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INTERVIEW

Japanese

FoZZtone

2012年07月号掲載

FoZZtone

Member:渡會 将士 (Vo&Gt)

Interviewer:沖 さやこ


-それは嬉しいですね。

今の音楽ユーザーの人たちって受動的に音楽を楽しむことに慣れすぎてるんじゃないかなって勝手なイメージがあったんですよ。OMAも絶対売れないだろうと思ったし。でも枚数限定で発表したときも有り難いことに即完したし。自分たちが思ってたよりもみんなが音楽を深く考えてくれてるっていう反応が面白かったですね。……デビューしたときに周りと一緒くたにされてしまうのが嫌で、攻撃的な発言をずっとしてた時期もありましたけど(笑)、その時のほうが全く平凡というか、どこからもひとつ抜けてない状態で。今はインディペンデントなんで、やれることが限られたと考えるのではなく、やれる範囲で100%やり切ってみようと。行動可能な範囲が広くてもそれを100%使いきれるかと言ったらそうではないので。で、好きなことをやり始めたら“変なバンドだね”とか“何でそんな面倒臭いことやんの?” って……(笑)。昔の自分たちが欲しかった反応をようやく今になって頂けるようになってます。

-今回のアルバム・タイトルになっている『INNER KINGDOM(内なる王国)』はアルバムのテーマにもなっていると思うのですが、何故こういうテーマに?

フィジカル(※肉体・具体)というのをテーマにはしたいなと思っていて。……震災があったときに、いろんな人がダメージを受けて。それに対してダメージを受けてない、受けてるけど元気っていう人たちが援助をすることで復興していく……っていうのはひとつの素晴らしい形ではあるんだけど、根本的には違うなと思っているんです。ある程度の援助は絶対必要なんですけど、現地で大ダメージを受けた人が、自分たちでそのピンチなときにしか出来ない実際的なアクション、労働をやってくことで、メンタル的に回復するんだろうなぁって思うんですよね。凄いクタクタでヘロヘロになってるときに自分から行動していくって凄くしんどいことだけど、根本的にはそういうパワーは自分の内側にあるんじゃないかなって。そういうものについてちゃんと音楽で発信していこうと思ったので“自分の内側に凄いパワーがあるよ”ってニュアンスをタイトルにしたいなと思っていて。でも内側っていうとちょっと閉鎖的なイメージだから、凄い派手で、ダーン!って感じのイメージにしたいなぁ、何だろうなぁ……キングダムだな! って(笑)。

-『INNER KINGDOM(内なる王国)』は“disc physical”と“disc mental”の2枚組になっていますが、 disc physicalにもメンタルは感じられるし、disc mentalにもフィジカルは感じられました。肉体と心があってひとりの人間……それを敢えて分けてそれぞれをフィーチャーしたのは何故でしょう?

“コンセプチュアルなアルバムだから前々から計画して作ったんですよね?”って言われたりするんですけど、全然何も考えずに大体がノリなんです。でも、後から理由を考えるんですよ。そもそも「LOVE」も震災のこととかについてひとりのミュージシャンとしてちゃんと気持ちを歌にしておくべきだなと思って作って。でもそれが“大丈夫?助けてあげるよ!”っていう生易しいのは嫌だから、物凄く元気でパワーがある感じ、「We Will Rock You」みたいな圧倒的なパワーっていう印象を与えたいっていうのがあって。暗い曲を内向きにやるのがかっこいいって思ってた時期もあったんですけど、そういうの疲れたってメンバーも言い始めて。“躍動感がある感じで、とにかく俺たちが楽しもう”って曲を作っていったら、フィジカルな曲がいっぱい出揃ってきて。何となく2枚組にしたいなーってことをみんなで思ってたんで“もう1枚作らないとね”って言ってたら、フィジカルなネタが出尽くして、残りカスがメンタルしかなかった(笑)。