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INTERVIEW

Japanese

amazarashi

2014年11月号掲載

amazarashi

Member:秋田 ひろむ (Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

前作『あんたへ』から約11ヶ月、amazarashiが3年ぶりのフル・アルバム『夕日信仰ヒガシズム』をリリースする。秋田ひろむはメール・インタビューでこう答えてくれた。"生活について歌いたかった"。自身を鼓舞するために自分の心情を歌い続けてきた彼が、自身の生活について歌うようになった。そして彼のパーソナルな世界には、様々な人々の居場所が存在している。彼は少しずつ自分の世界へ他者を招き入れようとしているのだ。アルバム制作と並行して、様々な試みに満ちたアコースティック・ライヴ"千分の一夜物語 スターライト"、小説"スターライト"と、クリエイティヴな活動を行うなど、amazarashiの世界はより広くなっている。社会規範の崩壊をテーマにしていたamazarashiが描いた、秋田自身の社会規範。この『夕日信仰ヒガシズム』こそ、彼の理想郷なのではないだろうか。

-前作『あんたへ』から今までの約1年は、秋田さんにとってどんな期間でしたか?

1番印象に残ってるのはライヴ"千分の一夜物語 スターライト"をやったことです。大変だったっていうのと手応えがあったという意味で。今年半ばから、そのライヴ制作とアルバム制作が重なって、amazarashi始まって以来、最高に忙しい感じになっていろいろ混乱したんですが、両方いい形にできたので今はほっとしてます。

-"千分の一夜物語 スターライト"と小説"スターライト"について伺いたいと思います。小説とアコースティック・ライヴ、どちらのアイディアが先に浮かんだのでしょうか?

初めはアコースティック・ライヴをやろうという話でした。もっとシンプルな朗読ライヴみたいなものをイメージしてたんですが、いろいろ考えているうちに豪華なものになってしまいました。ライヴの構成を考えてる段階で"スターライト"の小説が生まれました。

-"千分の一夜物語 スターライト"、私はお伺いできなかったのですが、どうやら小説の世界を表現するために様々な試みに満ちたライヴだったようですね。ご自身が音楽と小説描いた物語をライヴにするというのはどんな感覚なのでしょうか?

amazarashiの普段のライヴはシーケンスの同期が多いんですが、今回はそういうのは排除しました。朗読の最中のSEも生でやったり、川のせせらぎをパーカッションで再現したり、ノイズ発生器を使ったり。複数のメトロノームを揺れる台の上でバラバラに鳴らすと、やがて同期するっていうのを利用して、それに合わせて演奏したり。実験的なこともたくさんやりました。ライヴ中は物語に沿って進んでる分、落ち着いて歌えたと思います。自分が物語の一部になってる様な感覚でした。

-「あんたへ」同様、「スターライト」はamazarashi結成当初からある楽曲とのことですが、今この曲を蘇らせた理由は?

昔に書き溜めた曲がわりとたくさんあって、「スターライト」も「あんたへ」もいつか出したいと思ってたんですが、アルバムのカラーにそぐわないとかいろんな理由で出せてなかったです。せっかく作った曲はボツにはしたくないという気持ちがあります。特に「スターライト」はアマチュア時代の代表曲みたいな、思い入れが強い曲だったので、ライヴ"千分の一夜物語 スターライト"では主役にする形で発表しました。

-「スターライト」は銀河鉄道の夜をモチーフにした楽曲ですが、どういう思いのもと作られた曲なのでしょうか?

作った当時どん底で、先が見えない中で音楽をやってて、そこからなんとか這い出したいという気持ちが表れてると思います。

-"きっといい事ばかりじゃないけど だからこそ 僕らは行くんだよ""「ここが始まりだ 始まりだ」って 涙こらえたよ""弱気は捨てろ"など、力強い言葉が並んでいますが、これは銀河鉄道の夜からの刺激なのでしょうか? それとも秋田さんが常に思っていたことなのでしょうか?

銀河鉄道の夜はあくまで題材で、僕自身の言葉だと思います。自分を鼓舞するための曲です。

-この曲を聴きなおしたときに、新たな発見などはありましたか?

懐かしい気持ちになるっていうのが始めにあって、意外と当時から歌詞はちゃんと考えてたんだなって思いました。今の自分の想像を超える部分があったりして、はっとして、今の自分も負けないように曲を作ろうと思いました。

-小説"スターライト"もとても壮大なお話で、「スターライト」だけではなくアルバム『夕日信仰ヒガシズム』ともリンクするシーンがたくさんありました。小説で表現できることと、音楽で表現できることは、秋田さんにとってどんな違いや共通項がありますか?

小説に関しては僕は本当に下手だと思ってますし、まだ小説という表現の入り口にすら立ててない気がするので、これだということは言えないです。ただ音楽とリンクさせることでなんとか形にはなったんじゃないかなと思ってます。音楽を聴いて情景を思い出す感じが、物語に作用してるんだと思います。

-小説を書いたことで気付いたことや刺激、音楽に還元できそうだと思ったことなどはありますか?

小説は言葉数が無限に書けるので、書くべきことと書かない方がいいことの選別が難しいなと思って、歌詞だと言葉数が限定されているので無意識に選別してたので、曲作りにそういう新しい視点が加わりました。言葉にしてもメロディにしても、必要なものとそうでないものがある、という視点です。