Overseas
THE PSYCHIC PARAMOUNT
2011年12月号掲載
Member:Drew St. Ivany(Gt)
Interviewer:中里 友
ニューヨークのスリー・ピース・バンド、THE PSYCHIC PARAMOUNT。前身となるLADDIO BOLOCKOを経て結成され、実験的なノイズやインプロの手法と衝動的なライヴでカルト的な人気を誇る。前作から約5年、待望の新作『II』ではさらにその音楽性を推し進め、あの世界的音楽サイトPitchforkをして、8.2点の高評価。BATTLESがキュレーターを務める今冬の英国フェス"All Tomorrow's Parties"にも参加、アーティストの中にもファンが多いという、そんな注目バンドの彼らが今回、メール・インタヴューに応じてくれた。
-Skream!初登場なので、まずはどのように3人が出会い、どういう経緯でバンドが生まれたのか教えてください。Ben ArmstrongとDrew St. Ivanyは以前、 "LED ZEPPELIN meets CAN"とも評されたLADDIO BOLOCKOというバンドを組んでいたということですが。
LADDIO BOLOCKOが2001年に解散して、翌年俺がフランスで暮らしていたときにTPPを結成したんだ。5日ほど練習して、フランスやイタリアをツアーしたのさ。1stアルバムの『Gamelan Into the Mink Supernatural』に収録してあるそのときの楽曲は、敢えて危険を冒そうと自由度の高いギター・リフで作られているんだ。相当盛り上げた部分もあるから、ところどころすごくワイルドだね。いろんなことがあってバンドは解散寸前だったけど、かろうじてツアーだけはやりとげたよ。1年くらい後にアメリカに戻って、ニューヨークでおれたちはJeff Conawayとプレイし始めて、それからはずっと同じラインナップだよ。
-今作『Ⅱ』は前作『Gamelan Into The Mink Supernatural』と地続きでいながら、音は立体化し、さらにスケールアップした印象がありました。サウンドに関して、一貫したコンセプトはあったのですか?
俺たちが目指したのはエキサイティングなロック・ミュージックで、人々を夢中にさせる幻想的な音だ。もともと俺らはすごくラウドだし、それがうまくいくとパワフルかつエキサイティングに場の空気を燃え上がらすことができるのさ。その盛り上がりをレコーディングに反映させることが目標だったんだ。ヴォーカルがいないから、言葉とか歌詞なんて要らないと思えるほどのサウンドを作らなきゃと常に思っているよ。俺たちにとっては理に適った方法でも、このコンセプトはなぜか今日の音楽では普通じゃないみたいだけどね。
-「SP」、「DDB」、「N5」「N6」など記号のような曲名は何か意図があるのでしょうか。
それぞれの楽曲を区別するイニシャルに過ぎないよ。人の名前みたいなもので特に意味はない。単なる識別さ。
-前作から約5年間、ライヴ盤や再発盤を挟んではいましたが、ここまでリリースに時間が掛かったのはなぜでしょうか?
この質問には満足してもらえるような答えは絶対出てこないな。この作品に限って、おれたちの楽曲制作のプロセスはゆっくりで、オーガニックな感じに見えるだろう。最初に手を付けたのは2008年で、そのときにマテリアルの一部を録音し、セッションは捨ててね。その後1年くらい経って、今度は違うスタジオで同じ曲を数曲、新曲と併せてレコーディングし直したんだ。全部で12日か13日スタジオにいたんじゃないかな。スイスの画家、Paul Kleeの"芸術に完成はない。途中で手を止めるだけだ"という言葉を知っているかい?つまりマテリアルの持つ可能性をおれたちは長いこと探究し続けていて、そしてある地点でその実験が終わったということだよ。
-楽曲はジャムやインプロヴィゼーションから生まれるのでしょうか。
ほとんどがそうだね。気に入ったアイデアを出し合って、その上に作り上げていくんだ。最初のインプロヴィゼーションをちゃんと再現出来ないこともあって、そんなときは曲がどんどん違う形に変化し、新たなものが生まれていくよ。
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