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INTERVIEW

Japanese

アルカラ

2012年08月号掲載

アルカラ

アルカラ

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メンバー:稲村 太佑 (Vo&Gt) 田原 和憲 (Gt) 下上 貴弘 (Ba) 疋田 武史 (Dr)

インタビュアー:天野 史彬

“友よ、答えは風に吹かれている”というBob Dylanの言葉を待つまでもなく、この世界のあらゆる出来事に、明確な答えなど存在しない。仕事、恋愛、戦争――そのすべてには、幾通りもの正義と悪や、正解と不正解が内包されている。そして今年、結成10年目を迎えるアルカラがずっと描いてきたテーマもまさに、この“答えのなさ”だと言えるだろう。予定調和の快楽や二元論に背を向けるように、常に複雑さと不明確さを描いてきた彼らが作り上げた5枚目のフル・アルバム『ドラマ』は、そのメッセージが今まで以上の精度で音と言葉に昇華された、バンド最初の到達点だ。

-新作『ドラマ』は、これまでのアルカラが得意としてきたユーモラスで奇抜な世界観を、今までのどの作品よりもストレートに聴き手に突き刺すような音と言葉に昇華してみせた作品になったんじゃないかと思います。今年の2月にはEP『おかわりください』もリリースしてますし、制作的にはハイペースに進んでいったんじゃないかと思うんですけど、前作をリリースして以降、どういう形で制作は進んでいったんですか?

稲村:前作の『こっちを見ている』を作った時に、自分の中ではあの作品で初めて引き算をやり始めたなっていうのがあって。今までは、いろんなものを足していく――もっと言うと着飾っていくことで、なんとか自分たちらしい音を作ってたんですけど、そうじゃなくて、なるべく必要最小限の要素だけで作るっていうことを意識し始めたのが、『こっちを見ている』で。で、そこから今年の頭に『おかわりください』っていうEPを出したんですけど、あそこには文字通り“おかわり”っていう意味と、変化っていうところでの“お変わり”っていう意味が込められてて。別にその時点で何をどうしようっていうプランが明確にあったわけでもないんですけど、『こっちを見ている』からの流れの中で、今までやんちゃな感じでやってきたところを、もう少し研ぎ澄ました感じに見せられたらなっていうのがあって。その意識が、このアルバムのレコーディング中も出てきた感じでしたね。

-引き算をやり始めたっていうのは、バンドにとって具体的にどういう変化だったんですか?

下上:今までは技術的なところとか、アレンジ的なところで入り組んだものを頑張って作ってたのを、1回引いてみて、ちょっとシンプルにしてみたというか。元からシンプルにしてみたというよりは、1回作ったものを1歩引いて見てみて、“もっとシンプルなほうが伝わりやすいんじゃないか?”って考え直したりする余裕がちょっと出てきたっていうことだと思います。そういうところが前々作から徐々に出てきて、今回は特にそれが色濃く出てるんじゃないかと思いますね。

稲村:単純に、あんま考えないっていうことですかね。考えるよりも感じるようになっていったというか。前は、ひとつのフレーズに対しての掛け合いのメロディとかリズムっていうのを何パターンも考えて、どれがベストかっていうのを追い求めてたんです。でも、それを追い求め過ぎると、自分たちの本質を見せれなくなっていく部分もあって。それなら、そこに悩むことよりも、本質の部分でどういうことを伝えるべきなのか、アルカラとしてこの作品でどういうところを見せるべきなのかっていうのを考えたほうがいいんじゃないかと思って。

疋田:東京に出てきて初めて作った『フィクションを科学する』っていうアルバムとかは、ドラムの中でもいろんな機材を使って、いろんな音を出そうっていうのがあったんですけど、今回は同じものでどれだけ違ったものを表現できるかとか、ひとつのものをどれだけ別の見せ方ができるか、みたいなのが僕の中でのテーマで。そういう意味では、フレーズ的な引き算もあるんですけど、ドラマーとしてというか、個人的な意味での引き算も今作では表現できたのかなって思いますね。

田原:僕も、昔だとサビでもいろんなフレーズを弾いてみたりとか、細かいことが多かったんですけど、今回は単純にコードだけ弾いてる曲があったりとか。昔だと多分、いろいろ弾かないと不安な自分がいたと思うんですけど、今ではそうやって素直にできるようになったのかなって思いますね。