが作れそうだな......という自信はそのときからありました。そこから打ち込みの音楽を初めて作るようになって。やっぱり、なんでも新しいことをやるのが面白いじゃないですか。だから楽しく始められました。

澤:ちょうどそのときに、僕が今ふぇのたすで使ってるRolandのV-Drumsを手に入れて。家では使ってたんですけど、(ヤマモトから)いきなり"明日からV-Drumsでライヴして"と言われて......"ああ、なるほどな"と(笑)。V-Drumsでやっていくのも面白そうだなと思ったし、V-Drumsでライヴする人なんて全然見ないし、"見た目的にも絶対面白いだろう!"と思って。

-そしてみこさんは当初加入を断ろうと思っていたそうですが......(笑)。

みこ:最初のリハーサルの空気が最悪と言っても過言ではなくて(笑)。(澤は)髪の毛真っ赤でオールバックでサングラスかけてたし、怖くて!

澤:そうだよね、僕もそんな人がいるバンド入りたくないもん(笑)。

みこ:(笑)ずっとバンドは組みたかったんですけど、この人たちと一緒にバンドをやっていける気がしないなと思って、ショウさんにお断りの電話をしたんです。そしたら"じゃあ暇なとき歌いに来てよ"と言われて......私そのときすごく暇だったんで、言葉通り暇なときに歌いに行ってたら、全部行っていたという(笑)。

-でも本当に嫌だったら暇でも行かないでしょうから(笑)、最初から何かみこさんのアンテナに引っかかるものがあったんですよね。

みこ:そうですね、私は歌うのが好きなのもあるし、レコーディングをするのが好きなんです。ショウさんもデモを作るのが速いので、曲もたくさんあって。だから最初のころはレコーディングがすごく多かったんで、それが楽しくて。そしたらいきなり"ライヴが決まってるから"と言われて、"えっ、ライヴ!? このままだと本当にヴォーカルになってしまう! それはまずいぞ!"とライヴを休んだこともありました(笑)。

ヤマモト:だからその日はみこちゃんなしでライヴをしたので、VOCALOIDを使いましたね。

-ふぇのたすはMVなどのヴィジュアル面なども強化しているので、音楽だけでなくファッションやアート界からの注目も高いですが、当初からそういうことも視野には入れていたのでしょうか?

みこ:わたしはちっちゃいころからアートワークのような、形に残るもの作りが1番好きなんで、そこも強化していきたくて。音楽を自分たちが発信することによって、デザインをする人と一緒に自分たちの作品を作ることができるようになって、すごく楽しくて。今回のアートワークやMVを録ってくれているアート・ディレクターの千原徹也さんともプライベートで仲良くさせてもらっていて、普通の音楽アーティストなら聞かないようなデザインや制作の裏話も聞いて、普段から自分がどんなことを感じて、どういうものが好きかという、細かいことを話したりしてます。そういうことを話すことで、よりいいものになっているんじゃないかなあと思っています。

ヤマモト:そうだね。最初から"こういうものが作りたい""僕たちはこういうヴィジュアル・イメージでいくんだ"というのはなかったんですけど、今考えられる面白いものはやりたいし、そこに妥協はしたくなくて。作り始めると時間かけてやっています。曲も同じで、レコーディングしながら変わっていくんで。

-いろんなことを決め込んでから作るというわけではなく、ひとつのことをきっかけにいろんなアイディアが生まれて、それがどんどん形になっていくんですね。

みこ:そうですね。「スピーカーボーイ」のMVを録ってるときもそうでした。"もっとこうしたら面白い気がする"って。雑談の中から膨らんでくることが多いんです。

-すべては"面白そう"という好奇心と行動力ではないかと。

ヤマモト:初のデモ音源を投げ銭で売ったんですけど、そういうことをする人もどうやらあまりいないらしくて。"初めて出すのに値段を決めるのもな~......"と思って(笑)。全部面白いからですね。行動力というと"やらなきゃ"という感じだけど、僕らは"やりたい!"と思ったことをやっている感じですかね。やりたいことだからそんなに苦じゃなくできるし。

みこ:大変なことはもちろんあるけど、それをも楽しみに変えてますね。つらいことでもショウさんから"逆に考えるとこうじゃない?"と言われて"あ、そうだな、ラッキーかも!"と思って(笑)。ふぇのたすに入ってからショウさんのそういうところにだいぶ影響されてます。

-みこさんのキャラクターを立たせたプロデュース的観点でふぇのたすの楽曲が作られているとは思っていたのですが、ヤマモトさんが楽曲制作をするうえで"女性ヴォーカル"というのは重要な要素なのでしょうか? phenomenonも女性ヴォーカルさんでしたし。

ヤマモト:僕自身は女性ヴォーカルよりも男性ヴォーカルのロック・バンドが好きなんです。だからかもしれないですね。僕が自分の好きなバンドの劣化版をやっても仕方がないし、いいなと思う女性ヴォーカリストが少ないから女性ヴォーカルでやっている、というのはあります。自分で聴いてみたいものを、好きなものは自分で作るというか。だからふぇのたすはみこちゃんという存在を最大限に活かす......それ以外のやり方は考えられない気がしますね。