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INTERVIEW

Japanese

2012年06月号掲載

鴉

Member:一関 卓(Ba) 近野 淳一(Vo&Gt) 榎本 征広(Dr)

Interviewer:伊藤 啓太

約1年半ぶりに2ndフル・アルバム『天使と悪魔』をリリースした鴉。デビュー時から彼らが描き続けた“光と闇”が更に深度を増して表されている。今回のインタビューではこの作品の細部にこめられた彼らの思い、そして5月26日から既にスタートしているワンマン・ツアーへの意気込みを伺った。彼らの描いた“天使”と“悪魔”とは?

-2ndフル・アルバムのリリースおめでとうございます。前作『未知標』から1年半、バンドやバンドを取り巻く環境にはどんな変化がありましたか?

近野:バンドも環境も変化は常にし続けているので、そこを区切りにするとなかなか目立ったものが見つかりません。でも一番の変化は各地のお客さんたちの受け入れ態勢の万全さです。初めて行く場所でも歓声が聞こえたりで驚かされます。あらためて音楽の浸透には時間がかかるものだなと、でもだからこそ僅かな光にも希望を描くことができるんだと思ったりもしました、要は信じるかどうかなんだって。好きなバンドと一緒にツアーができたのも嬉しかったですね。その中でも特にMERRYとFAT PROPには感謝してます。音も人も好きなバンド、あのツアーは宝物です。

一関:徐々に浸透してたのかなと思います。前より肩の力もぬけたかな?(笑)

-なるほど、ではアルバムの話を伺います。冒頭の「演者の憂鬱」はピアノの音色や跳ねるリズム、フレーズがジャジーな匂いも感じさせる非常にグラマラスで夜を感じる曲ですが、この曲をこのアルバムの頭に持ってきた理由は?

近野:曲調というよりはテイクが中でも特に良かったから一曲目にしました。

-そして「花びら」「孤ノ儘」「季節外れ」では鴉の代名詞とも言える憂いを帯びたメロディが非常に映えています。アレンジ、特にギターのフレーズはアルバム全体を通して今まで以上に繊細に作りこまれていると感じますが、アルバムを通して編曲で今回意識した点等はありましたでしょうか?

近野:余計を削ぎ落とす気持ちで臨みました。なんせ曲数が多かったもので、いちいち振り向いてる暇は無い、すべてに潔くなろうと。でも未練がましい僕にはなかなか大変なことでした。

-勿論今までも鴉の持ち味の一つでしたが、特に今作は今まで以上に歌がクリアに表現されていると感じましたが、バンドにおける歌の在り方に何か変化はありましたか?

近野:僕自身、出来て聴いて一発目は“今回叫んでないなー”って思いました。おかしいなー“わざと”をやめたのに“わざと”叫んでないような感じになってしまった……と。不安だったので過去作と比較しました。でも全然大丈夫でした。なんというか、がなってないのに今までで一番声が光ってます。ようやく歌い手になれたのかな?

-「児童公園前」では“今、春風が世界を始めようとしている”というフレーズが広がりを感じさせ、突き抜けたメロディも相まって今までの鴉の世界観から更に開けた風のようなものを感じさせてくれているのですが、そこからの詞とサウンドの展開が最後の“今、春風が世界を始めようとしているのに“というフレーズに集約されているかのような焦燥感を感じる、鴉のポップ・センスが浮き彫りになった素晴らしい曲ですね。

近野:ありがとうございます。珍しく盛り上がるメロが浮かんだので、盛り下がる歌詞をつけてやりました。おかげで明るいけど照れずに歌える曲になりました。ちなみに「児童公園前」は実家の最寄りのバス停なんですが、なぜこの曲のタイトルなのかは不明です。

-不明ですか(笑)。「誓いのバラード」は歌詞もサウンドも非常にストレートなラヴ・ソングですね。“さよならも言わぬままあなたは去っていった/さよならも聞けぬままあなたを待っていた”というフレーズが非常に印象的に響きますがこれは実体験ですか?

近野:実体験です。一回会ってそれっきりでした……。