Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

KANA-BOON

2014年05月号掲載

KANA-BOON

Member:谷口 鮪 (Vo/Gt) 古賀 隼斗 (Gt) 飯田 祐馬 (Ba) 小泉 貴裕 (Dr)

Interviewer:石角 友香

-熱帯魚からはだいぶ遠いような(笑)。

谷口:魚を調べてたんですよ。"どんな魚おるかな?"って。そしたらレピドシレンは呼吸をする時に1回、水面に上がらないといけなくて。そうじゃないと酸素を取り込めなくて。それを"這い上がる"ってテーマにして、魚の名前をタイトルにしました。

-魚なのに肺呼吸する生態が象徴的ですよね。

谷口:面白いテーマやなぁと思って。曲自体は"這い上がれ"とか"熱量を持っていかに挑むか"とか、それはKANA-BOONが味わってきたことを歌にできたと思うし、これから打ち出していく姿勢も歌にできてて。で、もうひとつ、去年の「ウォーリーヒーロー」から「ミミック」「レピドシレン」ってずっと続いてるというか。この現代的なデジタル感っていうか、そこについての歌でもあったりして。出だしが"足りないのは五感だ"から始まって、そういう狭い視野の楽しみに依存することに警鐘を鳴らしたくて。そういうこともこの曲には詰まってます。

-発信者の姿が見えないヴァーチャルな世界について、ですね。そしてこの曲の聴きどころは、やはり古賀さんのギターかなと。

古賀:歌詞が乗ってより引き立つ感じになって嬉しいんですけど、イメージは下からこう上がっていくフレーズになってるんですよ。サビで"熱を熱を帯びて帯びて"って歌ってて、それをイメージして熱い感じで作ったんですけど、それがたまたま下から上がっていくフレーズになって、レピドシレンの呼吸とシンクロしてると思って、"はっ!"と思って。

飯田:"はっ!"て(笑)。

古賀:あと、カップリングというのもあって、いろいろチャレンジしてみようかなっていうのもあって。いつもはサビに噛み合うフレーズを入れるんですけど、「フルドライブ」で王道のパターンをやったんで、この曲では全然違う感じにしちゃいました。

-歌メロの裏をいってるだけじゃないし。

古賀:そうですね。もう、ゴリゴリよね(笑)?

谷口:最初、"サビのフレーズ絶対ないわ"と思って。でもはめてみたらめちゃめちゃ良かったり。あと、イントロはパッと弾いたんですよ、古賀が。それがまた良かったんですよ。

飯田:古賀だけ"?"ってなってて(笑)。

-(笑)古賀さんは自意識を出さずにやってもらうのがいいのかも。そしてTrack.3の「夜のマーチ」。歌詞に"空泳ぐ声が孤独に押し潰されそうな誰かを救う なんてね、言ってみただけ"って部分が気になって。誰かを救うこと自体をやめるってわけではないんですよね。

谷口:では、ないです。この曲は完全に物語というか、僕の感覚とかメッセージを乗せた曲ではなくて、ストーリーが映像として頭に浮かんで、それを言葉にしていって。『結晶星』に入ってた「桜の詩」とかもそうなんですけど、映像に言葉を照らし合わせながら。脚本作りじゃないですけど、そういう作り方です。

-なるほど。そしてこの曲はリズムに注目ですね。

小泉:この曲は最初、鮪から"マーチング的な感じで"っていうのを言われてて。僕が知ってるマーチングのリズムを初めて叩いて、それが形になってるんですけど、曲の流れが今までにない感じやったんで、Aメロ、Bメロ、サビをどう叩くか?すごい考えて。マーチングをずっと叩いてるけど、どう抑揚をつけるとか、考えて作りました。

-ちなみに今回は合宿じゃなかったんですか?

飯田:そうです。でも、前の合宿の時に「フルドライブ」と「レピドシレン」のプリプロはやったんで。

谷口:ワンマン終わりのタイミングでシングル向けの曲をけっこう作ったけど、「フルドライブ」がドカーンと採用になったから、安心してしまって(笑)。他の曲のことすぐ忘れるから。あんまり作りためるバンドじゃないっていうのはわかってきた。やりたいことがすぐ変わるから(笑)。短期集中型なんでしょうね。

-ところで列伝のツアー(「スペースシャワー列伝JAPAN TOUR 2014」w/キュウソネコカミ、SHISHAMO、go!go!vanillas)も大きな経験だったのでは?

谷口:大きかったですね。列伝も意識が変わったきっかけのひとつというか、けっこう悔しい思いばっかりできたんで。

飯田:悔しい思いできたんはめっちゃ大きいなと思ってて。ワンマンだと自分らのお客さんは味方なわけで、比べる相手がいなくって。列伝はみんな4バンドが好きで来てるから、俺らだけじゃないっていうので嫉妬もしましたし(笑)、"あ、調子に乗ってたんやな"っていう、ちょっと1回しごかれたというか。あれですね、キュウソ(ネコカミ)はキュウソにしかできひんので、"同じぐらい笑かしたらいいやん"とか、そういうのじゃないなぁと。比べなくても自分にとってのいちばんのライヴができればいいということに気づけて良かったです。