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INTERVIEW

Japanese

カタオカセブン

2014年08月号掲載

カタオカセブン

Interviewer:沖 さやこ

2011年に解散した、LONELY↑Dのキーマンであるカタオカセブンが3年ぶりに作り上げた作品、それはソロ・デビュー作だった。その名も『フォークとロック』。このアルバムにはその3年間で感じた想いの全てが詰まっている。バンド・アレンジだけでなくアコースティック・ギターをフィーチャーしたアレンジなど、曲に合ったアプローチが、等身大の彼の姿をより生々しく曲中に投影した。再スタートの軌跡とも言える今作について、彼がメール・インタビューに答えてくれた。

-LONELY↑D解散以降はどのような活動を行っていたのか教えていただけますか。

2011年11月。LONELY↑Dが突如離散となり、割と短いターム(約3ヶ月)で東名、そして地元兵庫でのワンマン・ツアーを切りソロとして活動を再開しました。早いタイミングで活動が再開できたのは師であり義兄の加藤卓雄、そしてDr,gb(TADASHI)というイベント"フォークロック戦線(以下FRF)"を共に立ち上げた、ひと回り以上年上の先輩が引っ張ってくれたからやと思います。随分前からその2人はソロで、唯の独りでロックを体現できていた先輩でしたから、活動をすぐに再開できたからと言って道は険しいと想像していました。だって今までバンドで、メンバーがいて活動していましたし、その中でもVo/Gtというスーパージャイアンなポジションで活動していましたから。前バンドは完全なるワンマン・バンドでしたからね。先ずはその気質から変えないとでしたから。バンドもメジャー・デビューまで9年ほどかかりましたし、ソロとしても自分が少しでも納得できる時期まで短くとも3年はかかると考えていました。活動再開後は忍耐の3年やと腹くくってました。バンド・サウンドの表現がギターと歌だけになるんですからね、更には前述した先輩2人が近い距離で圧倒的な表現をしていましたから、比べられるやろうし、真似事やと思われるやろうし。ハッキリ言って前途多難でした(笑)。それまではライヴでのチラシさえ自分でコピーしたりして用意したこともなかったですから(苦笑)。活動再開後、バンド形式でフェスやサーキット・イベント等のオファーがあったりもしました。けれど、腹くくったんです。3年はどんな風に言われようと、どんな風にさらされようと、愛想つかされようと甘えを捨て、独りのステージに尽くすと。

-カタオカさんがギター・ヴォーカルとして参加しているUSEに関してはいかがでしょうか。

ソロ活動再開後1年で同シーンにいたメンバーとバンド活動を始めたのがUSEです。これは今回は特筆しないでおこうと思います。LONELY↑D=カタオカセブンとリンクしている活動なんですが、USEはアウトプットが違うんですよね。作家もバンド内にたくさんいますし、表現も英語を多様したり、バンド然としているんです。なので参加させてもらえているって感覚に近いです。

-そしてソロ・アルバムをリリースする経緯は?

2013年秋のFRFツアーの時でした。今でも覚えています、岡山FRF公演の時でした。旧知の岡山の地元アーティストを交えてイベントをやっていたんですが、この日、初めて独りのライヴで納得いく感覚があったんです。先輩たちよりも、旧知の仲間よりも、良いライヴやれたんちゃうか、俺。って感覚があったんです。先輩よりも圧倒的なライヴができたとか、俺、共演者全員に勝った!みたいなことじゃないんです。自分にしかできない、自分の良さが出せた、そんな感覚を持てたんです。そのツアーが終わって新曲を書きました。無理せずに書いたんです。それでできたのがTrack.7「青春、それは落日に似ている」でした。若干3年足らずではあるが、巻きでキャリアを頂けたように思う。"これは作品にしたい。来年、作品を出そう"と思ったんです。

-Track.7「青春、それは落日に似ている」は、絶望のなかに輝く希望が歌われた、とても説得力がある曲だと思いました。"旅が始まる 終わりが始まる"というフレーズがとても印象的です。

ツアー中、岡山から大阪へ向かう際に地元兵庫県を背に移動してたんです。その際に先輩が"大阪に行くのも地元を背にするんだな、切ないな。歌にしてみろよ"と会話してたんです。それがなんとなくあって、最初は旅、ツアー、音楽家。それらが終わる時、また何かが始まる。その逆も然りでそれらが始まるとき、それらは終わりへ向かう。そんなテーマで作詩曲していたんですが、途中で故郷や旧友の顔が出てきました。自分も30歳になり、校舎にいた筈の自分たちはいつ決断してなぜ今人生のここにいるのか。あれが好きこれが好き、あいつが好きあいつが嫌いの自我が目覚めたとき、青春は始まって、そのあたかも輝かしい青春はその実、人生の終わりの始まりなんだなぁと思った時に苦しくなりました。でもその摂理を肯定し、立場を変えつつ生きていくのが旅(人生)だ。歩いていくことが重要なんだ。と20代ではきっと思いもしなかった、30の今の、難しい詩もなく等身大で書きました。

-ソロでできることとバンドでできることは違うことだと思いますが、カタオカさんにとって、それぞれ具体的にどういうことでしょうか?

ソロの利点はライヴ公演におけるフットワークの軽さです。スケジュール調整要らないですから。バンドの利点は思考が単一性にならないことです。あと旅先で独り飯にならないことです(笑)。

-曲ができてからこれはバンドにしよう、ソロにしようとお決めになるのでしょうか?

特にそんなふうに考えてないですが、USEの作曲をする際は作家モードで作曲をしています。どう聞こえるか、バンドが気に入るか、バンドのお客さんは気に入るかなど念頭に置きます。ソロの作曲はもっとシンプルです。曲できそう、曲できた、終わり。くらい(笑)。