Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Overseas

THE VACCINES

THE VACCINES

Member:Freddie Cowan (Gt) Pete Robertson (Dr)

Interviewer:山口 智男


-さっき名前が出たプロデューサーのEthan Johnsは、確かPeteがどこかで言っていたと思うんですけど、レコーディング中の雰囲気作りがうまいそうですね。雰囲気作りがうまいって、具体的に彼はスタジオでどんなことをするんですか?

P:雰囲気作りがうまいって言うか、バンドの気持ちを読むのがうまいんだよ。常におっとりと構えていて、バンドが必要以上に熱くなりすぎると……僕は演奏がうまくいかないとき、その怒りを演奏にぶつけてしまうことが幾度かあったんだけど、そんなときは話も聞いてもらえない。気持ちが落ち着くまで、ただただ放っておかれるんだ(笑)。

F:“今のテイクは気に入らないからもう1回やらせてくれ”と言うと、 “いや、今のでいいんじゃない。やる必要はないよ”って言ってみたり、急にメンバー全員を散歩に連れ出したりね(笑)。ちょっと不思議な人ではあるんだけど、何かマジックを持っているんだ。U2のプロデュースをしたDaniel Lanoisを師と仰いでいるらしい。まったりした雰囲気を作るのがうまいんだよ。

-ところで、今回はツアーでの来日なので、ライヴにまつわる思い出も聞いてみたいんですけど、それぞれに初めて観にいったのは、誰のライヴだったんですか?

F:THE D4ってニュージーランドのガレージ・ロック・バンドだったかな。知ってる?

-ええ、もちろん。

F:なぜ、観にいったかはっきりした理由は覚えてない(笑)。とにかくかっこいいと思ったんだ。12歳か13歳の時だったな。もしかしたらTHE LIBERTINESだったかもしれないけど、昔のことだから、どっちが最初だったか覚えてないよ(笑)。LITTLE BARRIEだったかもしれないし(笑)。LITTLE BARRIEのBarrie CadoganはPRIMAL SCREAMでもプレイしたけど、すごくいいギタリストだよね。

-Peteは?

P:たぶんSUPER FURRY ANIMALSだよ。

F:ワオ!

P:兄貴がバンドをやってたんだけど。

F:ベーシストだったんだろ?

P:そうそう。兄貴のバンドはJimi Hendrixの曲なんかをやってるカヴァー・バンドだったんだけど、そのバンドのライヴを観たとき、 “バンド最高! ドラムってかっこいい!”って思ってね(笑)、もっとライヴを観にいきたいと思うようになったんだ。それでSUPER FURRY ANIMALSのライヴに行くっていう兄貴についていったのがちゃんとチケットを買ったという意味で、最初のライヴ体験だった。

F:へぇ。俺なんか最初に行きたいと思ったのはSPICE GIRLSだったけどね(笑)。

-他の人のライヴを観るのは好きですか?

F:もちろん、この間、CARIBOUと一緒にやったんだけど、彼らのライヴは最高だった。THE SHINSもよかった。ほら、あの女性アーティストは何て言ったっけ?

P:Sharon Van Ettenだろ。

F:そうそう、Sharon Van Etten!彼女もよかったな。ライヴはしょっちゅう観るよ。予定調和のライヴはおもしろいとは思わないけど、何が起こるかわからないようなライヴはいいよね。大掛かりなライヴは、個人的にはそんなに好きじゃない。中にはいいバンドもいるんだろうけど、大勢のお客さんを楽しませなきゃいけないぶん、どうしてもエンターテイメント・ショーにならざるを得ない。大掛かりなぶん、予定通りに進めなきゃいけないってことはわかるけど、俺はやっぱり何か予期していない驚きを求めてしまうな。

 

-でも、THE VACCINESもこれからは大きな会場で大掛かりなライヴをやることになるんじゃないですか?

F:そうかもしれないね。そうなったとき、どういうライヴをやるかってことは、まだ考えてる最中でもあるし、サプライズにしておきたいからここでははっきりとは言えないけど、そうなったとしてもあくまでもフィジカルなことにこだわったライヴをやりたいと思ってる。誰か1人がスイッチを入れたり切ったりするだけでできるようなライヴじゃなくて、大勢の人間が関わるようなね。もっと即興性があるライヴをやりたいんだ。ライヴごとに、いや、曲ごとにバンドの動きや演奏のしかたも違うんだから、照明なんかもそれに対応できるようなやりかたを、今、スタッフと話し合っているところさ。何もかもデジタルになると、そこにバンドがいる必要があるのかって話になるだろ? その意味では去年のCoachella Valley Music and Arts FestivalでTupacを蘇えらせたホログラムなんてまさにそうだと思うんだけど、まぁ、あれはあれでおもしろかったし、いいアイディアだったとは思うけど、俺個人としてはそういうライヴのやりかたに興味はないんだ。

-さっきアルバムは完成してしまったらもう過去のものだと言っていましたけど、次のアルバムとか新曲とかについては、もう何か考えているんですか?

F:いくつかアイディアはあるけどね。ただ、俺たちの場合、そこに向かって一直線に進むってことはないからね。アイディアを形にするまでは、きっと紆余曲折があると思うんだけど、何をやりたいかはちゃんとわかってるよ。今言えるのは、これまでとは同じものにはならないってことだけだな。そこに辿りつくりにはどうしたらいいかってことは、これから見つけていくよ。